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ブランケット症候群とは?症状や原因、対処法を解説

「ブランケット症候群」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。ブランケットを常に持ち歩く子どもの症状を指しており、多くの子どもにみられるものとなっています。必要がない場面でもブランケットをそばに置いておこうとする子どもの姿を見て、心配になる親も少なくはありません。

このブランケット症候群とは、どのような原因によるものなのでしょうか。また、どうやって解決していくべきか知りたいという人も多いはずです。今回は、ブランケット症候群について詳しく紹介します。

ブランケット症候群とは?原因と解決策

ブランケット症候群とは

まずはブランケット症候群の意味から見ていきましょう。ブランケット症候群とは、子どもが特定のぬいぐるみや毛布、タオルなどを常に持ち歩き、それがないと著しく不安になる状態のことを指します。

この現象は、漫画「ピーナッツ」に登場するキャラクター、ライナスが常に青い毛布を持ち歩いていることから、「ライナスの毛布」とも呼ばれています。また、英語では「security blanket(安心毛布)」という表現が使われることもあります。

ブランケット症候群は、子どもの成長過程で自然に現れる現象であり、決して病気や異常な状態ではありません。むしろ、子どもの健全な発達の一部と考えられています。

ブランケット症候群の特徴

ブランケット症候群の主な特徴として、以下のようなものが挙げられます:

・特定のアイテムへの強い執着
・そのアイテムがないと不安になる
・寝るときや外出時に必ず持ち歩く
・アイテムが汚れていても洗濯を嫌がる

子どもによって程度の差はありますが、ブランケット症候群を示す典型的な兆候といえるでしょう。

ブランケット症候群の対象物

ブランケット症候群の対象となるアイテムは、必ずしも毛布であるとは限りません。
子どもによって様々なものが選ばれます。一般的な対象物としては以下のようなものがあります

・毛布やタオルケット
・ぬいぐるみ
・お気に入りのおもちゃ
・特定の服や靴下
・母親のスカーフやハンカチ

上記のアイテムは、子どもに安心感を与えるものであり、特に不安なときは触ったり、持ち歩いたりする傾向にあります。

ブランケット症候群の原因

ブランケット症候群が現れる背景には、様々な要因が関係しています。子どもの成長過程で自然に生じる心理的変化や環境の変化が、この現象を引き起こす主な原因となっています。

母子分離不安との関連

ブランケット症候群の最も大きな要因の一つとして、母子分離不安が挙げられます。生後5〜6ヶ月頃から、赤ちゃんは母親と自分が別の存在であることを認識し始めます。この時期に、母親が視界から離れると不安を感じるようになります。

こうした不安を和らげるために、子どもは母親の代わりとなる何かを求めるようになります。そこで登場するのが、ぬいぐるみや毛布などの「移行対象」です。これらのアイテムは、母親不在時の心の支えとなり、子どもに安心感を与える役割を果たします。

環境の変化とストレス

ブランケット症候群は、子どもの環境が大きく変化する際にも現れやすくなります。例えば、保育園や幼稚園への入園や引っ越し、新しい家族メンバーの誕生、両親の離婚や別居などが引き金となることがあります。
こうした変化は、子どもにとって大きなストレス要因となり得ます。そのため、安心感を得るために特定のアイテムへの執着が強まることがあるのです。
そこで安心できるアイテムがあることで、少しでも心が安らぎ、安定した気持ちで過ごせるようになります。

自立への一歩

一見、依存的に見えるブランケット症候群ですが、実は子どもの自立への第一歩とも考えられます。特定のアイテムに頼ることで、子どもは母親から少しずつ心理的に離れ、自分で不安を和らげる方法を学んでいきます。

これは、子どもが成長し、社会性を身につけていく上で重要なプロセスの一つといえるでしょう。

ブランケット症候群の発症年齢と持続期間

ブランケット症候群は、いつ頃から始まり、どのくらいの期間続くものなのでしょうか。子どもの成長に合わせて、その特徴も変化していきます。

発症年齢

ブランケット症候群の発症年齢は、個人差がありますが、一般的には以下のような傾向が見られます。

・生後5〜6ヶ月頃から
移行対象への関心が芽生え始める

・1〜2歳頃
ブランケット症候群の症状が顕著になる

・2〜3歳頃
最も一般的な発症時期

つまり、1〜3歳頃までにブランケット症候群の症状が始まると考えられます。ただし、これはあくまで平均的な傾向であり、子どもによってはもっと早く始まったり、遅く始まったりすることもあります。

持続期間

ブランケット症候群の持続期間も、子どもによって大きく異なります。多くの場合、以下のような経過をたどります。

・3〜5歳頃
徐々に症状が和らぎ始める

・5〜7歳頃
多くの子どもが自然と卒業する

・小学校高学年〜思春期
一部の子どもは依然として移行対象を持ち続ける

ここで重要なのは、ブランケット症候群の持続期間に「正解」はないということです。子どもの成長ペースや環境に応じて、自然と卒業していく過程を見守ることが大切です。

大人のブランケット症候群

ブランケット症候群は大人になっても完全になくならないケースがあります。例えば、以下のような形で現れることがあります。

・子どもの頃から大切にしているぬいぐるみを持ち続ける
・ストレス時に特定のアイテムで心を落ち着ける
・寝るときに決まった枕や毛布がないと落ち着かない

大人のブランケット症候群は、必ずしも問題があるわけではありません。むしろ、ストレス対処法の一つとして機能している場合もあります。

ブランケット症候群の問題

ブランケット症候群の問題は、子どもによって様々な形で現れます。ここでは、典型的な症状や問題点について詳しく見ていきましょう。

アイテムを手放すことへの強い反発

ブランケット症候群の最も顕著な症状は、特定のアイテムへの強い執着です。子どもは、そのアイテムを常に持ち歩き、手放すことを極端に嫌がります。

寝るときも起きているときも、常にアイテムを抱えていたり、アイテムを忘れたり、見つからなかったりすると激しく泣くなどが挙げられます。また外出時にアイテムを持っていくことを強く主張することも賞状の1つです。

こうした行動は、アイテムが子どもにとって重要な心の支えとなっていることを示しています。

不衛生になりやすい

ブランケット症候群の対象物は不衛生になりがちです。大切なアイテムを洗うのを極端に嫌がり、汚れていても洗濯を拒んだり、洗った後の匂いや感触の変化に強く抵抗したりするのです。
代わりのものを用意しても受け入れてくれないこともあります。これは、そのアイテムの匂いや触り心地が子どもに安心感を与えているからなのです。

依存度の高さ

ブランケット症候群の子どもは、特定のアイテムへの依存度が非常に高くなります。前述の通り、アイテムがないと寝付けなかったり、ストレスを感じる場面でアイテムを強く求めたりします。

アイテムに依存しすぎると、一時的には子どもの不安を和らげる役割を果たしますが、長期的には自立を妨げる可能性もあります。

社会性への影響

ブランケット症候群が進行すると、子どもの社会性にも影響を及ぼす可能性があります。例えば、

・保育園や幼稚園でアイテムを持ち込むことを強く要求する
・友達との遊びよりもアイテムとの時間を優先する
・新しい環境や人々に適応するのに時間がかかる

上記の症状は、子どもの社会性の発達を一時的に遅らせる可能性がありますが、多くの場合、成長とともに自然と改善していきます。

ブランケット症候群の長期的影響

ブランケット症候群は、子どもの成長過程で見られる一時的な現象ですが、長期的にはどのような影響があるのでしょうか。

肯定的な影響

ブランケット症候群は、いくつかの肯定的な影響をもたらす可能性があります。例えば、移行対象を通じて安心感を保つ方法を学ぶことで、将来的な情緒的安定性が高まるかもしれません。また、想像力を使って移行対象に意味を付与する経験が、創造性の発達につながる可能性もあるのです。
さらに、移行対象を使ってストレスに対処する経験が、将来的なストレス耐性の向上につながるかもしれません。こうした影響は、子どもの健全な心理的発達を支援する可能性があるのです。

自立心の発達が遅れる可能性

一方で、極端なブランケット症候群が長期化した場合、いくつか問題が生じる可能性もあります。例えば、過度の依存が続くと、社会的場面での適応に困難を感じるかもしれません。また、移行対象への依存が長引くと、自立心の発達が遅れる可能性があります。
さらに、常に何かに頼らないと安心できない傾向が、成人後も続く可能性もあります。
ただし、これらの課題は適切な対応と支援によって軽減できる可能性が高いので、心配しすぎる必要はないでしょう。

ブランケット症候群への対処法

ブランケット症候群に対して、親や周囲の大人はどのように対応すべきでしょうか。ここでは、効果的な対処法とその理由について詳しく解説します。

見守る姿勢を大切に

ブランケット症候群への最も基本的な対応は、子どもを見守る姿勢を持つことです。以下のポイントを心がけましょう。

・無理に移行対象を取り上げない
・子どもの気持ちを理解し、受け入れる
・成長に応じて自然と卒業していくのを待つ

強引にアイテムを取り上げてしまうと、子どもは強い不安感に襲われてしまいます。幼児期に「自分は愛されていない…」と強く感じると、次第に子どもは周りの人を信頼できなくなっていきます。その結果、成長後に孤立しやすくなる、人間関係が長続きしないなどの問題に繋がってしまうのです。

そこでまずは子どもの気持ちを尊重して、理解することが大切です。成長の過程で自然とアイテムから離れていくこともあります。焦らずにゆっくりと成長を見守りましょう。

徐々に依存度を下げる

6歳以降になっても、ブランケット症候群が治まらない場合には、子どもの成長に合わせて、アイテムへの依存を少しずつ減らしていくのも良いでしょう。
家の中だけで使う約束をしたり、外出時は小さな代替品を用意したり、新しい興味や活動を提案して気を引いたりすることで、子どもは徐々に自立心を育んでいけるのです。

社会性を育む支援

さらに、ブランケット症候群が進むと、子どもの社会性にも影響が出てくることがあります。保育園や幼稚園にアイテムを持っていくことにこだわったり、友達と遊ぶよりもアイテムと過ごす時間を大切にしたり、新しい環境や人に慣れるのに時間がかかったりするのです。
ブランケット症候群の子どもの社会性を育むには、保育園や幼稚園の先生と協力して対応を統一したり、友達との遊びを積極的に勧めたり、新しい環境に慣れる時間をたっぷり与えたりするなどのサポートが効果的です。こうしたアプローチで、子どもは安心感を保ちながら社会性を身につけていけるのです。

専門家への相談

症状が特に強かったり、長く改善が見られなかったりする場合は、専門家に相談してみるのも良いでしょう。
学校生活に大きな支障が出ていたり、年齢に合わない依存が続いていたり、他の発達の遅れが心配される場合には、児童心理士などの専門家に相談することで、その子に合った適切なアドバイスをもらえるかもしれません。

ブランケット症候群と心理学の理論

ブランケット症候群は、子どもにまつわる心理学的理論と密接に関連しています。ここではブランケット症候群に関連する理論をいくつか紹介していきます。

ウィニコットの「移行対象」理論

イギリスの精神分析医であるドナルド・ウィニコットは、ブランケット症候群で見られる特定のアイテムを「移行対象」と呼びました。この理論によると、移行対象は母親(養育者)と子どもの間の中間的な存在として機能するのです。
子どもはこの移行対象を通じて、徐々に母親から心理的に独立していくことができます。また、移行対象は子どもが現実世界と想像の世界を橋渡しする上で重要な役割を果たすとされています。
ウィニコットの理論は、ブランケット症候群を子どもの健全な発達プロセスの一部として捉える基盤となっているのです。

ボウルビーの愛着理論

ジョン・ボウルビーによって提唱された愛着理論も、ブランケット症候群を理解する上で重要です。この理論では、子どもは生まれつき、養育者との強い絆(愛着)を形成する傾向があるとされています。
安定した愛着関係は、子どもの情緒的・社会的発達の基礎となるのです。ブランケット症候群は、このような愛着対象(通常は母親)の代替として機能することがあります。この理論から、ブランケット症候群は子どもが愛着関係を拡張し、独立性を獲得していく過程の一部であると解釈できるでしょう。

エリクソンの心理社会的発達理論

エリク・エリクソンの発達理論も、ブランケット症候群を理解する上で有用です。エリクソンは人生を複数の発達段階に分けており、その中でも乳児期(0〜1歳)では基本的信頼対不信、幼児期前期(1〜3歳)では自律性対恥・疑惑といった心理社会的課題に直面するとしています。
ブランケット症候群は、こうした発達段階において子どもが信頼感や自律性を獲得していく過程で現れることがあるのです。移行対象は、これらの課題に取り組む上での心理的支えとなる可能性があるのです。

ブランケット症候群と他の心理的現象との関連

ブランケット症候群は、他のいくつかの心理的現象とも関連があります。以下の詳しくみていきましょう。

分離不安障害との違い

ブランケット症候群は時に分離不安障害と混同されることがありますが、両者には重要な違いがあるのです。ブランケット症候群は特定のアイテムへの執着が中心で、多くの場合は発達の一過程とされています。
一方、分離不安障害は養育者との分離に対する過度の不安が特徴で、日常生活に支障をきたす程度の症状を伴います。ただし、極端なブランケット症候群の症状が長期間続く場合は、分離不安障害の可能性も考慮する必要があるかもしれません。

強迫性障害(OCD)との関連

一部の研究者は、ブランケット症候群と強迫性障害(OCD)との間に関連性があると指摘しています。両者とも、特定のアイテムや行動への固執が見られるという共通点があるのです。
また、ブランケット症候群の症状が極端に強い場合、後年のOCD発症リスクが高まる可能性があるという指摘もあります。
ただし、通常のブランケット症候群はOCDとは異なり、発達の一過程として捉えられているということを覚えておく必要があるでしょう。

自閉症スペクトラム障害(ASD)との関連

自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもの中にも、ブランケット症候群に似た行動が見られることがあります。特定のアイテムへの強い執着や、日課や環境の変化に対する抵抗などが特徴的です。
ただし、ASDの場合は他の特徴的な症状(社会的コミュニケーションの困難さなど)も併せて現れるため、専門家による総合的な評価が必要となるでしょう。

子どもの心理について深く学びたい方へ

ブランケット症候群をはじめとする子どもの心理現象に興味を持たれた方は、より専門的な知識を身につけることで、子どもの心の成長をさらに深く理解できるようになります。

そこで、おすすめなのが資格の取得です。ここでは子ども心理を学ぶ上で重要な資格を2つご紹介します。

チャイルド心理カウンセラー®資格

日本メディカル心理セラピー協会【JAAMP】が認定するチャイルド心理カウンセラー®資格では、胎児期から思春期までの子どもの心理や発達について包括的に学習できます。
この資格を通じて、ブランケット症候群が現れる幼児期の特徴や、その前後の発達段階との関連性について、より深く学べます。

子供心理カウンセラー®資格(日本インストラクター技術協会認定)

日本インストラクター技術協会が認定する子供心理カウンセラー®資格もおすすめです。子どもの発達段階や家族・社会との関係性について、深く学ぶことができます。さらに子どもの心理学的な理解だけでなく、家族システムや社会環境が子どもに与える影響についても理解でき、より多角的に学習できるのが特徴です。
これらの資格取得を通じて、ブランケット症候群を一時的な現象としてではなく、子どもの成長過程全体の中で捉える視点を養うことができます。

まとめ

ブランケット症候群の原因は基本的には心配なし

ブランケット症候群は、子どもの成長過程で自然に現れる現象であり、多くの場合は心配する必要はありません。むしろ、子どもの自立への第一歩として肯定的に捉えることができます。ただし、極端な症状が長期間続く場合は、専門家に相談することをおすすめします。
親や周囲の大人は、子どもの気持ちを理解し、見守る姿勢を持ちつつ、適切な対応を心がけることが大切です。ブランケット症候群を通じて、子どもの心の成長を支援し、健全な発達を促すことができるのです。

通信講座のSARAスクール編集部
心理カウンセラー資格やリンパケアセラピスト等の体系資格、食育資格などを扱うSARAスクール編集部が運営するコラムです。主に女性向けのキャリアアップやスキル習得を目的とした講座が多く、家事や育児と両立しながら学べる環境が整っています。資格取得を目的とした講座も充実しており、仕事や日常生活に活かすことが可能です。
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