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認知療法・認知行動療法とは?種類や生かせる場面・関連資格を紹介

「何をやってもうまくいかない」
「私は周囲から嫌われているのではないか?」

多くの方が陥る上記の思考法にたいしてアプローチする代表的な心理療法の一つが、「認知療法・認知行動療法」です。

認知療法・認知行動療法とは、思考の癖を本人に自覚させて、修正することにより、悩みや不安を解決に導く手法です。
これらの知識やスキルは、心理カウンセリングの現場でも用いられています。

本記事では、認知療法・認知行動療法とは何かを解説したうえで、スキルの活かし方や習得のためのおすすめ資格をご紹介します。

心理カウンセリングについての知識を深めたい方はぜひ参考にしてください。

認知療法・認知行動療法とは?

「認知行動療法」は、ものの受け取り方や考え方(認知)に着目することで、考え方の癖である「認知の歪み」を認識させ、患者がより現実的で幅広いとらえ方ができるよう導いていく心理療法です。
もとはアメリカの精神科医Aaron Temkin Beck(アーロン・ベック)によって提唱されたうつ病に対する精神療法ですが、気持ちを楽にしたり行動をコントロールしたりする効果が期待できることから、さまざまな心の病の治療に利用されています。
認知行動療法の有効性や脳の変化との関連性は医学研究でも立証されており、実際に投薬治療と比べてうつ病やパニック障害の再発率が低いことも明らかになっています。

認知療法と行動療法の違い

認知行動療法は、別々に発展した「認知療法」と「行動療法」の2つの利点を取り入れた心理療法です。
・認知療法:偏った認知を整え、柔軟な思考で物事をとらえられるようにする療法(治療法例:コラム法)
・行動療法:行動上の問題からどのような行動が適切か考え実行に移すことで、問題を解消する方法(治療法例:暴露療法)
両者の違いは、着目点が認知の問題であるか、行動の問題であるかという点です。
ただ、両者は相互に関係しあっており、患者にとって望ましい状態へと導いていく点に変わりはないことから、1980年代には「認知行動療法」として認識されるようになりました。

認知療法と行動療法に共通するポイント「認知の歪み」とは

認知行動療法では、「認知の歪み」と呼ばれる考え方の癖を修正しながら、問題解決を目指します。
私たちが抱きやすいとされる認知の歪みは、以下のとおりです。
・白黒思考(例:0か100か)
・過度な一般化(例:いつも失敗する)
・マイナス化思考(例:私が嫌いだから連絡してくれない)
・結論の飛躍(例:どうせ失敗するだろう)
・拡大解釈と過小評価(例:失敗は自分のせい/偶然うまくいった)
・感情的決めつけ(例:きっとうまくいかない)
・すべき思考(例:完璧にこなすべき)
・レッテル貼り(例:あの人は気難しい)
・個人化(例:私のせいであの人は怒っているのかもしれない)
・心のフィルター(例:いい思い出なんて一つもない)
上記の考え方そのものが悪いというわけではありませんが、これらが原因で精神に支障をきたしている場合、認知行動療法によってストレスを軽減できる可能性があります。
また、治療以前にこれらの思考パターンが自分の中にあることを把握するだけでも、ストレスへの対処効果が得られます。

認知療法と行動療法によるアプローチが有効とされる症状

認知行動療法は、次のような精神症状に効果的とされています。
・うつ病
・躁うつ病
・双極性障害
・パニック障害
・強迫性障害
・統合失調症
・摂食障害
・不安障害
・PTSD(心的外傷性ストレス障害)
・不眠症 など
また、心理カウンセリングでは、何らかの原因によって悩みや不安を抱える相談者に対し、認知行動療法が行われることもあります。

認知療法・認知行動療法の知識・スキルの生かし方

認知療法・認知行動療法は、実際にどのような現場で実施されているのでしょうか?
ここでは、認知行動療法の知識やスキルを生かし方について、「仕事」「日常生活」の2つシチュエーション別に解説します。

専門職として

心理療法として確立されている認知行動療法のスキルは、以下のような職種で生かせます。
・精神科医・心療内科医
・心理カウンセラー
・医療・福祉の現場のカウンセリング担当者(臨床心理士・精神保健福祉士・社会保険福祉士 など)
・教育・子どもにかかわる現場のカウンセリング担当者(スクールカウンセラー・児童相談員 など)
・職場のカウンセリング担当者(企業内カウンセラー・産業カウンセラー など)
・更生施設のカウンセリング担当者(心理技官・処遇カウンセラー など)
精神科や心療内科を受診する患者に向けて行われるイメージが強い認知行動療法ですが、実際には、上記のような心に問題を抱える人々を支えるさまざまな職種で、カウンセリング時などに取り入れられています。

身近な生活をよりよくするために

認知行動療法は、精神病院や心療内科で扱われている心理治療ですが、知識やスキルを身につけておくことで、次のような悩みや不安の軽減にも生かすことが可能です。
・消極的な思考を改善したい
・職場での人間関係を良好に保ちたい
・朝、会社や学校に行くときの重い気持ちを解消したい など
ストレスを感じる出来事が起こった際に「どんな感情が湧いたか」「なぜそのような感情が湧いたか」などを書き出す「コラム法」は、セルフでできる認知行動療法として知られています。
コラム法を含む認知行動療法の具体的な治療法については、次章で詳しく解説します。

認知療法・認知行動療法の効果と代表的な4つの治療法について

認知療法・認知行動療法には、主に以下のような効果が期待できます。
・ポジティブになれる
・気持ちがスッキリする
・精神疾患が改善する
・精神疾患の予防につながる
・精神疾患の再発を予防できる など
ここでは、これらの効果をもたらす認知療法・認知行動療法の代表的な4つの治療法をご紹介します。

認知再構成法

「認知再構成法」は、自然と湧きおこる不安や恐怖といったネガティブな感情を患者に自覚させ、ポジティブな思考に置き換えることで認知の歪みを修正する方法です。
認知行動療法においてもっとも重視されている治療法の一つで、「その不安は実際に起こりうる?」「照らし合わせると?」といった視点で思考を深掘りすることで、限定的になっていた視野を広げ、否定的な考え方を繰り返す悪循環から抜け出せるよう導きます。

コラム法

「コラム法」は、思考や行動を紙に書き出すことで思考を客観的に整理する方法です。
コラム法は一般的に、以下のような項目が記載されたワークシートに書き込む形で実施されます。
1. 出来事・状況(例:契約が取れなかった/プレゼンでミスをした)
2. 気分・感情(例:自己嫌悪70%/罪悪感80%/羞恥心70%)
3. 自動思考(例:自分は詰めが甘い/常にまわりに迷惑をかけている)
4. 根拠(例:実際、以前にも準備不足でプレゼンに失敗した)
5. 認知の歪みチェック(例:過度な一般化をしていないか/白黒思考に陥っていないか)
6. 反証(例:失敗することもあるが一生懸命な姿を好意的に受け止めてもらえることも多い)
7. 適応的思考(例:迷惑をかけてしまうこともあるが、認めてもらえている部分もある/詰めの甘さは事前準備や確認の徹底で改善していこう)
8. 気分・感情の再評価(例:自己嫌悪70%→20%/罪悪感80%→30%/羞恥心70%→10%)
コラム法は、認知再構成法の一種であり、セルフコントロール力を高める方法としても有効です。

行動活性化

「行動活性化」は、うつ病の治療法として考案された方法で、達成感や幸福感をもたらす行動をとることで、ネガティブな感情を生み出した原因から逃げようとする回避行動を修正します。
×頑張って勉強したのに成果が出なかった、もう勉強したくない
○好きな映画を観に行ったら気持ちがスッキリした、もう一度課題と向き合ってみよう
気分の変化が起きなければ、状況が改善することはありません。
行動活性化では、行動から気分にアプローチをかけることで、ネガティブな感情の悪循環からの脱却を目指します。

暴露療法

「暴露療法」は、あえて強い刺激にさらすことで、不安の原因となっている状況に慣れさせる方法です。
エクスポージャー法とも呼ばれ、強迫障害やPTSD(心的外傷後ストレス障害)、不安障害などの患者に対し、特定のシチュエーションや人に対する強い拒否反応を克服するための治療法として用いられてきました。
暴露療法では、心の傷の原因となったトラウマと向き合う必要があるため、治療の過程で体調が崩れたり精神状態が悪化したりする可能性も考えられます。
そのため、心療内科医や心理カウンセラーなどの心理学や認知行動療法に精通した専門家のもとで、段階的に刺激に慣れていくことが大切です。

【おすすめ】認知行動療法への理解につながる資格5選

認知行動療法に関する知識やスキルを生かせる仕事に興味のある方や、認知行動療法を学ぶことで日常生活の不安を解消したい方には、関連資格の取得もおすすめです。
ここでは、通信講座の受講で資格取得を目指せるおすすめの資格を5つご紹介します。

メンタル士心理カウンセラー資格

「メンタル士心理カウンセラー」は、心理学の基礎知識やストレスによる症状に関する知識について十分に理解し、カウンセラーとして活動するレベルに至っている者に与えられる資格です。
心理学の知識の習得は、思考の癖である認知の歪みに着目する認知行動療法への深い理解に役立つでしょう。

資格検定試験内容 ・心理的ストレスによる症状
・心理的ストレスの主な原因
・回復するための治療法 など
受験資格 特になし
受験料 1万円(税込)
受験申請 インターネットからの申し込み
受験方法 在宅受験・期日までに解答用紙を提出
合格基準 70%以上の評価
試験日程 2ヶ月に1回のペースで開催(年度により異なる)

行動心理カウンセラー資格

「行動心理カウンセラー」は、行動から相手の気持ちを読み解く行動心理学の基礎知識を有することの証明となる資格です。
行動上の問題から心の問題の解決を目指す「行動療法」の要素を含む認知行動療法において、行動心理学は身につけておくべき重要な知識といえます。

資格検定試験内容 ・単純接触効果
・イエス誘導法
・権威への服従原理 など
受験資格 特になし
受験料 1万円(税込)
受験申請 インターネットからの申し込み
受験方法 在宅受験・期日までに解答用紙を提出
合格基準 70%以上の評価
試験日程 2ヶ月に1回のペースで開催(年度により異なる)

アンガーカウンセラー資格

アンガーカウンセラー」は、怒りを制御する方法であるアンガーコントロールや思考の歪み、怒りを引き起こしやすい思考などに関する知識を有する者に与えられる資格です。
ネガティブな感情には自分や他者に対する怒りも含まれるため、怒りの感情に関するあらゆる知識は、認知行動療法を用いたカウンセリングの際にも役立つはずです。

資格検定試験内容 ・後悔しない怒り方
・怒りを溜め込まない考え方
・避けたほうが良い習慣 など
受験資格 特になし
受験料 1万円(税込)
受験申請 インターネットからの申し込み
受験方法 在宅受験・期日までに解答用紙を提出
合格基準 70%以上の評価
試験日程 2ヶ月に1回のペースで開催(年度により異なる)

ストレスカウンセラー資格

「ストレスカウンセラー」は、感情とうまく向き合う方法や現代社会におけるストレスの原因、ストレスをコントロールするストレスマネジメントなどに関する知識を有することの証明となる資格です。
学校や職場でのストレスが原因で心を病んでいる相談者と向き合う心理カウンセラーの仕事において、ストレスに関する知識やストレス対処法などのスキルの習得はプラスにはたらくでしょう。

資格検定試験内容 ・心理トレーニングの方法
・能力を発揮するエンパワーメントを作り上げる方法
・パフォーマンスを高めるために効果的なメンタルトレーニング など
受験資格 特になし
受験料 1万円(税込)
受験申請 インターネットからの申し込み
受験方法 在宅受験・期日までに解答用紙を提出
合格基準 70%以上の評価
試験日程 2ヶ月に1回のペースで開催(年度により異なる)

チャイルド心理カウンセラー資格

「チャイルド心理カウンセラー」は、胎児期から思春期までの子どもの心理や発達を十分に理解し、カウンセリングを行う知識や技術を備えた者に与えられる資格です。
スクールカウンセラーや児童相談員などの子どもと関わりの深い心理職に関心のある方にとって、子どもの心理に関する資格の取得は、実際のカウンセリングなどに生かせる知識やスキルを身につけるよい機会となるでしょう。

資格検定試験内容 ・子どもの話の聞き方
・問題行動
・友だちをめぐる問題 など
受験資格 特になし
受験料 1万円(税込)
受験申請 インターネットからの申し込み
受験方法 在宅受験・期日までに解答用紙を提出
合格基準 70%以上の評価
試験日程 2ヶ月に1回のペースで開催(年度により異なる)

まとめ

ものごとに対する考え方に着目し、認知の歪みを修正していく「認知行動療法」は、精神症状に対する治療だけでなく、教育現場や職場で生じた心の問題の改善などさまざまな場面で役立てられています。
認知行動療法に関する理解を深めるためには、人の心や行動を科学的に研究する学問である心理学の基礎知識を身につけておくことが有効です。
本記事でご紹介したおすすめの心理系資格は、「SARAスクールジャパン」プラチナコース、または「諒設計アーキテクトラーニング」W資格取得講座を受講することで、自分のペースで学びながら認定試験免除で取得を目指せます。
心の問題に寄り添う心理カウンセラーなどの仕事に関心のある方は、資格取得をとおして、認知行動療法の下地となる心理学の知識を身につけてみてはいかがでしょうか。

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