歯科助手は、歯科医院の受付・会計・レセプト作成・歯科医や歯科衛生士のサポートなど様々な仕事があり、歯科医院に欠かせない存在です。
歯科助手資格は民間資格のため資格なしでも働けますが、歯科助手資格を取って歯科用語などの専門知識を事前に身につけておくと、安心して働くことができます。
ここでは、8種類の歯科助手資格について、ご紹介していきます。
歯科助手資格は、講習を受けると認定される資格と、試験を受けて合格する必要のある資格があります。
それぞれの資格の特徴や学習期間の目安、気になる合格率や費用など見ていきましょう。
歯科助手関連の資格には、民間資格が多数あります。
歯科助手になるために資格は必須ではありませんが、働き始めてから歯科助手の知識を身につけるよりも事前に知っていたほうが、就業先で説明を受けた時に理解しやすいです。
また、歯科助手関連の資格は、歯科に関わる医療保険制度や医学・薬学知識、診療報酬の算定・診療介助・カルテ管理・患者様との接遇など、さまざまな内容を学びます。
どの資格を取得しても、歯科助手の仕事内容や平均年収は変わらないため、まずは詳しく見ていきましょう。
歯科助手の仕事は、受付から始まります。
歯科助手は、受付から会計までの患者対応を行い、歯科医師や歯科衛生士のサポートも行います。
そして、診療報酬明細書の作成など診療内容を把握した上での、医療費の算定も行います。
歯科助手の仕事は非常に多岐にわたるため、働き始める前に知識を蓄えておくと、スムーズに働けます。
気になる歯科助手の年収は、社員の場合200~300万円台です。
また、派遣社員やアルバイト・パートの時給は、900~1,100円台が多いです。
令和2年9月に発表された国税庁の民間給与実態調査によると、日本人の平均年収は436万円です。
また、2019年9月~2020年8月の1年間に、dodaエージェントサービスに登録した人の平均年収のデータを、職種別に集計した結果によると、一般事務の平均年収は331万円です。
これらの結果からみると、歯科助手の年収はやや低めです。
しかし、歯科診療所は自宅や最寄り駅の近くなど希望する場所で働きやすいこと、パートやアルバイトの時間の融通がききやすいこと、
予約制の医院では残業が少なめであることなど、働きやすい環境です。
歯科助手の仕事内容や年収について理解したところで、歯科助手関連の資格について詳しく見ていきましょう。
ここでは、以下8種類の資格の特徴や試験内容について、ご紹介していきます。
自分にピッタリな資格はどれなのか、選ぶ参考にしていきましょう。
歯科助手資格は、日本歯科医師会が認定している資格です。
歯科医療をスムーズに進めるため、タイミングよく器具を手渡したり材料の準備や後始末など、サポートする訓練を受けます。
歯科助手資格には甲種と乙種があり、乙種はさらに乙種第一と乙種第二に分かれます。
種別 | 訓練時間数 | 項目 |
---|---|---|
甲種 | 420 | 歯科助手の心得、関連法規、歯科用語、歯科基礎概論、歯科臨床概説、消毒法、歯牙形態、診療用器械・材料の取扱法、歯科保健指導、清掃保全、社会保険関係事務、事務関係事項、X線フィルムの整理、実習、医療安全、産業廃棄物、情報処理 |
乙種第一 | 52 | 歯科助手の心得、一般教養、保守管理、歯科臨床概論、消毒法、共同作業、社会保険の概要、歯科事情、医療安全、産業廃棄物、情報処理 |
乙種第二 | 40 | 歯科助手の心得、一般教養、歯科臨床概論、歯科事情、社会保険の概要、受付の業務、事務関連事項、社会保険の実務、医療安全、産業廃棄物、情報処理 |
甲種に認定されるためには、まず乙種第一歯科助手の資格が必要です。
まずは、乙種の講習から始めましょう。
講習を受講すると資格の取得ができますが、受講者は各歯科医師会の会員診療所で働く方を対象にするケースが多いため、受講したい場合、まずは自分の住む都道府県歯科医師会へ問い合わせましょう。
歯科助手技能認定は、日本医療教育財団が行っています。
歯科助手として働くために必要な、受付・診療報酬算定の基礎・診療介助・機器の保守等の知識を、学科試験で判定します。
試験内容 | 受付事務に係わる基礎知識(25問以上)・診療介助に係わる専門知識(20問以上) |
---|---|
認定料 | 3,000円 |
受験資格の有無 | 所定の教育訓練ガイドラインに適合するカリキュラムで、技能を習得した者 |
出題形式は三肢択一式、受付事務に係わる基礎知識60分以内、診療介助に係わる専門知識60分以内での解答です。
合否は、受付事務に係わる基礎知識で90%以上の得点、診療介助に係わる専門知識で90%以上の得点が必要です。
歯科助手技能認定は、承認を受けた教育機関で、所定の教育訓練ガイドラインに適合するカリキュラムで技能を身につけ、修了試験に合格した方に対して認定します。
資格取得の試験ではなく、日本医療教育財団の定めるカリキュラムの講座を修了すると資格認定されるため、修了試験で90%以上の得点が必要になります。
資料等を見ながら解答できますので、講座を思い出しながら解答しましょう。
承認を受けた教育機関には、通信教育講座も該当するところがあります。
すべての通信教育が該当するわけではないため、「歯科助手技能認定」を取得したい場合、事前に取得できるか確認してから申し込みましょう。
歯科医療事務管理士は、技能認定振興協会(JSMA)が認定する資格です。
名称に「医療事務」とある通り、この資格では、歯科医院における患者様への対応・レセプト作成・カルテ管理といった、医療事務スキルを持っているかを審査します。
試験内容 | 実技試験・学科試験 |
---|---|
受験料 | 7,500円 |
受験資格の有無 | 問わない |
実施時期 | 奇数月の第4土曜日翌日(日曜日) |
合格率 | 60〜70%程度 |
実技試験では、レセプト点検1問・レセプト作成2問を、3時間で解答します。
学科試験はマークシート式で、法規・医学一般・保険請求事務に関する問題の計10問を、1時間で解答します。
通信教育講座の中には、「歯科医療事務管理士」の試験内容に沿ったカリキュラムのものもあります。
効率よく学習するには、通信教育が役立ちます。
合格基準は、実技試験において点検・作成の問題ごとに約60%以上の得点、かつ3問の合計で約85%以上が必要で、学科試験は約85点以上の正解が必要です。
歯科医療事務管理士は、事務スタッフに重点を置いた資格のため、医療現場を事務面からサポートしたい方におすすめです。
歯科アシスタント検定試験は全国医療技能検定協議会が行っており、歯科の事務業務だけでなく、歯科医師のアシスタントとしての能力を証明する検定試験です。
試験内容 | 実技試験(1級のみ)・学科試験 |
---|---|
受験料 | 3,800円(3級)・4,500円(2級)・6,300円(1級) |
受験資格の有無 | 問わない |
実施時期 | 協会へ問い合わせ(日曜日) |
歯科アシスタント検定試験では、1級から3級まであります。
歯科助手について初めて勉強し受検する方は、3級から目指しましょう。
種別 | 試験時間 | 試験内容 |
---|---|---|
3級 | 60分 | 歯科医療の基本的な知識があり、簡単な診療方法を把握している |
2級 | 60分 | 歯科医療に対して広い知識があり、診療方法の応用が身についている |
1級 | 30分(実技)・60分(学科) | 歯科医療に対する知識が深く、診療体制について正確・迅速な対応ができる |
合格基準は、歯科診療補助・歯科診療概論で70%以上正答(3級)、歯科診療補助・歯科臨床概論・口腔衛生で80%以上正答(2級)、歯科診療補助・解剖学・生理学・歯科臨床概論・薬学・栄養・口腔衛生で80%以上正答(1級)、となっています。
事務業務だけでなく、アシスタント業務もしっかりサポートしていきたい方に、おすすめの資格です。
歯科医療事務検定は全国医療技能検定協議会が行っており、主に受付・カルテ管理・レセプト作成・点検業務といった、事務業務についての知識やスキルが審査されます。
試験内容 | カルテ(3級)・レセプト(2級)・レセプト・学科試験(1級) |
---|---|
受験料 | 3,800円(3級)・5,500円(2級)・6,300円(1級) |
受験資格の有無 | 問わない |
実施時期 | 協会へ問い合わせ |
歯科医療事務検定は、1級から3級まであります。
3級から始めて1級を目指していくと、スムーズに勉強できます。
種別 | 試験時間 | 試験内容 |
---|---|---|
3級 | 60分 | 医療保険制度等が理解でき、基本的な治療内容の把握やカルテに点数を記入できる |
2級 | 90分 | 応用的な治療を把握し、明細書(レセプト)に正確な記入ができる |
1級 | 90分 | 請求事務を幅広くこなせる深い知識・技能を有し、あらゆる治療内容の点数算定について広く理解できる |
合格基準は、カルテ2枚80%以上正答(3級)、レセプト2枚80%以上正答(2級)、レセプト2枚と学科試験80%以上正答(1級)です。
3級はカルテに点数記入すること、2級はレセプトに正確な記入ができること、1級はレセプトの正確な記入に加えて学科試験で知識面での理解を求められます。
歯科助手として事務業務の知識を得ておきたい方に、おすすめの資格です。
歯科助手専門員は全国医療福祉教育協会が行っており、歯科助手技能認定と同様、通信教育の講座を一定レベルで修了すると資格の授与となります。
受付事務と医療保険制度・歯の知識・歯牙疾患・歯周疾患など、事務業務からアシスタント業務まで幅広く学べます。
申請料 | 3,000円 |
---|---|
受験資格の有無 | 通信教育講座に付属する通信添削課題(全3回)を、一定の成績で修了した者 |
歯科助手専門員では、一定の成績で課題をクリアする必要があります。
ですが、一定のレベルをクリアしなかった場合は何度でも再提出できるため、頑張る方は確実に資格を取ることができます。
歯科助手専門員は、通信教育講座を受講することが条件となっています。
そのため、申請料とは別に講座料金が必要になります。
一定レベルに達しなかった場合でも、再提出で100%資格の取得ができるため、確実に資格を取りたい方におすすめです。
歯科助手検定試験は、日本歯科助手検定協会が認定する検定試験です。
試験内容 | 学科試験 |
---|---|
受験料 | 6,300円(1級)・5,300円(2級)・4,200円(3級) |
受験資格の有無 | 問わない |
実施時期 | 級によって異なるため、事前に協会へ問い合わせ |
種別 | 試験時間 | 試験内容 |
---|---|---|
3級 | 60分 | 歯科医療の基本的な知識があり、簡単な診療方法を把握している |
2級 | 60分 | 歯科医療に対して広い知識があり、診療方法の応用が身についている |
1級 | 60分 | 歯科医療に対する認識が深く、診療体制について正確・迅速な対応ができる |
歯科アシスタント検定試験と、同じ試験内容になっています。
歯科アシスタント検定では1級に実技試験がありますが、歯科助手検定試験では学科試験のみです。
合格基準は、歯科診療補助・歯科診療概論で70%以上正答(3級)、歯科診療補助・歯科臨床概論・口腔衛生で70%以上正答(2級)、歯科診療補助・解剖学・生理学・歯科臨床概論・薬学・栄養・口腔衛生で70%以上正答(1級)、となっています。
合格基準を歯科アシスタント検定試験と比べると、3級は同程度、1級・2級では易しくなっています。
とにかく歯科助手資格が欲しい方は、歯科助手検定試験を選択肢に入れてみましょう。
歯科助手関連の資格は、通信教育講座を利用すると、再チャレンジも含めて100%取得することができます。
通信教育講座を利用した場合、学習期間の目安は2か月~5か月です。
通信教育講座を利用する場合は、利用する講座によって取得できる歯科助手資格が異なります。
取得したい歯科助手資格が決まっている場合、その資格に対応している通信教育講座に申し込む必要があります。
漠然としており具体的に決まっていない方は、「SARAスクールジャパン」のような女性のための通信講座もあります。
歯科助手は、未経験・無資格でも働ける魅力があります。
ですが資格を持つことで、すんなり仕事を覚えられたり、即戦力として働いたりできます。
歯科助手の仕事は、これからもなくなることはないため、将来的にも安定して働けます。
資格を持つと歯科助手としての能力を客観的に証明でき、就職に有利に働くこともあるため、「SARAスクールジャパン」のような通信講座で、資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。