マクロビオティックの陰陽とは?「陰陽表」の見方
記事更新日:2024年8月30日マクロビオティックの核心には、「陰陽論」という東洋哲学の深い理論が存在します。
この理論は、食事の選び方や調理法、さらには日常生活全般におけるバランスの取り方を示しています。
陰陽論は、あらゆる物事を陰と陽という二つのエネルギーとして捉え、そのバランスを保つことで健康と調和を追求する考え方です。
マクロビオティックにはいくつか重要な考え方がありますが、その中でも大切なポイントとなるのが「陰陽」の考え方です。これは中国で発展した考え方であり、マクロビオティックを確立した桜沢如一氏によって取り入れられました。
マクロビオティックに取り入れられている陰陽とは、どういったものなのでしょうか。陰陽を把握するために必要な「陰陽表」とともにその内容について理解しましょう。今回は、マクロビオティックにおける陰陽の考え方について説明します。
目次
「陰陽論」について
マクロビオティックの根本的な考え方には、「陰陽論」という東洋哲学に基づく理論があります。
この理論は、食材や食事法だけでなく、日常生活全般におけるバランスを取ることが目的です。
陰陽論は、物事を陰と陽の二つのエネルギーとして捉え、これらのバランスを保つことで健康と調和を追求します。
ここでは、陰陽バランスを変化させる要因と、陰陽表の成り立ちと歴史について詳しく解説していきます。
陰陽バランスを変化させる要因
陰陽バランスは、さまざまな要因によって変化します。
その主な要因には、食材の産地、調理法、そして味付けがあります。
これらの要因がどのように陰陽バランスに影響を与えるのかを理解することは、マクロビオティックを実践する上で非常に重要です。
産地
食材の産地は、その陰陽バランスに大きく影響を与えます。
例えば、寒冷地で育った食材は陽性が強く、体を温める効果があります。
一方、温暖地で育った食材は陰性が強く、体を冷やすのに効果的です。
地元で取れる季節の食材を選ぶことで、その土地の気候に適応した食事を摂れます。
調理法
調理法も陰陽バランスに大きな影響を与えます。
例えば、焼く、揚げる、煮るといった調理法は食材を陽性にします。
一方で、生で食べる、蒸すといった調理法は食材を陰性にします。
調理法を工夫することで、食材の陰陽バランスを調整し、体調や季節に応じた食事を摂ることが可能です。
味付け
味付けも陰陽バランスに影響を与えます。
例えば、塩辛い味や味噌、醤油などの発酵食品は陽性が強く、体を温める効果があります。
一方で、果物・砂糖などの甘みは強い陰性であり、体を冷やすのに効果的です。
適切な味付けを選ぶことで、食事全体の陰陽バランスを調整できます。
「陰陽表」とは
食材や調味料の陰陽バランスを視覚的に示したもので、マクロビオティックの実践において非常に役立つツールです。
陰陽表を使うことによって、より正確に陰陽バランスを取った食事を実現できます。
「陰陽表」の成り立ちと歴史
陰陽表は、東洋医学や哲学に基づき、食材や調味料の特性を陰陽に分類したものです。
この表は、長い歴史を持ち、マクロビオティックの創始者である桜沢如一によって体系化されました。
彼は東洋の知識をもとに、食材の陰陽バランスを理解しやすい形で表現しました。
陰陽表は、食材のエネルギー特性を示すための重要なガイドラインとなっています。
陰陽表による食材の分類
陰陽表では、食材を陰性から陽性までのスケールで分類します。
例えば、夏野菜や果物は陰性に分類され、体を冷やす効果があります。
一方、根菜や塩辛い食品は陽性に分類され、体を温めるのに効果的です。
このように、陰陽表を活用することで、季節や体調に応じた適切な食材選びが可能になります。
陰陽表は、単なる食材の分類だけでなく、調理法や味付けの選択にも応用できます。
これにより、食事全体のバランスを取り、健康的なライフスタイルを維持するための強力なツールとなります。
陰陽論は、食事を通じて身体と心の調和を取るための基本的な考え方です。
陰陽バランスを変化させる要因や陰陽表を理解し活用することで、より健康的でバランスの取れた生活を実現できます。
1 つの食材の中に存在する陰陽とは
マクロビオティックの哲学では、1つの食材の中にも陰と陽のエネルギーが共存していると考えられています。
この理解は、食材を選び、調理し、摂取する際に非常に重要です。
ここでは、食材内部の陰陽バランスと食材の部分ごとの陰陽特性について詳しく解説します。
食材内部の陰陽バランス
食材の陰陽バランスとは、1つの食材の中にどの程度の陰性と陽性の要素が含まれているかを示す概念です。
例えば、ニンジンを考えてみましょう。
ニンジン全体では比較的陽性の食材とされていますが、内部には陰性の部分も含まれています。
陰陽バランスは、栽培環境や気候条件、収穫時期などにも影響を受けます。
例えば、寒冷地で育った野菜は陽性が強く、暖かい地域で育った野菜は陰性が強い傾向があります。
また、収穫のタイミングによっても陰陽バランスは変わり、成熟した野菜は陽性が強く、若い野菜は陰性が強いです。
このバランスを理解することは、マクロビオティックの実践において非常に重要です。
食材の陰陽バランスを把握することで、季節や体調に応じて適切な食材を選び、調理法を工夫することが可能になります。
食材の部分ごとの陰陽特性
1つの食材の中でも、異なる部分がそれぞれ異なる陰陽特性を持つことがあります。
例えば、大根の場合、葉の部分は陰性が強く、根の部分は陽性が強いとされています。
このように、同じ食材でも部位ごとに異なる陰陽特性を持つことを理解することが重要です。
根菜類の陰陽特性
根菜類は、一般的に陽性が強い食材とされています。
しかし、根の部分と葉の部分では陰陽特性が異なります。
例えば、ニンジンや大根は、根の部分が陽性で、葉の部分が陰性です。
この特性を理解することで、食材の使い方や調理法を工夫できます。
果菜類の陰陽特性
果菜類は、一般的に陰性が強い食材とされています。
例えば、トマトやナスは、全体としては陰性ですが、種の部分は陽性が強いとされています。
このように、果菜類でも部分ごとの陰陽特性を理解することが重要です。
陰陽表を活用してより正確なマクロビオティックの実現を
陰陽表は、食材や調味料の陰陽バランスを視覚的に示したツールであり、マクロビオティックを実践する際に非常に役立ちます。
陰陽表を理解し、日常の食事やメニュー計画に活用することで、より正確な陰陽バランスを取れます。
日常の食事における陰陽表の利用法
陰陽表は、日常の食事において非常に有用なツールです。
食材の選び方や調理法、味付けを陰陽表に基づいて決定することで、バランスの取れた食事を実現できます。
食材選びの基本
食材選びの基本が明確になります。
例えば、寒い季節には陽性の食材を多く取り入れ、体を温める効果を狙います。
一方、暑い季節には陰性の食材を選び、体を冷やす効果を期待するのです。
これにより、季節に応じた適切な食事を摂れます。
調理法の選び方
調理法も陰陽バランスに大きく影響します。
陰陽表を参考にして、食材に適した調理法を選ぶことで、陰陽のバランスを保てます。
例えば、陽性の食材は蒸すや茹でるといった調理法で陰性に近づき、陰性の食材は焼くや揚げるといった調理法で陽性に近づけられます。
陰陽表を使ったメニュー計画のコツ
陰陽表を使ったメニュー計画は、バランスの取れた食事を実現するための重要なステップです。
ここでは、陰陽表を活用したメニュー計画のコツをいくつか紹介します。
バランスの取れたメニュー作り
まず、陰陽表を参考にして、食材の陰陽バランスを考慮したメニューを作ります。
例えば、メインディッシュが陽性の強い肉料理の場合、副菜には陰性の強いサラダや野菜料理を組み合わせます。
このように、メニュー全体のバランスを考慮することが重要です。
季節に応じたメニュー計画
季節に応じたメニュー計画も重要です。
夏には体を冷やす陰性の食材を多く取り入れ、冬には体を温める陽性の食材を多く取り入れることで、季節の変化に対応した食事を摂れます。
陰陽表を活用して季節ごとの食材を選ぶことで、年間を通じてバランスの取れた食事を実現できます。
個々の体調に合わせたメニュー計画
最後に、個々の体調に合わせたメニュー計画も重要です。
陰陽表を使って、自分の体調や体質に合った食材を選び、バランスの取れた食事を心がけることで、健康を維持できます。
陰陽表を活用することで、日常の食事からメニュー計画まで、より正確な陰陽バランスを実現できます。
マクロビオティックの実践において、このツールを最大限に活用することで、健康と調和の取れたライフスタイルを追求することが可能です。
マクロビオティックの概要
マクロビオティックは、食事と生活全般にわたるバランスを追求するライフスタイルであり、健康と長寿を目指しています。
このライフスタイルは、東洋の哲学と西洋の実践を融合させ、全体的な調和を重視します。
ここでは、マクロビオティックの基本概念や二つの重要な原則、そして陰陽論の詳細について詳しく解説していきます。
マクロビオティックの基本概念
マクロビオティックは、食事だけでなく、生活全般におけるバランスと調和を重視するライフスタイルです。
その基本概念には、健康と長寿を追求するための具体的な指針が含まれています。
健康と長寿を目指すライフスタイル
マクロビオティックの中心には、健康と長寿を目指すことが目的です。
このライフスタイルは、自然との調和を重視し、体と心のバランスを取ることを目指しています。
具体的には、全粒穀物、野菜、豆類、海藻などの自然食材を中心とした食事を摂るのがおすすめです。
この食事法は、身体に必要な栄養素をバランスよく摂取することで、免疫力の向上、消化器官の健康維持、生活習慣病の予防など、さまざまな健康効果をもたらします。
また、食事を通じて精神的な安定やストレスの軽減も図れます。
東洋と西洋の融合
マクロビオティックは、東洋の哲学と西洋の実践を融合させた独自のライフスタイルです。
特に、日本の桜沢如一(さくらざわ ゆきかず)によって体系化され、西洋に広められました。
桜沢は、東洋の陰陽論や五行説を基に、食事と生活全般におけるバランスを重視する考え方を提唱しました。
この考え方は、西洋の健康法や栄養学と結びつき、グローバルな健康法として発展しました。
ジョージ・オーサワ(George Ohsawa)をはじめとする桜沢の弟子たちが、マクロビオティックを世界中に広め、多くの人々に影響を与えています。
このように、マクロビオティックは東洋と西洋の知恵を融合させ、現代の健康法として確立されています。
二つの重要な原則
マクロビオティックの実践には、二つの重要な原則があります。
これらの原則を理解し実践することで、より効果的な健康管理が可能になります。
一物全体とは何か
一物全体は、マクロビオティックの基本原則の一つであり、食材を丸ごと使うことを推奨する考え方です。
これは、食材の全体を使用することで、栄養素を余すことなく摂取できるという理念に基づいています。
例えば、野菜は皮や根、葉も含めて全て利用することが推奨されます。
この実践により、自然のエネルギーを最大限に取り入れられます。
また、食材を無駄なく使うことで、持続可能な食生活の実現が可能です。
さらに、一物全体の考え方は、食材の味や風味を豊かにし、食事の満足感を高める効果もあります。
身土不二の意味と実践
身土不二は、マクロビオティックのもう一つの重要な原則であり、住んでいる土地で取れる季節の食材を食べることを重視する考え方です。
これは、その土地の気候や環境に適応した食材が、体にも自然と馴染むという理念に基づいています。
具体的には、地元で取れる季節の野菜や果物を積極的に取り入れることが推奨されます。
例えば、春には新鮮な山菜を取り入れ、夏には夏野菜を中心にしたメニューを考えるなど、季節感を意識した食事を心がけます。
これにより、体が自然のリズムに調和し、健康の維持が可能です。
また、身土不二の実践は、地元経済の活性化にも寄与します。
地元の農産物を積極的に購入することで、地域の生産者を支援し、持続可能な農業を推進できます。
陰陽論の詳細
マクロビオティックの中心的な哲学には、陰陽論が含まれています。
陰陽論は、物事を陰と陽の二つのエネルギーとして捉え、そのバランスを取ることが健康と調和をもたらすという考え方です。
ここでは、陰陽の基本的な考え方と食材の陰陽分類の仕組みについて詳しく解説します。
陰陽の基本的な考え方
陰陽論は、中国の古代哲学に由来し、あらゆる物事を陰と陽という二つの相反するエネルギーとして捉えます。
陰と陽は互いに補完し合い、常に変化し続けることでバランスを保ちます。
このバランスが崩れると、健康や調和が乱れるとされています。
陰陽の基本的な特徴として、陰は冷やす、柔らかい、湿っているという特性を持ち、陽は温める、硬い、乾燥しているという特性です。
例えば、陰性の食材には、キュウリやトマト、ナスなどの夏野菜があります。
これらは体を冷やす効果があります。
一方、陽性の食材には、根菜類や塩辛い食品、肉類があります。
これらは体を温めるのに効果的です。
陰陽のバランスを取ることで、食事を通じて体内の調和を図ることが可能です。
季節や体調に応じて陰陽のバランスを調整することで、健康を維持できます。
食材の陰陽分類の仕組み
食材の陰陽分類は、食材の性質や特性に基づいて行われます。
例えば、食材の育つ環境や形状、色、味などが陰陽の分類に影響を与えます。
一般的には、夏野菜や果物は陰性に分類され、体を冷やすのに効果的です。
一方、根菜や塩辛い食品は陽性に分類され、体を温める効果があります。
マクロビで使用する調味料選びのポイント
マクロビオティックの実践において、調味料選びは非常に重要です。
調味料は料理の味を左右するだけでなく、健康にも大きな影響を与えます。
ここでは、マクロビで使用する調味料選びのポイントを、素材と製法、陰陽表の活用、おすすめの調味料、不向きな調味料の観点から詳しく解説します。
素材と製法にこだわる
調味料の選び方において、素材と製法は非常に重要な要素です。
自然な素材を使用し、伝統的な製法で作られた調味料は、体に優しく、健康的です。
ここでは、自然な素材の重要性と製法の違いがもたらす影響について詳しく解説します。
自然な素材の重要性
自然な素材を使用した調味料は、添加物や化学物質が含まれていないため、体に優しいです。
例えば、天然の塩や醤油、味噌などは、自然の恵みをそのまま生かした調味料であり、体に必要なミネラルや栄養素を豊富に含んでいます。
自然な素材を選ぶことで、食事全体の品質が向上し、健康に良い影響を与えます。
特に、マクロビオティックでは、食材の質を重視するため、調味料も自然な素材から選ぶことがおすすめです。
製法の違いがもたらす影響
調味料の製法も、選び方において重要なポイントです。
伝統的な製法で作られた調味料は、長い時間をかけて熟成されるため、風味が豊かであり、栄養素も保持されています。
例えば、天然醸造の醤油や味噌は、長期間の発酵を経て作られ、その過程で生じる酵素やアミノ酸が健康に良い影響を与えます。
一方で、工業的に製造された調味料は、化学物質や添加物が多く含まれている場合があり、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
製法の違いがもたらす影響を理解し、伝統的な製法で作られた調味料を選ぶことが重要です。
陰陽表の活用
陰陽表は、マクロビオティックにおいて非常に有用なツールです。
食材や調味料の陰陽バランスを理解し、調整することで、より健康的な食事を実現できます。
ここでは、調味料選びにおける陰陽表の役割と、調味料の陰陽バランスを取る方法について詳しく解説します。
調味料選びにおける陰陽表の役割
陰陽表は、食材や調味料の性質を陰性と陽性に分類し、そのバランスを取るためのガイドラインを提供します。
調味料選びにおいても、陰陽表を活用することで、食事全体のバランスを調整することが可能です。
例えば、陰性の食材を多く使用する場合、陽性の調味料を加えることでバランスを取れます。
逆に、陽性の食材が多い場合は、陰性の調味料を選ぶことで、全体の調和を図れます。
陰陽表を参考にすることで、適切な調味料を選び、バランスの取れた食事を実現できます。
調味料の陰陽バランスを取る方法
調味料の陰陽バランスを取るためには、各調味料の陰陽特性を理解することが重要です。
例えば、塩は陽性が強く、酢は陰性が強いとされています。
これらを組み合わせることで、料理のバランスを調整できます。
陰陽バランスの実践例
具体的な例として、酢の物に塩を加えることで、陰陽のバランスを取れます。
また、味噌汁に少量の酢を加えることで、陽性の味噌と陰性の酢が調和し、バランスの取れた味わいを作り出せます。
このように、調味料の陰陽バランスを理解し、日常の料理に取り入れることで、より健康的で調和の取れた食事を実現できます。
マクロビにおすすめの調味料
マクロビオティックにおいて、特に推奨される調味料があります。
これらの調味料は、自然な素材と伝統的な製法で作られており、陰陽バランスを取る上でも非常に有用です。
ここでは、塩分の選び方と使用法、自然な甘みの取り入れ方、その他のおすすめ調味料について詳しく解説します。
塩分の選び方と使用法
塩は、マクロビオティックにおいて重要な調味料の一つです。
天然の海塩や岩塩を選ぶことが推奨されます。
これらの塩は、精製されていないため、ミネラルが豊富に含まれており、体に優しいです。
塩の使用法としては、料理の仕上げに少量を加えることで、素材の風味を引き立てられます。
また、発酵食品の作成にも適しています。
例えば、自家製の漬物や味噌を作る際に、天然の塩を使用することで、健康的な発酵食品を作り出せます。
自然な甘みの取り入れ方
甘みは、料理において欠かせない要素ですが、精製された砂糖は避けるべきです。
代わりに、自然な甘みを持つ調味料を使用することが推奨されます。
例えば、メープルシロップ、ライスシロップ、黒糖などが自然な甘みを提供します。
これらの自然な甘味料は、血糖値の急激な上昇を防ぎ、健康的な甘味を楽しめます。
お菓子やデザートのレシピに取り入れることで、健康的なスイーツを作り出すことが可能です。
その他のおすすめ調味料
その他のおすすめ調味料として、醤油、味噌、酢などがあります。
これらの調味料は、伝統的な製法で作られ、添加物が含まれていないものを選ぶことが重要です。
醤油の選び方
醤油は、天然醸造のものを選ぶことが推奨されます。
長期間発酵された醤油は、風味が豊かであり、健康に良い影響を与えます。
料理の仕上げに数滴加えることで、味に深みを与えられます。
味噌の選び方
味噌もまた、天然醸造のものを選ぶことが重要です。
添加物が含まれていない、伝統的な製法で作られた味噌は、発酵食品としての健康効果が高く、体に良い影響を与えます。
味噌汁やドレッシングに取り入れることで、日常の食事に健康的な要素を加えられます。
マクロビに不向きな調味料
マクロビオティックを実践する際に避けるべき調味料もあります。
これらの調味料は、健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。
ここでは、避けるべき化学調味料と高精製された調味料の影響について詳しく解説します。
避けるべき化学調味料
化学調味料は、人工的に合成された調味料であり、体に負担をかける可能性があります。
これらの調味料は、添加物や保存料が多く含まれている場合があり、長期的に摂取すると健康に悪影響を及ぼすことがあります。
例えば、グルタミン酸ナトリウム(MSG)や人工甘味料などは、避けるべき調味料の一つです。
化学調味料の代わりに、天然の調味料を使用することで、体に優しく、自然な風味を楽しめます。
食事の質を高めるためにも、化学調味料の使用は控えることが重要です。
高精製された調味料の影響
高精製された調味料も、マクロビオティックにおいては避けるべきです。
精製された砂糖や塩は、製造過程で栄養素が失われているため、体に必要なミネラルやビタミンが含まれていません。
これらの調味料は、過剰摂取による健康リスクが高く、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の原因となることがあります。
自然な代替品の提案
精製された砂糖の代わりに、メープルシロップやライスシロップを使用し、精製された塩の代わりに天然の海塩や岩塩を使用することが推奨されます。
これにより、健康的な食生活を維持し、調味料の選び方においてもバランスを取れます。
マクロビオティックの「陰陽論」とは
マクロビオティックには、陰陽論という考え方が採用されています。この考え方では、物事には必ず「陰」と「陽」があるとされています。これらを一言で表すと、「陰」は外側に向かって広がっていくエネルギー、「陽」は内側に向かって収縮しているエネルギーということです。1つ1つの食材には、陰または陽の性質があり、その両方を同じようにもっている食材は「中庸」といわれます。マクロビオティックではこの考え方に基づき、陰陽のバランスがとれた食事をすることを重要視しています。陰の食材は体を冷やし、陽の食べ物は体を温めるともいわれています。
陰陽バランスを変化させる要因
基本的な陰陽バランスは食材によって決まっていますが、場合によってはそれが変化する場合もあります。これを見落とすと、陰陽バランスに気を使っていても、実際にはきちんとしたバランスを保つことができない可能性もあります。陰陽バランスが変化するポイントについてみてみましょう。
産地
同じ種類の野菜であっても、陰陽バランスは産地によって変わる可能性があります。それは、産地によって栽培方法が異なるというのが主な理由です。有機栽培なのか、気候はどうかといった違いによっては、標準値の陰陽と大きな差が出る可能性があります。食材の陰陽を判断する際は、大きさなど見た目の様子をしっかり確認した上で見極めを行う必要があります。
調理法
陰陽バランスは、調理方法によっても変化することがあります。たとえば、食材を長時間ゆっくり煮込むと陽性になりやすくなります。反対に、生のままでは陰の性質が強くなります。さらに、野菜は細かく刻むと陽性に近づくとされています。使用したい食材の陰陽のバランスの偏りが気になるときは、こういった調理方法を工夫することで食材を増やしたり減らしたりすることなく、バランスを保つことができるようになります。
味付け
陰陽のバランスを考える上では、味付けも重要です。たとえば、味を濃くすることで、料理全体を陽性に近づけることができます。反対に、酸っぱい味付けや辛い味付けは、陰性となります。冬などにより体を温めたいという場合は少し味を濃くし、逆に夏など体を冷たくしたいときは酸味や辛味を意識した味付けをするとよいでしょう。
マクロビオティックの「陰陽表」とは
マクロビオティックでは、食材ごとに陰陽が異なります。これを把握するためには、「陰陽表」を使用するのが便利です。
*「陰陽表」の成り立ち
マクロビオティックにおいては、それぞれの食材の特色を一覧にまとめた「陰陽表」が作られています。これは、それぞれの食材について標準となる陰陽の判断を行うことで分類されています。食材の陰陽を決めるポイントとしては、主に以下の項目があげられます。
【食材の陰陽の判断基準】
・植物性か、動物性か ・体を冷やすか、温めるか ・味 ・大きさ・かたさ・色 ・育ち方(季節、気候、肥料)
*陰陽表による分類
陰陽表をみると、さまざまな食材の陰陽について把握することができます。たとえば、野菜の中でもトマトやジャガイモ、ナスは、とくに極陰よりの食材として分類されています。反対に、ニンジンやゴボウは中庸に近い陽性です。また、キャベツやネギは陰性に近い中庸の食材として分類されています。ただし、これらの分類はあくまでも目安です。すでに説明したとおり、この陰陽のバランスは、実際のさまざまな要因によって大きく変化します。そのため、料理を作るときは、個々の食材に関する環境を理解した上で、陰陽を判断しなければなりません。主要な食材について陰陽表から抜粋すると、以下のようになります。
【陰性の食材】
・極陰より:トマト、ジャガイモ、ナス、ピーマン、モヤシ、バナナ、パイナップ、ピーナッツ、アーモンド、ハチミツ、白砂糖、コーヒー、ブランデー ・中庸より:大豆、長芋、スイカ、モモ、オリーブオイル、黒砂糖、みりん、抹茶、紅茶
【中庸の食材】
・陰性より:トウモロコシ、納豆、白ゴマ、レタス、ネギ、キャベツ ・中庸:玄米、油揚げ、高野豆腐、小豆、ワカメ、昆布、小松菜、白菜、大根、かぶ、ほうじ茶、よもぎ茶 ・陽性より:大麦、そば、もずく、玉ネギ、れんこん、イカ、タコ
【陽性の食材】
・中庸より:ニンジン、ゴボウ、ヒラメ、カレイ、鶏肉、牛肉、たんぽぽコーヒー ・極陽より:タイ、サケ、みそ、梅干し、しょうゆ ・極陽:ハム、ベーコン、ソーセージ、精製塩
1つの食材の中に存在する陰陽とは
陰陽表からも分かるように、食材にはそれぞれ一定の陰陽があるとされています。しかし、1つの食材を詳しくみてみると、その中にも部分ごとに異なった陰陽が存在しています。たとえば、ダイコンを例にあげて考えてみましょう。ダイコンの陰陽は中庸だとされています。しかし、ダイコンの葉の部分だけをみると、陰性となっています。そして、根にあたる、いわばダイコンのメインの部分は陽性です。 これは、陰陽の判断のしかたが植物の伸びる方向によって決められていることが大きな要因となっています。陰陽を判断するときは、上に伸びるものは陰性、下に向かって伸びるものは陽性とされます。つまり、ダイコンの葉は上に向かって伸びるので陰性、根の部分は陽性となっているのです。 このように、1つの食材も詳しく見ていくと、陰陽が分かれている場合があります。ダイコンは、食材の全てを食べることで、「中庸」のバランスを取ることができます。マクロビオティックが食材を丸ごと全て食べるべきとしているのは、こういった点を考慮してのことでしょう。食材を食べるときは、マクロビオティックの原則に則って食材の全てを食べるようにすることが重要です。どうしても葉だけもしくは根だけを食べることになる場合は、ほかの野菜などを組み合わせることでバランスを上手く保つようにしなければなりません。
陰陽表を活用してより正確なマクロビオティックの実現を
マクロビオティックの考え方に基づいた食事を始めるなら、陰陽表を活用するととても便利です。陰陽表に当てはめながら料理に使用する食材を考えていけば、陰陽のバランスがとれた食事作りがグッとしやすくなります。陰陽表を見ながら食材を選んでいるうちに、陰陽表を見なくても食材と陰陽の関係を覚えられるようになるはずです。
今回説明したとおり、実際に使用する食材の陰陽は必ずしも陰陽表のとおりになっているとは限りません。実際の食材の様子から、陰陽を判断する必要があります。慣れるまでは難しいと感じるかもしれませんが、実際に作った料理を食べながら少しずつ感覚を掴んでいけばOKです。陰陽表を活用して、より正しいマクロビオティックの食事法を実践していきましょう。
マクロビオティックの概要
マクロビオティックは、自然の流れに従って食材を選ぶことで健康的な食生活を送ることができるという考え方がされています。具体的な考え方としては、以下の2つがあります。これらはマクロビオティックの基本なので、必ず覚えておきましょう。
2つの重要な原則
マクロビオティックには、2大原則と呼ばれる考え方があります。それは、以下の2つです。それぞれの原則は、マクロビオティックの食事によって健康を維持するために、重要な意味をもっています。
【マクロビオティックの2大原則】
1. 身土不二……暮らしている土地の旬の食材を食べること 2. 一物全体……1つの食材を残さず丸ごと食べること
陰陽論
マクロビオティックでは陰陽論が取り入れられており、陰陽のバランスを保つことが重要視されています。全ての食材には陰陽があり、これらは調理法によってもバランスが変化するとされています。そのため、調理を行う際は、もともとの食材の陰陽に気を使いながら味付けや調理のしかたを考えなければなりません。そうしなければ、想像以上に陰陽のバランスが崩れてしまうことも十分にあり得ます。
マクロビで使用する調味料選びのポイント
マクロビオティックの食事を用意する際は、その調味料選びが非常に重要です。ポイントをおさえ、陰陽のバランスが整ったマクロビオティック料理に挑戦しましょう。
素材と製法にこだわる
マクロビオティックの料理には、添加物などが含まれる化学調味料の使用はNGです。なお、原料に農薬が使用されているかどうかまでチェックしてください。「そこまでするの!?」と思うかもしれませんが、そういったところまでこだわることが大切です。最初は大変だと感じるかもしれませんが、細かいところまでこだわることが後々の大きな効果につながります。注意深く素材を選び、できれば製法も昔ながらのシンプルな方法で作られたものを選ぶべきです。
陰陽表の活用
調味料を選ぶときは、陰陽表も活用しましょう。陰陽表は、主要な食材の陰陽を示した表です。これをみるとそれぞれの食材がもつ陰陽のバランスがすぐにわかります。調味料についても掲載されているので、それぞれの調味料の陰陽をあらかじめ把握しておくと料理がしやすいです。たとえば、味を陽性に近い順にあげると、「渋味・苦味・塩味・自然な甘味・酸味・辛味」となります。辛味は、味の中ではとくに陰性の要素を多く持っており、自然な甘味は中庸ということになります。
マクロビにおすすめの調味料
マクロビオティックの料理には、具体的にどういった調味料を使用したらよいのでしょうか。調味料の選び方は、非常に重要です。ここからは、それぞれの味の種類ごとに例をあげて説明します。
塩分
塩分は、陰性よりの要素をもっています。一般的にも料理の基本となる味なので、マクロビオティックに使用できる調味料を把握しておくことはとても重要です。
*塩
塩は、海水から作られている自然塩を使用しましょう。海水から作られた塩には、ミネラルが豊富に含まれており、まろやかでほんのりとした甘みがあります。自然塩以外の食塩は人工的に精製されているものなので、塩化ナトリウム以外のミネラルが含まれていません。また、最近では岩塩の人気も高くなっていますが、岩塩は日本ではとることができない塩です。そのため、日本人にとっては、マクロビオティックの原則である身土不二に反した調味料ということになってしまいます。
*しょうゆ
しょうゆも塩と同じように、自然の原料を使ったものを選ぶようにしましょう。しょうゆとして販売されている商品の中には、カラメル色素やアミノ酸などの添加物が使用されているものもあるため、要注意です。昔ながらの製法で作られているしょうゆには丸大豆が使用され、天然のアミノ酸も豊富に含まれているので栄養価が高いといえます。また、できれば使用されている大豆についても気を配り、遺伝子組み換えではないものを使っているということが確かめられるとなおよいでしょう。
*みそ
短期間で作られているみそには食品添加物が使用されていることが多いです。そのため、数年かけて発酵と熟成が丁寧に行われている無添加のみそを選ぶのがおすすめです。みそは大豆の種類や製法によって味に大きな違いが出るため、食材に合わせていくつかのみそを使い分けると、料理の味のバリエーションを広げることも可能になります。なお、みそは塩分が多く含まれているため、味噌汁を飲むのは多くても1日2回までにしましょう。使用するみその量を少なめにするというのも、減塩には効果的です。
甘み
マクロビオティックで甘味料を使用するなら、てんさい糖、黒砂糖、メープルシロップなどを使用しましょう。それぞれ風味が異なるので、食材に合わせて使い分けるのがよいです。精製された白砂糖は、なるべく使用しないほうがよいものとされています。
その他
その他の調味料を使用するなら、以下の考え方にそって使用すると、マクロビオティックの考え方に合わせた味付けをすることができます。
*酢
マクロビオティック料理でよく使用されているのは、玄米酢や梅酢です。酢を選ぶときも、無農薬で作られた原料を使用しているものにしましょう。酢を使うと、必然的に塩分量を控えることができるのでおすすめです。
*油
マクロビオティックで使用する油は、未精製のものを選ぶようにしましょう。たとえば、ゴマ油、なたね油、エクストラバージンオリーブオイルなどがあります。ただし、未精製の油は酸化しやすいので、封を開けたら早めに使い切る必要があります。あまり使わない油は、できるだけ小さいサイズのものを選ぶとよいでしょう。サラダ油などは、加工されている油なのでできるだけ使用を避けたほうがよいです。
マクロビに不向きな調味料
マクロビオティックに不向きな調味料としては、すでに紹介した精製された白砂糖や塩があげられます。また、スパイスなどの香辛料は陰性が強いのであまり使用すべきではないとされています。辛味を使いたいときは、日本で昔から使われてきたようなショウガやワサビなどを少量だけ使用するようにしてください。
マクロビ料理では調味料にも気をつけて!
マクロビオティックでは、食材と同じように、調味料の陰陽についても考慮する必要があります。これを怠ると、せっかく整えた食材の陰陽バランスも壊れてしまいます。調味料の陰陽は、味の種類によってだいたいを把握することができるので、最初に覚えてしまったほうが簡単です。調味料に限らず、自分がよく使用する食材の陰陽を覚えておくと、料理について考えるのが楽になります。食材に合わせて味付けを工夫することで、マクロビオティック料理のバリエーションを増やせば、飽きずに玄米菜食を続けることができるでしょう。
まとめ
陰陽論に基づくマクロビオティックは、食事と生活全般におけるバランスを取ることで、健康と調和を目指す方法です。
食材の産地、調理法、味付けが陰陽バランスに影響を与え、それぞれを理解し適切に選択することが重要です。
陰陽表を活用することで、食材や調味料のバランスを視覚的に理解し、実践することが容易になります。
陰陽論と陰陽表を活用したマクロビオティックの実践により、心身の健康を維持し、調和の取れたライフスタイルを実現できます。
- 通信講座のSARAスクール編集部
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