VMDの基本知識とは?三角構成やゴールデンゾーンを解説!
記事更新日:2024年10月23日店舗経営や売り場づくりに携わる方々にとって、VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)は避けて通れない重要なテーマです。しかし、その概念や実践方法について具体的にイメージできない方も多いのではないでしょうか。効果的なVMDを実現するには、基本的な知識と技術が不可欠です。
商品やサービスの販促を意識する場合、「VMD」はとても重要なカギとなります。とはいえ、「VMD」とは具体的にどのようなものであるかイメージしにくいと感じている人も多いのではないでしょうか。「VMD」は理解できるまでに一苦労しますが、意味を理解してしまえば、とても有用な手法といえます。
今回は、「VMD」の基本について説明します。意味を詳しく説明するとともに、効果や具体的な要素についても解説を行います。「VMD」についての基本をしっかり理解したいという人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
VMDとは何か?その定義と重要性
VMDは「Visual Merchandising」の略で、直訳すると「視覚的商品化」となります。しかし、その本質は商品の陳列や装飾にとどまりません。VMDは、企業の販売戦略やブランドイメージを視覚的に表現し、顧客の購買意欲を刺激する総合的なマーケティング手法です。
VMDの歴史と日本での定義
VMDの概念は1944年にアメリカで生まれました。日本では、1988年に日本ビジュアルマーチャンダイジング協会が次のように定義しています。 「ビジュアルマーチャンダイジングとは文字どおりマーチャンダイジングの視覚化である。それは企業の独自性を表わし、他企業との差異化をもたらすために、流通の場で商品をはじめすべての視覚的要素を演出し管理する活動である。この活動の基礎になるものがマーチャンダイジングであり、それは企業理念に基づいて決定される。」 この定義からも分かるように、VMDは単なる見栄えの良さだけを追求するものではありません。企業理念やブランドイメージを反映し、競合他社との差別化を図りながら、顧客にとって「見やすく、選びやすく、買いやすい」売り場を作り出すことがVMDの本質的な目的なのです。
VMDの重要性と効果
効果的なVMDを実践することで、以下のような多様なメリットが得られます。 ・顧客の購買意欲の向上 ・店舗の雰囲気や印象の改善 ・ブランドイメージの強化 ・競合他社との差別化 ・売上の増加 VMDは、商品やサービスの魅力を最大限に引き出し、顧客の心理に働きかけることで、これらの効果を生み出します。そのため、小売業やサービス業において、VMDは成功の鍵を握る重要な要素となっているのです。
VMDの3つの基本要素
VMDを実践する上で、重要な3つの基本要素があります。これらはMPP(マーチャンダイズプレゼンテーション)と呼ばれ、それぞれVP、PP、IPの頭文字を持ちます。各要素の特徴と役割を理解することで、より効果的なVMDの実現が可能となります。
VP(ビジュアルプレゼンテーション)
VPは、店舗や売り場全体のコンセプトを視覚的に表現する取り組みを指します。季節感やトレンド、企業のブランドイメージなどを考慮し、統一されたイメージを創出することが重要です。 例えば、あるスーパーマーケットでは、テーマパーク的な雰囲気をコンセプトに選び、店頭に巨大なマスコット人形をディスプレイしました。この取り組みにより、通りがかりの人々の注目を集め、店舗への誘導効果を高めることに成功しています。 VPは店舗の第一印象を左右する重要な要素です。効果的なVPを実現できれば、より多くの顧客を店内に呼び込むことができるでしょう。
PP(ポイントプレゼンテーション)
PPは、陳列した商品の中から特に売りたい商品をピックアップし、各コーナーの「顔」として強調する取り組みです。代表的な手法として、マネキンを使った商品ディスプレイがあります。 アパレル店舗では、季節やトレンドに合わせた人気アイテムをマネキンに着せ、顧客の購買意欲を刺激する取り組みが一般的です。PPを効果的に行うためには、以下のようなポイントに注意しましょう。 ・顧客の目に留まりやすい場所を選ぶ ・顧客の目線の高さに合わせて商品を配置する ・店舗全体の導線を考慮し、PPからPPへと顧客を自然に誘導する
IP(アイテムプレゼンテーション)
IPは、陳列棚やガラスケース、ハンガーラックなどの什器を活用して、個々の商品を「見やすく、選びやすく、買いやすく」陳列する取り組みです。単に商品を品目やサイズ別に並べるだけでなく、視覚的な効果を考慮した陳列方法を工夫することが重要です。 例えば、店舗のコンセプトや季節感に合わせて商品をカラーごとに陳列すれば、顧客の視線をより効果的に集めることができます。また、商品の特性や顧客の購買行動を考慮し、手に取りやすい高さや配置を意識することも大切です。 これら3つの要素を適切に組み合わせることで、顧客にとって魅力的で購買意欲を刺激する売り場を作り出すことができます。次に、これらの要素を効果的に実践するための具体的な手法について解説していきます。
VMDを効果的に実施する3つの手法
VMDを成功させるためには、単に商品を並べるだけでなく、戦略的かつ創造的なアプローチが必要です。ここでは、VMDを効果的に実施するための3つの重要な手法について詳しく解説します。
左右対称(シンメトリー)
商品ディスプレイの基本は「左右対称」です。特に形、大きさ、高さ、色合いがよく似た商品を陳列する場合、左右対称を意識することで美しくモダンな視覚的効果を生み出せます。 例えば、高級食器や時計などの商品を展示する際に、中央を軸に左右均等に商品を配置することで、落ち着いた雰囲気と安定感を演出できます。 左右対称の構成は、人間の脳が自然と好む配置方法であり、秩序と調和を感じさせます。この原理を応用することで、店舗全体の印象を高められます。例えば、ファッションストアでは、マネキンを中心に左右対称にアイテムを配置することで、コーディネートの全体像を効果的に提示できるのです。 また、左右対称の配置は、商品の比較を容易にするため、顧客の購買決定を促進する効果もあります。ただし、完全な対称性は時として単調に感じられる可能性があるため、微妙な変化を加えることで、より魅力的なディスプレイを作り出すことができます。
繰り返し(リピート)
特定の商品を目立たせたい場合は、商品を規則的に並べ、繰り返し構造を生み出すのが効果的です。繰り返し構造は視覚的なインパクトが大きいため、顧客の注目をより集めることができます。 例えば、新商品のスニーカーを展示する際に、同じモデルを色違いで並べたり、サイズごとに規則的に配置したりすることで、商品の特徴や豊富なバリエーションをアピールできます。 繰り返しの構造は、商品のラインナップの豊富さを強調するだけでなく、ブランドの一貫性や信頼性を示す効果もあります。例えば、化粧品売り場では、同一ブランドの製品を色やタイプごとに整然と並べることで、ブランドの多様性と専門性をアピール可能です。また、繰り返しの構造は、商品を探しやすくする効果もあり、顧客の購買体験を向上させます。 ただし、過度な繰り返しは単調さを生む可能性があるため、適度な変化や強調ポイントを設けることで、より効果的なディスプレイを実現できます。
三角構成(トライアングル)
形や大きさがバラバラの商品を並べるときは、三角形を意識したディスプレイが効果的です。商品をエンドコーナーなどのスペースに集め、三角形の構図で配置することで、商品にまとまりが生まれ、顧客が商品を探しやすくなります。 三角構成には以下のような利点があります。 視線の誘導 ⇒頂点に向かって自然と視線が誘導される 安定感 ⇒底辺が広く、上に向かって狭くなる形状が安定感を生む フォーカルポイントの創出 ⇒頂点に置かれた商品が自然と注目を集める これらの基本法則を適切に組み合わせることで、より魅力的で効果的なディスプレイを実現できます。
三角構成のメリットと活用方法
3つの手法の三角構成は、少し複雑なためここでくわしく理解を深めていきましょう。三角構成は、安定感と視線の誘導性を兼ね備えており、効果的に活用することで、より魅力的な商品ディスプレイを実現できます。基本的な考え方は、商品や什器を三角形の形状に配置することです。
リニア・スキームの活用
リニア・スキームは、メインの線とそれを支えるサブの線を活用した構図のことを指します。例えば、モナリザの絵画では、頭から下にすそ広がりになった三角形の構図になっています。顔から胸のラインがメインラインとなり、サックドレスの左右の輪郭線がサブラインとなっています。商品ディスプレイでは、例えばコップを三角形に配置する際、中央の一番高い位置にあるコップがメインラインを形成し、両脇に配置されたコップがサブラインを形成します。
フォーカルポイントの設定
フォーカルポイントとは、視線が集中するポイントのことを指します。三角構成では、三角形の頂点がフォーカルポイントとなり、そこに配置された商品が最も目立つことになります。新商品や売り出したい商品を三角形の頂点に配置することで、効果的に顧客の注目を集めることができます。
フォーマルバランスの活用
フォーマルバランスとは、左右対称的な配置のことを指し、安定感と高級感を演出するのに適しています。高級食器や時計などの商品を展示する際に、中央を軸に左右均等に商品を配置することで、落ち着いた雰囲気と安定感を演出できます。
アンバランス要素の導入
完全な左右対称の配置は時として単調に感じられることがあるため、意図的にアンバランスな要素を取り入れることで、より動きのある魅力的なディスプレイを作り出すことができます。例えば、三角構成の片側に少し空間を作ったり、異なるサイズの商品を組み合わせたりすることで、視覚的な変化を生み出せます。
バランサーの活用
バランサーとは、全体のバランスを取るための補助的な要素のことを指します。例えば、コップのディスプレイで片側に空間ができた場合、その空間にシュガースティックなどの小物を配置することで、全体的なバランスを整えられます。
商品特性とコンセプトに合わせた適用
三角構成を効果的に活用するためには、これらの要素を意識しながら、商品の特性や店舗のコンセプトに合わせて柔軟に適用することが重要です。高級ブランド商品には厳格な三角構成とフォーマルバランスを、カジュアルな商品には崩した三角構成やアンバランスな要素を取り入れるなど、状況に応じた活用が効果的です。 例えば、ジュエリーショップでは、中央に最も高価な商品を配置し、両側に向かって価格帯や大きさを段階的に変化させることで、自然な視線の流れを作り出せます。一方、若者向けのアパレルショップでは、あえて非対称な配置や予想外の組み合わせを取り入れることで、動きのある魅力的な空間を演出できます。 また、季節や特定のイベントに合わせて三角構成を変化させることで、常に新鮮な印象を維持することも可能です。重要なのは、顧客層や商品の特性を十分に理解し、それに合わせて三角構成を柔軟に解釈し適用することです。
店舗全体への応用
三角構成は単一の商品グループだけでなく、店舗全体のレイアウトにも応用できます。店舗の中央に最も注目を集めたい商品カテゴリーを配置し、そこから両側に向かって段階的に高さや密度を下げていくことで、自然な流れと視線の誘導を生み出すことができます。 三角構成の考え方は機械的に適用するのではなく、常に顧客の視点に立ち、商品の魅力を最大限に引き出すことを意識しながら活用することが大切です。また、定期的にディスプレイを変更し、新鮮さを保つことも重要です。基本を押さえつつ創造性を発揮することで、顧客の心を掴む魅力的なVMDを実現できるでしょう。
ゴールデンゾーンとは?効果的な商品配置の秘訣
VMDを実践する上で重要な概念の一つに「ゴールデンゾーン」があります。ゴールデンゾーンとは、顧客の目に留まりやすく、手に取りやすい位置のことを指します。この概念を理解し、効果的に活用することで、商品の魅力を最大限に引き出し、売上の向上につなげることができます。
ゴールデンゾーンの定義
ゴールデンゾーンは、一般的に以下のような特徴を持つ領域を指します: 高さ ⇒床から約70cm~150cmの範囲 視線 ⇒顧客の目線の高さを中心とした範囲 手の届く範囲 ⇒無理なく手を伸ばして商品を取れる範囲 ただし、これらの数値は絶対的なものではなく、顧客層や商品の特性によって多少の変動があります。例えば、子供向け商品の場合は、ゴールデンゾーンの高さを低めに設定する必要があるでしょう。
ゴールデンゾーンの活用方法
ゴールデンゾーンを効果的に活用するためには、いくつかの重要なポイントがあります。まず、売りたい商品や新商品をゴールデンゾーンに配置することが重要です。次に、定番商品や大型商品は、ゴールデンゾーンの上下に配置するのが効果的です。 さらに、商品の特性に応じてゴールデンゾーンの範囲を調整することも考慮すべきです。最後に、季節やキャンペーンに合わせて、ゴールデンゾーンの商品を定期的に入れ替えることで、常に新鮮さを保つことができます。
具体的な活用例
スーパーマーケットの菓子売り場では、新商品や季節限定商品をゴールデンゾーンに配置し、定番商品や大容量パックは上下の棚に置くといった工夫が考えられます。アパレルショップでは、最新のトレンドアイテムや目玉商品をゴールデンゾーンに展示することで、顧客の目に留まりやすくし、購買意欲を刺激することができるでしょう。
オンラインショップへの応用
ゴールデンゾーンの概念は、オンラインショップのデザインにも応用可能です。ウェブサイトの場合、画面上部や中央部分がゴールデンゾーンに相当します。これらの領域に注目商品や特別オファーを配置することで、顧客の関心を引き、クリック率や購買率の向上につながる可能性があります。
バランスの重要性
ゴールデンゾーンに過度に依存しすぎないことも重要です。すべての商品をゴールデンゾーンに詰め込もうとすると、かえって顧客の目を疲れさせ、商品の魅力を損なう可能性があります。適度な余白を設け、メリハリのある商品配置を心がけることが、効果的なVMDの実現につながります。
動線設計との連携
ゴールデンゾーンの活用と合わせて、動線設計にも注意を払う必要があります。顧客の自然な流れに沿って商品を配置し、ゴールデンゾーンとそれ以外の領域をバランスよく組み合わせることで、店舗全体の回遊性を高めることができます。例えば、ゴールデンゾーンに配置した注目商品と関連性の高いアイテムを周辺に配置することで、顧客の視線や動きを自然に誘導し、より多くの商品に触れる機会を創出できるでしょう。
今後VMDに求められること
多くの店舗、特に小規模な店舗では、限られたスペースで効果的なVMDを実現することが課題となっています。商品を魅力的に展示しつつ、十分な通路幅を確保することが難しい場合があります。この課題に対する解決策として、垂直方向のスペースを有効活用することが挙げられます。壁面を活用した商品ディスプレイや、天井からのハンギングディスプレイなどを取り入れることで、床面積を有効に活用しながら、魅力的な空間を創出することができます。
季節やトレンドの変化への迅速な対応
季節やトレンドの変化に迅速に対応することも、VMDにおける重要な課題の一つです。特に、ファストファッションなどの業態では、商品の入れ替わりが頻繁に行われるため、それに合わせてVMDも迅速に更新する必要があります。 この課題に対しては、モジュール式の什器やフレキシブルな展示システムを導入することが効果的です。これにより、商品の配置や展示方法を容易に変更でき、常に鮮度の高いVMDを維持することが可能になります。
環境への配慮
サステナビリティへの関心が高まる中、VMDにおいても環境負荷の低減が求められています。この課題に対しては、リサイクル可能な素材を使用したディスプレイの導入や、エネルギー効率の高いLED照明の活用などが考えられます。 さらに、商品自体のサステナビリティをVMDを通じて訴求することで、ブランドイメージの向上にもつながる可能性があります。
人材育成
効果的なVMDを実現するには、デザイン感覚やマーケティングの知識、そして顧客心理の理解など、多岐にわたるスキルが必要となります。この課題に対しては、定期的な研修やワークショップの開催、成功事例の共有などを通じて、継続的な学習の機会を提供することが重要です。 また、VMDの効果を数値化し、PDCAサイクルを回すことで、スタッフのモチベーション向上とスキルアップにつなげることができるでしょう。
「VMD」とは?
マーケティングにおいては、「VMD」が活用されることが多いです。このVMDとは、一体どのようなものなのでしょうか。ここでは、VMDの基本的な意味について説明します。
「ビジュアルマーチャンダイジング」のこと
「VMD」とは、すなわちビジュアルマーチャンダイジングのことです。ビジュアルマーチャンダイジングとは、視覚的に訴えかけることにより、商品やサービスに対する購買意欲を向上させるためのマーケティング手法を意味しています。よって、VMDは、ビジネスにおいて重要なマーケティング手法のひとつであるといえます。
MDって?
ビジュアルマーチャンダイジングのうち、「MD(マーチャンダイジング)」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。マーチャンダイジングはとは、商品の販売計画のことを意味します。これには、企画や販売の意図も含められています。つまり、マーチャンダイジングとは、商品やサービスを適切な価格かつ適切な数量で用意し、ベストなタイミングで提供することを表しているのです。
VMDを具体的に説明すると?
マーチャンダイジングの意味を踏まえたうえで、VMDについて考えてみましょう。VMDは、MDをヴィジュアル化することです。ヴィジュアル化というのは、日本語で表すと「視覚化」ということになります。単なるMDで終わらせるのではなく、視覚化をおこなうことにより、商品やサービスの魅力を最大限にアピールすることができます。せっかくマーケティングをおこなうのであれば、視覚化までを徹底したほうが、その効果が高くなるのは明らかでしょう。見やすさや選びやすさを重視することにより、お客様が買いやすい売り場を作ることもとても大切です。
VMDとディスプレイ(DP)の違い
ところで、VMDは一般的なディスプレイとはどのように違うのでしょうか。当然ながら、VMDは一般的なディスプレイとは異なるものです。ただし、全く別物であると表現してしまうと語弊があります。なぜなら、VMDの手段のひとつとしてディスプレイがあるからです。ディスプレイというのは、商品やサービスを列したり装飾したりすることそのものを表す言葉です。それに対して、VMDは、商品やサービスのブランドの価値を視覚的に伝えることにより、購入に結びつけることを目的としています。VMDの具体的な表現方法としてディスプレイを選ぶことによって、具体的な成果を生む可能性が出てくるのです。VMDを意識するのであれば、ディスプレイとの違いについてもしっかりと理解しておくことが重要だといえるでしょう。
VMDに必要な要素
VMDには、必要な要素があります。VMDの基本要素のことは、MPといいます。これらは、生物学や心理学に基づいて成立したものであり、VMDを細分化してビジネスに必要な具体的な戦略を立てるために役立ちます。MPとしては、「VP(ビジュアル・プレゼンテーション)」「PP(ポイント・オブ・バーチェス)」「IP(アイテム・プレゼンテーション)」の3つがあります。それぞれの意味や効果については、次で詳しく紹介します。
VMDの基本
VMDの基本となる要素としては、すでに触れたように「VP(ビジュアル・プレゼンテーション)」「PP(ポイント・オブ・バーチェス)」「IP(アイテム・プレゼンテーション)」の3つがあります。それぞれは、具体的にどのような意味をもつものなのでしょうか。VMDをきちんとおこなうためには、それぞれの要素についてもしっかりと理解しておくことが必要不可欠です。ここでは、それぞれの要素について、詳しく説明します。
VP(ビジュアル・プレゼンテーション)
VMDの要素のひとつとして、「VP(ビジュアル・プレゼンテーション)」があります。VPは、簡単に言うと、人に商品やサービスの存在を気付かせるためのテクニックを意味しています。VPをきちんと成立させることができれば、売り場やその店舗に対して足を止める人を増やすことが可能になります。VPを向上させるためには、ショウウインドウを上手くまとめたり、入り口近くに入りやすい雰囲気を作ったりすることが大切です。また、特別なコンセプトがある場合は、そのコンセプトを分かりやすくまとめたエリアを設けるのも効果的でしょう。
PP(ポイント・オブ・バーチェス)
「PP(ポイント・オブ・バーチェス)」も、VMDにとって重要な要素のひとつです。PPは、お客様となりうる人の足を止めさせるテクニックと表現することができます。いくらVPで存在を気付かせることができても、実際に足を止めて商品やサービスを見てくれるようでなければ、販促につなげることはできないでしょう。PPのためには、ディスプレイや陳列棚に注目したうえで、その場に立ち止まる人を増やすことが重要な課題となります。まずは、目に入りやすい棚やディスプレイの配置を工夫することで、立ち止まるきっかけを作ることが大切です。お客様の目線に立ち、どのような部分に注目しやすいのかよく検討する必要があります。
IP(アイテム・プレゼンテーション)
VMDの最後の要素として、「IP(アイテム・プレゼンテーション)」があります。これは、商品を実際にお客様の手に取ってもらうためのテクニックです。IPがうまく機能すれば、お客様の購買意欲をかき立てることができます。欲しい商品と出会う確率を高められるため、実際に購入につながる可能性も高くなるでしょう。大切なのは、PPで足を止めたお客様が商品に関心を持ったときに、すぐに手に取れる状況にしておくことです。足を止めるきっかけとなるものが、直接お客様の手にとれない状態にあるなら、その近くに実際に手に取れるテスターや見本を置いておくとよいでしょう。また、スタッフに声を掛けやすい雰囲気を意識することも大切です。お客様が実際に商品に触れるということは、それだけ商品に強い興味をもっている状態といえます。
「VMD」の基本を理解して効果的に活用しよう
「VMD」は、マーケティングにおいて重要な手法です。そのため、マーケティングをおこなう立場になったら、「VMD」についてしっかりと理解を深めるところから始める必要があります。意味をしっかりと理解していないと、「VMD」を上手におこなっていくのは難しいと言わざるを得ません。よって、まずは「VMD」を始める前に、その意味を正確に理解するところから始めるようにしてください。もしかすると、「VMD」を担当している人であっても、具体的に「VMD」について説明できない人もいるかもしれません。イメージがきちんとあるのであれば問題は少ないですが、それでもきちんと意味を把握しておいたほうが安心です。マーケティングは奥が深いので、しっかりと意味や効果を把握しておかないと、途中で目的や方法が分からなくなってしまう恐れもあります。まずは、「VMD」の基本を理解し、そのうえで効果的に活用できるようにしましょう。
まとめ
VMDは、ただの商品陳列の技術にとどまらず、顧客の心理や行動を深く理解し、ブランドの価値を視覚的に表現する総合的なマーケティング手法です。本記事で解説してきた基本知識や技術を、自社の状況に合わせて柔軟に応用することが、効果的なVMDの実現につながります。三角構成やゴールデンゾーンの概念を理解し、適切に活用することで、より魅力的で購買意欲を刺激する売り場づくりが可能となります。また、常に顧客視点に立ち、時代の変化やテクノロジーの進化に柔軟に対応しながら、創造性を発揮することが重要です。VMDの実践においては様々な課題に直面することもありますが、それらを一つずつ克服していくプロセスこそが強みとなり、競争力の向上につながるのです。VMDの基本を押さえつつ、常に新しい可能性を探り続けることで、顧客に感動を与え、ブランド価値を高める売り場づくりを実現できるでしょう。
- 通信講座のSARAスクール編集部
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心理カウンセラー資格やリンパケアセラピスト等の体系資格、食育資格などを扱うSARAスクール編集部が運営するコラムです。主に女性向けのキャリアアップやスキル習得を目的とした講座が多く、家事や育児と両立しながら学べる環境が整っています。資格取得を目的とした講座も充実しており、仕事や日常生活に活かすことが可能です。