DVの種類とは?被害者の特徴と心理
記事更新日:2024年9月9日ドメスティック・バイオレンス(DV)にはどんな種類があるのか、なぜ被害者は逃げないのか、そんな疑問を抱えていませんか?DVが長期化する要因の1つには、外部からは見えない被害者の心理が関わっていることがあります。
DVを受けていても、どのような行動をすればいいのか分からないという人は少なくありません。DVを受けやすい人には特徴があり、そういった人はDVから抜け出すのにも苦労する傾向があります。しかし、DVは深刻な問題であるため、被害にあったら適切な対応をすることが大切です。
DVを受けた場合、どのような対応をおこなったらいいのでしょうか。今回は、DVの種類やDVを受けやすい人の特徴とともに、DVへの適切な対応について紹介します。
目次
DVとは何か?定義と背景
DVという言葉を耳にする機会が増えてきましたが、その本質を正確に理解している人は少ないかもしれません。ここでは、DVの定義や法的な位置づけ、そしてDVが起こる社会的背景について詳しく見ていきましょう。
DVの定義と法的位置づけ
DVとは、Domestic
Violence(ドメスティック・バイオレンス)の略称です。日本語では「配偶者からの暴力」と訳されることが多いですが、実際には婚姻関係にない恋人間でも起こりうる問題です。
法律上、DVは「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)」で定義されています。この法律では、DVを「配偶者からの身体に対する暴力(身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの)又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動」と規定しています。
しかし、この定義は必ずしもDVの全容を表しているわけではありません。実際のDVは、身体的な暴力だけでなく、精神的、性的、経済的な暴力など、多岐にわたる形態を含んでいます。
DVが起こる社会的背景
DVが発生する背景には、個人的な要因だけでなく、社会的・文化的な要因も大きく関わっています。日本社会に根強く残る性別役割分業意識や、「夫婦げんかは犬も食わない」といった古い価値観が、DVを助長する要因となっている面があります。
また、経済的な格差や依存関係も、DVを生み出す土壌です。特に、女性の経済的自立が難しい社会構造は、DVから逃れにくい状況を作り出しています。
さらに、暴力を解決手段として容認する文化や、他人の家庭に干渉すべきではないという考え方も、DVを見えにくくし、問題の解決を遅らせる要因となっています。
こうした社会的背景を理解することは、DVの問題に取り組む上で非常に重要です。個人の問題として片付けるのではなく、社会全体で取り組むべき課題として認識する必要があるのです。
DVの相談件数
内閣府男女共同参画局が公表した令和5年の統計によると、配偶者暴力相談支援センターへの相談件数は近年増加傾向にあります。
平成14年度に約35,000件だった相談件数は、年々増加を続け、令和2年度には過去最高の約13万件を記録しました。この急増は、新型コロナウイルス感染症の影響による外出自粛や経済的不安などが背景にあると考えられています。
令和3年度以降は若干の減少が見られるものの、依然として高い水準を維持しており、令和4年度の相談件数は約12.2万件となっています。この数字は10年前と比較すると約1.5倍に増加しており、DVの問題が社会に根強く存在していることを示唆しています。
相談件数の増加は、必ずしもDVの発生件数そのものの増加を意味するわけではありません。むしろ、社会全体のDVに対する認識の向上や、相談窓口の周知、支援体制の充実などが影響していると考えられます。しかし、依然として多くのDV被害が潜在化している可能性も指摘されており、さらなる啓発活動や支援体制の強化が求められています。
DVの種類と具体例
DVには様々な形態があり、それぞれが被害者に深刻な影響を与えます。ここでは、代表的なDVの種類とその具体例について詳しく見ていきましょう。DVの種類を知ることで、自分や周囲の人が被害に遭っていないか、気づくきっかけになるかもしれません。
身体的暴力
身体的暴力は、最も分かりやすいDVの形態です。具体的には、殴る、蹴る、つかむ、押す、物を投げつける、髪を引っ張るなどの行為が含まれます。これらの暴力は、直接的に身体に危害を加えるため、外傷や痛みを伴います。
しかし、注意すべきは、必ずしも目に見える傷跡が残るとは限らないということです。例えば、首を絞める行為は、外見上の傷跡は残りにくいものの、生命に関わる非常に危険な暴力です。
また、「暴力をふるう」と脅すだけでも、被害者に大きな恐怖を与え、精神的なダメージを与えることがあります。このように、身体的暴力は単に身体への危害だけでなく、精神的な影響も大きいのです。
精神的暴力
精神的暴力は、目に見える形で現れないため、周囲が気づきにくい暴力です。しかし、被害者の心に深い傷を残し、長期的な影響を及ぼすことがあります。
具体的な例としては、以下のようなものがあります。
・罵倒や侮辱、人格を否定するような言動
・視や冷たい態度を続ける
・行動を過度に制限する(友人との付き合いを禁止するなど)
・常に監視し、プライバシーを侵害する
・大切にしているものを壊す
・自殺をほのめかすなど、心理的に追い詰める
これらの行為は、被害者の自尊心を著しく低下させ、自信を失わせます。その結果、被害者は自分の判断や感情を信じられなくなり、加害者への依存度が高まってしまうことがあります。
性的暴力
性的暴力は、被害者の意思に反して行われる性的な行為全般を指します。これは、DVの中でも特に深刻な形態の一つです。
具体的には、以下のような行為が含まれます。
・同意のない性行為の強要
・ポルノグラフィーの視聴や撮影の強要
・避妊に協力しない
・性的な侮辱や嘲り
・不自然な性的嫉妬や疑いをかける
性的暴力は、被害者の尊厳を著しく傷つけ、長期的なトラウマを引き起こす可能性があります。また、性感染症や望まない妊娠のリスクもあり、身体的な健康にも深刻な影響を及ぼすことがあります。
特に注意すべきは、結婚していることや交際中であることを理由に、性的な要求を断る権利がないと思い込んでしまう被害者が多いことです。しかし、親密な関係であっても、相手の意思に反する性的行為は暴力であり、決して許されるものではありません。
経済的暴力
経済的暴力は、金銭や財産を通じて相手をコントロールしようとする行為です。この形態のDVは、被害者の経済的自立を妨げ、関係から逃れることを困難にします。
経済的暴力の具体例には、以下のようなものがあります。
・生活費を渡さない、または極端に制限する
・被害者の収入を奪い取る、または管理する
・被害者の就労を妨害する、または無理やり辞めさせる
・借金を強要する
・生活必需品の購入を制限する
・金銭的な決定から被害者を排除する
経済的暴力は、被害者の自立を妨げるだけでなく、自尊心も著しく低下させます。また、経済的な依存状態を作り出すことで、被害者がDVの関係から抜け出すことを極めて困難にします。
特に、専業主婦(夫)や、子育て中の親などは経済的暴力の影響を受けやすい立場にあります。自分で稼いだお金ではないという罪悪感や、経済的に自立できないという不安から、暴力的な関係に留まってしまうケースも少なくありません。
これらのDVの種類は、多くの場合、単独で発生するのではなく、複合的に存在します。例えば、身体的暴力と精神的暴力が同時に行われたり、経済的暴力と性的暴力が組み合わさったりすることがあります。このような複合的な暴力は、被害者に更に大きな打撃を与え、問題の解決をより困難にします。
DVの種類を正しく理解することは、被害の早期発見と適切な対応につながります。自分自身や周囲の人が、これらの暴力を受けていないか、注意深く観察することが大切です。
DV被害者の特徴と心理
DVの被害者には、いくつかの共通した特徴や心理的傾向が見られます。ここでは、被害者になりやすい傾向や、DVによる心理的影響、そしてDVの関係から抜け出せない理由について詳しく見ていきましょう。これらを理解することは、被害者への適切な支援や、自身がDVの状況にあることに気づくための重要な手がかりとなります。
被害者になりやすい傾向
DVの被害者になりやすい人には、いくつかの共通した特徴があります。ただし、これらの特徴があるからといって、必ずDVの被害に遭うわけではありません。また、これらの特徴がなくてもDVの被害に遭う可能性はあります。
・自尊心の低さ
自分に自信がなく、自己評価が低い人は、DVの被害に遭いやすい傾向があります。自分には価値がないと思い込んでいると、相手からの暴力を「自分が悪いから」と受け入れてしまうことがあります。
・依存的な性格
他人に頼りがちで、自立心が弱い人は、DVの関係に陥りやすいです。相手に依存することで、暴力的な態度を受け入れてしまう可能性があります。
・過度な正義感
正義感が強すぎる人は、相手の問題点を指摘しようとするあまり、かえって暴力をエスカレートさせてしまうことがあります。
・孤立した環境
周囲に頼れる人がいない、または社会的なつながりが少ない人は、DVの被害に遭いやすく、また被害から抜け出しにくい傾向があります。
・過去のトラウマ
子供時代に虐待を受けた経験や、過去のDV被害経験がある人は、再びDVの被害に遭うリスクが高くなります。
これらの特徴は、決して被害者に責任があるということではありません。むしろ、これらの特徴を持つ人々が社会的に脆弱な立場に置かれやすいことを示しています。DVの根本的な原因は、あくまでも加害者の側にあることを忘れてはいけません。
DVによる心理的影響
DVは被害者に深刻な心理的影響を与え、その影響は長期にわたって被害者の日常生活や対人関係に大きな支障をきたすことがあります。多くの被害者は心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状を示し、トラウマ反応として様々な症状が現れます。
暴力を受けた時の記憶が突然よみがえるフラッシュバックや、DVに関連する恐ろしい悪夢に悩まされることがあります。また、常に高い警戒心を持ち、些細な刺激にも過剰に反応する過覚醒状態に陥ったり、DVを想起させるような状況や場所を避けようとする回避行動が見られたりします。
継続的な暴力や虐待により、被害者の自尊心は著しく低下し、自分に価値がないと感じるようになります。自己肯定感が損なわれ、自分の判断や感情を信じられなくなることも少なくありません。
繰り返される暴力は、被害者に状況を変えることができないという無力感や絶望感をもたらします。これを心理学では、「学習性無力感」と呼びます。被害者が自ら助けを求めることを困難にする1つの要因となっています。
感情の麻痺と現実感の喪失
長期間のDVにさらされることで、被害者は感情を抑圧し、麻痺させることがあります。これは激しい感情的苦痛から自分を守るための防衛機制ですが、結果として他者との感情的つながりを作ることが難しくなります。
また、多くの被害者はDVが起こる原因が自分にあると思い込み、強い罪悪感と自責の念に苛まれます。加害者が「お前が悪いから」と言い続けることで、この感情はさらに強化されていきます。
現実感の喪失も、長期間のDVによってしばしば見られる症状です。これは解離症状の一種で、自分の体験が現実のものではないような感覚に陥ります。この状態は、被害者の日常生活や社会的機能に深刻な影響を与える可能性があります。
これらの心理的影響は複雑に絡み合い、被害者の生活全般に大きな支障をきたします。適切な支援やカウンセリングを受けることで、これらの影響から回復することは可能ですが、それは時間のかかるプロセスであり、周囲の理解と支援が不可欠です。
DVから抜け出せない理由
「なぜDVから逃げ出さないのか」という疑問をよく耳にしますが、DVの関係から抜け出すことは、外部の人が想像する以上に困難です。
多くの場合、被害者は経済的に加害者に依存しており、特に子どもがいる場合、経済的な不安は大きな障壁となります。子どもの存在自体が、関係を断ち切ることをためらわせる要因にもなっており、別れた後の子どもの養育環境への不安も無視できません。
加害者からの報復や、さらなる暴力への恐怖心も、被害者を逃げ出せない状況に追い込む大きな要因です。DVにより社会的に孤立させられた被害者は、助けを求められる相手がいないと感じ、さらに状況を悪化させることがあります。
複雑な感情と社会的要因
DVの関係では、暴力と愛情表現が交互に現れることがあり、これにより被害者は「本当は愛されている」と信じ続けてしまうことがあります。また、結婚の維持を重視する文化や宗教的背景により、DVであっても関係を続けなければならないと考える被害者も少なくありません。
継続的な暴力により自尊心が著しく低下した被害者は、自分には逃げ出す価値がないと思い込んでしまうこともあります。加害者と被害者の間に形成される強い感情的なつながり、いわゆる「トラウマティック・ボンディング」により、被害者は加害者から離れられなくなることもあります。
たとえ現状が苦しくても、慣れ親しんだ環境を離れ、新しい生活を始めることへの不安が大きいこともDVから抜け出せない理由の一つです。さらに、DVに対する社会の理解不足により、被害者が適切な支援を受けられず、孤立してしまうケースも多々見られます。
これらの理由は複雑に絡み合っており、被害者を逃げ出せない状況に追い込んでいます。DVから抜け出すためには、被害者への理解と適切な支援が不可欠であり、社会全体がDVの実態を理解し、被害者を孤立させないことが重要です
DVへの対応と支援
DVは深刻な問題ですが、適切な対応と支援があれば、被害者は安全な環境を取り戻し、回復への道を歩むことができます。ここでは、被害者自身ができること、周囲の人間にできること、そして社会的な支援システムについて詳しく見ていきましょう。
被害者自身ができること
DVの被害に遭っている方、または遭っているかもしれないと感じている方が自分自身でできることがいくつかあります。
まず、自分が受けている扱いがDVであることを認識することが最初の重要なステップです。DVの種類や特徴について学び、自分の状況を客観的に見つめ直してみましょう。次に、緊急時に備えて安全計画を立てておくことが大切です。緊急連絡先リストの作成、重要書類や現金の安全な場所への保管、信頼できる人に状況を打ち明け助けを求められる体制を整えるなどの準備をしておくとよいでしょう。
可能であれば、暴力の証拠を残しておくことも重要です。日記をつけたり、怪我の写真を撮ったりすることで、後の法的手続きに役立つ可能性があります。一人で抱え込まず、専門機関に相談することも大切です。配偶者暴力相談支援センターや女性相談所などが相談窓口となっています。
心の回復と自立に向けて
DVにより低下した自尊心を回復させるため、自分を大切にする習慣を身につけることが重要です。小さな成功体験を積み重ねることで、自信を取り戻すことができるでしょう。また、可能であれば少しずつでも貯金をし、経済的自立の準備をすることをおすすめします。就労支援サービスなどを利用することも検討してみてください。
ストレス解消法を見つけ、心身の健康を維持するよう心がけることも大切です。適度な運動や十分な睡眠、バランスの取れた食事は心身の回復に役立ちます。
周囲の人間にできること
DVの被害者を身近に感じた場合、周囲の人間にもできることがあります。DVの兆候に気づいたら、被害者に優しく声をかけましょう。判断や批判をせず、相手の話に耳を傾けることが大切です。被害者が安心して話せる環境を作り、秘密は必ず守り、相手のペースを尊重することが重要です。
DVに関する正確な情報や、利用可能な支援サービスについて情報提供をすることも有効です。ただし、押し付けにならないよう注意が必要でしょう。被害者が望む場合は、安全計画の作成や避難場所の確保などを手伝うことも考えられます。必要に応じて、専門機関への相談を勧めましょう。可能であれば、同行支援を申し出ることも効果的かもしれません。
DVからの回復は長い道のりです。一時的ではなく、継続的な支援を心がけることが大切です。最後に、支援者自身の安全も重要です。加害者から危害を加えられる可能性がある場合は、専門機関に相談することを忘れないでください。
社会的支援システム
DVの被害者を支援するため、さまざまな社会的支援システムが整備されています。
・配偶者暴力相談支援センター
各都道府県に設置されており、DVに関する相談、カウンセリング、一時保護、自立支援などを行っています。
・警察
緊急時の対応や、保護命令申立ての際の援助を行います。
・法テラス(日本司法支援センター)
法律相談や弁護士の紹介など、法的支援を提供しています。
・婦人相談所
一時保護や自立支援を行っています。
・民間シェルター
一時的な避難場所を提供する施設です。
・児童相談所
子どもがいる家庭のDVケースでは、児童相談所も重要な役割を果たします。
・療機関
身体的・精神的なケアを提供します。
・女性センター
DVに関する相談や情報提供を行っています。
・ステップハウス
自立に向けた中間的な住まいを提供する施設です。
就労支援サービス
経済的自立に向けた支援を行います。
これらの支援を正しく活用することで、DVの被害者は安全を確保し、新たな生活を始めるための支援を受けられます。しかし、支援の存在を知らない、または利用方法が分からない被害者も多いのが現状です。社会全体でDVに対する理解を深め、支援システムの周知と利用促進を図ることが重要です。
DVとは?
DVとは、そもそもどういう状態を指しているのでしょうか。まずは、DVの具体的な意味について確認しておきましょう。
ドメスティックバイオレンスの略
DVとは、「ドメスティックバイオレンス(domestic violence)」を略した言い方です。ドメスティックは「家庭的な」、バイオレンスは「暴力」をあらわす言葉です。
配偶者や親密な男女間に発生する暴力
ドメスティックバイオレンスはその言葉の意味からも分かるように、親密な関係の間に起こる暴力のことを指しています。たとえば、配偶者や内縁関係の間で起こる暴力のことを、ドメスティックバイオレンスとよんでいます。
DVの種類
一口にDVといっても、その種類はさまざまです。DVの種類について、代表的なものを紹介しておきます。
身体的暴力
DVとしてもっとも分かりやすいのが、身体的暴力です。殴ったり蹴ったりといった行為をおこなうことにより、相手を傷つける行為のことを指しています。身体的暴力は体にあとが残ることも多いため、比較的周囲が気付きやすいDVだといえるでしょう。
精神的暴力
DVの例としては、精神的暴力もあります。精神的暴力は、相手に精神的なダメージを与える言動のことを指します。嫌がらせのようなものが家庭内や内縁関係の中で起きれば、それは精神的暴力としてとらえることができます。
性的暴力
DVには性的暴力もあります。親しい関係であっても、同意なく無理やりに性的な行為をすることは、暴力にあたります。そのことを理解せず、パートナーに性的な関係を強要している人も少なくはありません。
経済的暴力
経済的暴力とは、生活に必要なお金を渡さなかったり、相手が使う金額を細かく管理したりすることを指します。どちらかが専業主婦(主夫)をしている場合に起きやすいDVです。この場合、自分が稼いでいるのに、そのお金を相手に使われるのは気に食わないという言い分をする人が多いです。
DV被害者の特徴は?
では、DVにあう被害者には、どういった特徴があるのでしょうか。DVにあいやすい人には、いくつか特徴があります。よくあるDV被害者の特徴について見てみましょう。
正義感が強い
DV被害者のなかには、正義感が強い人も多いです。正義感が強い人はDVをおこなう人の問題点に向き合おうとしますが、それが逆効果となってDVが過激になる可能性があります。通常、正義感があるのはよいことです。とはいえ、DVをおこなうようなタイプの人には正論は通じないことが多いです。
劣等感が強い
DVを受ける人は、自分自身に自信がなくて劣等感が強いこともあります。そのため、DVを受けても自分が悪いと思ってしまい、相手に言い返したりやり返したりすることができません。それにより、DVの加害者はどんどん調子に乗ってしまうので、DVの問題がどんどんこじれていってしまいます。
まわりに頼れる人がいない
DVで悩んでいる人は、まわりに頼れる人がいないというケースもあります。仕事をしておらず、自立できていないと、頼れる相手はDVの加害者だけという状況になりやすいです。
DVから抜け出せない原因とは?
DVは一度起きてしまうと、なかなかその状況から抜け出すことができません。それはなぜなのでしょうか。ここでは、DVから抜け出せない原因について詳しく見てみましょう。
DVされている自覚がない
DVをされている人は、その言動をDVだと認識していないこともあります。「自分が悪いから当然」「これは愛情表現の一つだ」などという考えになり、DVを認めることができないのです。このタイプの人は、現実を冷静に見つめられるようにならなければなりません。
感覚が麻痺している
DV受け続けていると、感覚が麻痺してしまうこともあります。DVがある日常が当たり前になり、耐えるのが普通だと思ってしまいます。こうなると、DVから抜け出すのは一苦労するでしょう。
恐怖に支配されている
DVを受けている場合、恐怖が強すぎて抜け出す努力ができないこともあります。誰かに相談したことが相手に知れたら、もっと怖い目にあうかもしれないと考えると、なかなかDVのことを相談できなくなります。いろいろな手段があるということも、理解できない状態になってしまっています。
世間体を気にする
DVを受けているのにもかかわらず、その状況に耐え続けている人は世間体を気にしているという可能性もあります。DVを受けていることがまわりに知られるのが嫌で、その状況をまわりに相談したり自分で変える努力をしたりすることができません。
DVを受けたら?
DVを受けたら、どのような対応をすればいいのでしょうか。DVは非常に重大な問題となっているので、さまざまな機関が相談窓口を設けています。DVを受けているなら、頼れる機関に早めに相談することが大切です。
配偶者暴力支援センターや警察署に相談
DVを相談できる機関としては、配偶者暴力支援センターや警察署があげられます。これらのほかにも、民間の団体が個別に相談窓口や支援サービスを提供していることも多いです。まずは、自分にとって相談しやすいところへ行ってみるのがよいでしょう。
然るべき治療を受ける
DVを受けると、少なからず心にダメージがあるはずです。実際、DVを受けた被害者はPTSD(心的外傷ストレス障害)に陥りやすいといわれています。そのため、カウンセリングなどを受け、適切な治療を受けることも重要だといえます。
DVが原因の離婚について
DVが深刻な場合、離婚も視野に入れたほうがいいケースもあります。DVが原因による離婚をするのは道のりも決して簡単ではありませんが、自分のことを大切にするためにもしっかりとした意思を持って決断すべきです。DVによって離婚するなら、どのようなDVを受けていたのかによっても慰謝料が変わることがあります。専門家に相談しながら手続きを進めれば、最善の結果につなげることができるはずです。
DVの被害者になったら早めに行動を起こそう
DVの被害には、さまざまな種類があります。一度DVが始まってしまうと、黙っているだけではその被害はなかなかおさまりません。DVを受けたと感じたら、なるべく早めに対応を検討すべきです。DVは多くの人が被害にあっており、さまざまな機関が相談窓口を設けています。そういった頼れる機関に相談し、適切な対応をしていけば、少しでも早くDVの被害から解放されるはずです。DVを受けていると感覚がおかしくなってしまい、それが当たり前のことのようにも思えてきます。しかし、DVは決して許されない行為です。DVを受けたときは、しっかりとその問題と向き合って対応しなければなりません。まわりの人を頼ることは恥ずかしいことではないので、しっかりと相談をして着実に前へ進んでいくことが重要だといえます。DV被害にあったら、状況を少しでも改善するために頑張って行動を起こしていきましょう。
まとめ
DVは深刻な社会問題であり、その種類や被害者の心理、支援システムについて理解を深めることが重要です。身体的、精神的、性的、経済的暴力など、DVには様々な形態があり、被害者に長期的な心理的影響を与えます。DVから抜け出すことは容易ではありませんが、適切な支援があれば回復は可能です。
被害者自身、周囲の人々、そして社会全体が協力して取り組むことが不可欠です。相談件数の増加は、問題の顕在化と支援体制の充実を示していますが、さらなる啓発と支援の強化が必要です。DVのない社会の実現に向けて、一人ひとりが関心を持ち、行動することが求められています。
- 通信講座のSARAスクール編集部
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心理カウンセラー資格やリンパケアセラピスト等の体系資格、食育資格などを扱うSARAスクール編集部が運営するコラムです。主に女性向けのキャリアアップやスキル習得を目的とした講座が多く、家事や育児と両立しながら学べる環境が整っています。資格取得を目的とした講座も充実しており、仕事や日常生活に活かすことが可能です。