心理カウンセラーになるには
メンタルケアはなぜ必要?
厚生労働省が2014年に実施した「患者調査」によると、「精神および行動の障害」で入院している患者は265万5,000人、外来の患者も257万7,000人いると推計されています。このうち、躁うつ病を含む気分(感情)障害で入院・通院している患者は、推計で112万2,000人いるとされています。さらに、医師の診察を受けていないうつ患者もおり、実際の患者数は、前述の推計よりずっと多いと考えられています。
医師の診察を受けていないうつ病患者の中には、一人きりで悩みを抱えたまま自殺を選択する人も少なくありません。その人が亡くなった後で抱えていた悩みがわかり、家族や友人が「話を聞いてあげれば良かった…」と嘆くこともあります。このような状況を少しでも改善するために、心理カウンセラーによるカウンセリングの必要性が見直されています。
日本ではこれまで、心理カウンセリングの認知度が低く、心理カウンセラーによるカウンセリングを受けることに対して抵抗感を抱く人が少なくありませんでした。しかし近年、うつ病患者の増加や、年間の自殺者数(自殺死体発見時の認知数)が20,000人を超える現状を踏まえて、メンタルケアに対する関心が高まっています。
心の悩みについて「外部の専門家に相談する」という選択肢を選ぶ人も増えてきています。さまざまなバックグラウンドを持つ人が集まる学校や企業、医療機関においては特に、メンタルケアの担い手が求められているのです。
メンタルケアについて学ぶことで、こんなステップアップが可能
臨床心理士などメンタルケアの専門家でなくても、カウンセリングのスキルが必要な場面というのは意外に多いものです。例えば、介護の現場で高齢者と接する方や、教育機関で生徒と接する立場にある方などは、悩みを相談される機会が多いのではないでしょうか?
深刻な悩みを持つ人に接すると、いっしょになって悩んでしまったり、どのように接していいかわからず相手と距離を置いてしまったりすることもあります。メンタルケアについて学ぶことで、適切な距離を保ちながら悩みを聞くことができるようになり、相談者にとって頼りやすい存在になれるでしょう。
ここでは、メンタルケアについて学ぶことで、ステップアップにつながる仕事についてご紹介します。
医療関係の仕事の場合
看護師や介護士など、医療関係の仕事をしている方は、患者さんから病状以外の悩み相談を受けることも多いでしょう。患者さんの中には、悩みを打ち明けることができる身内がいなくて困っている人や、デリケートな悩みを抱えている人もいるかもしれません。素直に相談できる人もいれば、悩みを打ち明けられず、苦しんでいる人もいるはずです。
メンタルケアについて学ぶことで、悩みが深刻化する前に話を聞いてあげたり、サポートできる力を身に付けたりすることができます。悩みを相談するのが苦手な人でも、時間をかけて信頼関係を築くことができれば、少しずつ悩みを打ち明けてくれるようになるでしょう。
教育関係の仕事の場合
教師や保健教諭など、教育現場で働いている方は、生徒の悩みを聞く機会も多いのではないでしょうか。家庭や進路の問題、いじめなどに悩んでいても、相談できる家族や友達がおらず、困っている子供もいるかもしれません。
現代、子供を取り巻く状況は複雑化しており、中にはいくつもの悩みや問題を抱え込んでしまっている子供もいます。メンタルケアについて学ぶことで、ゆっくり時間をかけて話を聞いたり、ちょっとした行動からストレスを見抜いてあげたりする力が身に付くでしょう。
ネイリストや美容師など接客業の場合
ネイリストや美容師といった仕事に就いている方は、お客様と長時間いっしょに過ごすため、ちょっとした悩み相談から人生相談まで、お客様の話を聞く機会が多いのではないでしょうか。ネイルやヘアカットの技術はもちろん、話を聞く技術を向上させることで、より気持ち良く過ごしてもらうことが可能になり、サービスの向上につながります。
メンタルケアの専門職へのステップアップも可能
心理学やカウンセリングに興味がある方は、まず通信講座でメンタルケアについて学ぶことをおすすめします。SARAの心理カウンセラー資格講座なら、1日30分・半年間でカリキュラムを終えることができるため、仕事やプライベートの隙間時間に勉強を進めることができます。
メンタルケアについて学びを深める中で、メンタルケアの専門職に興味を持つこともあるかもしれません。学びを深めて、臨床心理士などの資格を取得すれば、スクールカウンセラーや企業カウンセラーといった専門職として働くことも可能になります。
文部科学省の発表によると、1995年度から2014年度までのスクールカウンセラーの配置校数は、右肩上がりに推移しています。また、同省が2013年に公開した「スクールカウンセラー等活用事業実施要領」には、「児童生徒の臨床心理に関して高度に専門的な知識・経験を有するスクールカウンセラー又はスクールカウンセラーに準ずる者を配置するとともに、24時間体制の電話相談を実施し、教育相談体制を整備する」と記載されています。このことからも、子供の心のケアを担う専門職の需要が高まっていることがうかがえます。
そのほかの専門職として、トップアスリートのメンタルケアや企業の人材育成に効果があるとして、近年注目が集まっている「メンタルトレーナー」などの職業を選択することもできるでしょう。
悩んでいる人のサポートをしたい人に最適なメンタルの資格
臨床心理士などの専門職でなくても、メンタルケアについて学ぶことで、仕事や人間関係に悩みを抱えている人の効果的なサポートができるようになります。また、心のしくみを理解できるようになるため、自分自身の心のケアにも役立てることができるでしょう。