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公認心理師とは?臨床心理士との違いや将来性についても簡単に解説!

「公認心理師ってどういう資格?」
「臨床心理士と何が違うの?」
「社会人や主婦でも目指せるの?」

このような疑問や悩みを抱えていませんか?

今回は、よく混同されやすい臨床心理士との比較も交えながら、公認心理師の全体像や実態について解説します。

これから心理学の専門職に就きたいと考えている方や、すでに心理学を学んでいて公認心理師の仕事内容やなり方について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。

公認心理師とは

公認心理師とは、医療・福祉・教育などの分野で心理的に問題を抱えた方に対して、心理学に関する専門知識に基づいてアドバイスができる方に与えられた資格です。
また、公認心理師は国内初となる心理職の国家資格として認定されています。
2023年に全国で登録されている公認心理師の人数は69,875人です。
歴史の浅い資格であることをふまえると、今後の認知の拡大に伴い、公認心理師の人数についても増加が期待されています。

公認心理師と臨床心理士の違い

公認心理師とよく混同されるのが臨床心理士です。
公認心理師と臨床心理士はいずれも心理に関する専門職であり、違いがよくわからないという意見もあります。
主な違いとしては、次の2つです。
● 資格の違い
● 仕事内容の違い
それぞれ解説します。

資格の違い

公認心理師は国家資格で、臨床心理士は民間資格という資格における定義の違いがあります。
次の表は、公認心理師と臨床心理士の資格の違いを簡単にまとめたものです。

  公認心理師 臨床心理士
有資格者数 69,875人(2022年3月時点) 40,749人(2022年時点)
受験資格 7区分 4区分
受験料 2万8,700円
※別途認定料が必要
3万円
※別途申請書類料と認定料が必要
試験内容 筆記試験 筆記試験+面接
試験回数 年に1回 年に1回
資格取得後の更新の有無 無し あり(5年ごと)

両者を比較するとそこまで大きな差はありませんが、公認心理師の場合は面接がないのに対し、臨床心理士は筆記試験に加えて面接の合格も必要となります。
また、受験料のほかに、それぞれ協会に認定料を別途支払わなければなりません。
公認心理師で7,200円、臨床心理士で5万円と臨床心理士のほうが金銭的な負担が大きいです。

仕事内容の違い

結論からいえば、2023年時点においては公認心理師と臨床心理士の仕事内容には大きな違いはありません。
厚生労働省のサイトに詳細の定義の記載があり、細部の違いはあるものの、どちらもクライアントの心理のケアや相談をする役割を担う仕事です。
ただし、将来的には公認心理師でなければ対応できない業務が増えるなど、両者の違いが明確になる可能性があるため、資格取得を検討する際には最新の情報を得るように意識しましょう。
公認心理師は、2017年に登場した比較的新しい資格であるため、今後の動向が注目です。

公認心理師の働き方を場所別に解説

この章では、公認心理師の働き方を場所別に解説します。
公認心理師の働き方は、次の2つです。
● 企業・団体で働く場合
● フリーランス・個人事業主で働く場合
それぞれの働き方を確認していきましょう。

企業・団体で働く場合

企業・団体で働く場合は、次の5つの選択肢があります。
● 医療機関
● 教育機関
● 福祉施設
● 司法機関
● 一般企業
1つずつ解説します。

医療機関

医療分野で働く公認心理師の職場は、精神科病院・一般病院などの医療機関です。
公認心理師は、精神病や心の問題を抱えている方に対して心理療法を行い、その家族や親族に対しても必要に応じてサポートも行います。
また、心の病や精神疾患について正しい理解を広めるための活動も業務の一環です。
医療機関には、さまざまな専門職の方がいるため、チームとして働くためのコミュニケーション力も重要です。

教育機関

教育分野の公認心理師の多くは、非常勤の小学校・中高等学校のスクールカウンセラーとして働きます。
メインの業務は、不登校やいじめ・友人関係・精神疾患・自傷行為などのさまざまな問題に対してのカウンセリングです。
問題を抱えている当事者だけでなく、家族や教員に対しても相談やサポートを行います。
また、必要に応じて外部の専門機関とも連携しながら問題解決へと導きます。

福祉施設

福祉分野で働く公認心理師の職場は、児童相談所・児童福祉施設・障害児相談支援事業所などの福祉施設です。
不登校や虐待といった子育てに関わる相談や発達障害・知的障害・精神障害を抱えた方に対するカウンセリングを行います。
また、特別養護老人ホームや老人福祉センターといった高齢者施設や、DVや性被害を受けた女性を支援する機関などでも幅広く活動しています。

司法機関

司法分野で働く公認心理師の職場は、少年鑑別所・少年院、警察関係、裁判所関係などの司法機関です。
公認心理師の主な役割は、非行少年や事件を起こした容疑者の心理カウンセリングです。
カウンセリングを通じて今後の処遇の決定や、更生や再犯防止に向けた心理療法を行います。
また、裁判後の被害者に対してのメンタル面の支援に取り組むこともあります。

一般企業

一般企業では、組織内に相談室を設けて社員のメンタルケアを行います。
具体的には、社内での人間関係問題や仕事上の悩みの相談・休職者の職場復帰の支援・従業員を対象としたストレスチェックの実施です。
また、従業員支援プログラムと呼ばれる外部の専門機関で、社員のメンタルヘルスケアの管理やサポートをする働き方もあります。

フリーランス・個人事業主として働く場合

フリーランスや個人事業主の方は、主に医療機関や教育機関と業務委託契約を結び、働くのが一般的です。
または、自身でカウンセリングルームを開き、好きな場所で働くこともできます。
しかし、いきなりフリーランスでカウンセラーとしての働き方はおすすめしません。
なぜなら、何も実績がない状態では業務委託契約を結ぶことが難しく、安定的な収入は見込めないためです。
まずは、ご紹介した企業や団体での実務経験を積んで、カウンセラーとしての実績を作りましょう。

公認心理師になるにはどのような方法があるの?社会人からでも遅くない?

それでは、実際に公認心理師の資格を取得するためには、どのような方法があるのでしょうか?
大きく分けると、3つのパターンの取得方法があります。
自分がどの方法を選べば、最短で資格を取得できるのかを確認しながら見ていきましょう。

大学・大学院で所定科目を修了する

1つ目は「大学・大学院で所定科目を修了する」方法です。
受験資格を得るためには、公認心理師のカリキュラムが設置された大学・大学院で決められている科目を全て履修しなければなりません。
注意すべき点は、複数の大学や大学院で履修科目を合算扱いにはできない点です。
そのため、もし履修科目が1科目でも足りなければ、公認心理師の履修科目のある大学の学部に入学し直す必要があります。
また、大学院に進まず、大学の所定の科目を履修したあとに厚生労働省が指定した公的機関で2年間実務経験を積めば、受験資格を獲得できる方法もあります。

海外の大学で心理科目を修了する

2つ目は「海外の大学で心理科目を修了する」方法です。
受験資格を得るためには「大学・大学院で所定科目を修了する」方法と同等以上の知識および技能を有し、文部科学大臣と厚生労働大臣の認定をもらう必要があります。
受験資格の審査対象となる方は次の6つのパターンのどれかに該当する方になります。
日本の大学+外国の大学院
外国の大学+日本の大学院
外国の大学+日本のプログラム施設
外国の大学+外国の大学院
外国の大学院+外国の心理職資格
過去に大学で履修科目が一部不足していた方
どのパターンにおいても、海外の大学・大学院の卒業、日本の大学・大学院+海外の大学・大学院のいずれかの組み合わせでの所定科目の履修が必要となります。

受験資格の特例処置を受ける

特例措置ルートで受けられる方は、公認心理師法が施行される前に、大学・大学院で所定の科目を履修し、卒業している方が対象です。
受験資格の審査対象となる方は次の4つのパターンのどれかに該当する方になります。
平成29年9/15日以前に大学院で所定科目を履修している
平成29年9/15日以前に大学院に入学し、平成29年9/15日以後に所定科目を履修している
平成29年9/15日以前に4年制大学で所定科目の履修+平成29年9/15日以後に大学院で所定科目を履修している
平成29年9/15日以前に4年制大学で所定科目の履修+特定の施設で2年間の実務経験
また、受験資格を得るための「経過措置対応科目」に関しては「公認心理師カリキュラムの受験資格の特例について①・②」を参照してください。

公認心理師の実態とは?

公認心理師は、2017年に初めて施行された比較的新しい国家資格であるため、まだ資格の権威性を活かせる場所や方法が確立しておらず、臨床心理士との仕事内容も似ている傾向があります。
ここでは、そのほかの理由も含めて公認心理師の実態について解説します。

試験の合格率平均は59.8%

公認心理師の合格率は過去7回の平均で59.8%となっています。
一見難易度は高くないようにも見えますが、まだ7回の実績であることや問題内容の補正により、今後試験の難易度があがる可能性もあります。
ちなみに臨床心理士の合格率は過去10年間でおよそ60%〜65%の間を推移しており、現時点では公認心理師のほうが難易度は高めです。

6年以上の学習期間が必要

これから公認心理師を目指す方は、資格取得までに大学4年間と大学院2年間で最低でも6年はかかります。
20代のうちならまだしも30代から公認心理師を目指すとなると、それなりの覚悟は必要です。
また、6年間の間に学費や生活費などのコストもかかってくるため、金銭的な問題も考えなくてはいけません。

公認心理師を目指す方にもおすすめの心理学資格4選

公認心理師の資格取得までには最短でも6年かかりますが、短期間で取得できる心理カウンセラー資格もあります。
心理カウンセラー資格を取得することでカウンセラー関連の仕事にも就きやすくなり、実務を通してスキルを磨けば、公認心理師を目指すことも可能です。
ここでは、心理学を気軽に学びやすく短期間で資格取得までできる、おすすめの心理学資格を4つご紹介します。

メンタル士心理カウンセラー資格

メンタル士心理カウンセラー資格とは、心理学の基礎知識、ストレスから起きる症状や症状別の治療方法を理解しており、カウンセラー業が全うできるレベルと認定された資格です。
現代はストレス社会ともいわれており、悩みを抱えて心の支えを必要としている方が増え続けています。
相談者によって心の悩みの種類や深さが違うため、一人ひとりに合わせた問題の分析力や質問力が必要です。
公認心理師の仕事内容にも、心の問題や悩みを解決するためのカウンセリング業務も含まれるため、公認心理師に関連する内容を学習できます。

福祉心理カウンセラー資格

福祉心理カウンセラー資格とは、福祉に関する知識や心理学の知識を理解しており、カウンセラーとしての活動ができると認定された資格です。
不登校や虐待などで心に問題を抱えている方や、家族や親戚などの身寄りがいない高齢者が心身的な問題を抱えて悩んでいるケースが増えています。
そのような場合に、福祉心理カウンセラーがいることで、心の支えになり心強い存在となるはずです。
高齢化や核家族化が進む現代では、福祉心理カウンセラーの需要はさらに高まっていくでしょう。

行動心理カウンセラー資格

行動心理カウンセラーとは、人の行動から相手の感情を探る行動心理学の知識を理解し、カウンセリングを行えると認定された資格です。
特定の行動や感情を読みとれれば、相手の気持ちにあわせたコミュニケーションや行動がとれるため、良好な人間関係の構築につながります。
公認心理師との共通点としては、働く場所が医療・福祉・教育から一般企業までと幅広い点です。
心理カウンセラーとして活躍できる幅が多いということは、それだけ需要もあり必要とされている資格であるといえます。

アンガーカウンセラー資格

アンガーカウンセラー資格とは、人が怒るメカニズムや抑制方法を理解しており、心理学を用いて感情のコントロールに悩む方へ適切なアドバイスができると認定された資格です。
「ちょっとしたことですぐイライラしてしまう」「人に強くあたっている自覚がない」などと日常生活で感情のコントロールに悩んでいる方が増えています。
怒りを含めた感情のコントロールが自分自身でできると、良好な人間関係の構築や会社ではパワハラの防止にも役に立ちます。
ストレス社会といわれる現代において、アンガーマネジメントを指導できる資格の重要性は高まっていくでしょう。

まとめ

本記事では、公認心理師の全体像や臨床心理士との違いについて解説しました。
公認心理師は国家資格であり、これから活動の幅や資格の権威性を活かした独自の業務が増えていくと思われるため、重要度が高い資格であることは間違いないでしょう。
しかし、公認心理師の資格取得には少しハードルが高いと感じられている方もいるのではないでしょうか。
そのような方には、心理カウンセラーの資格取得をおすすめします。
なぜなら、短期間で取得できるものも多く、心理カウンセラーでも公認心理師と同様に、心の問題や悩みを抱えた方を救えるためです。
将来的に公認心理師のような専門職も視野にいれ、まずは自分の興味のある心理学の学習やカウンセラー資格の取得を目指してみましょう。

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