介護食資格おすすめ5選!費用と難易度でわかる資格の違いを徹底比較!
記事更新日:2025年3月13日近年、高齢化社会により介護食に対する知識が重要視されています。年齢を重ねたり病気になると、噛む力や飲み込む力が弱まり食事が難しくなります。そんな方でも安心して食事を楽しめるように工夫された食事が「介護食」です。
この記事では、介護食に関する代表的な資格の紹介と、その違いについて、費用と取得方法を軸に徹底比較し解説しています。

目次
介護食の資格とは?

介護食の資格とは、高齢者や要介護者向けの食事作りに関する専門知識と技術を証明するものです。咀嚼力や嚥下機能が低下した方への食事提供に必要な知識を体系的に学ぶことができます。
介護現場における食事作りと介助という重要な課題に対応するため、介護食に関する専門資格が設けられています。資格を取得することで、要介護者の状態に応じた適切な食事形態の選択や、安全で美味しい介護食の調理技術、効果的な食事介助の方法など、現場で必要とされる実践的なスキルを習得することが可能です。
介護食とは
介護食とは、主に要介護者の方の身体の状態に合わせて食べ物の形態を調整した食事のことです。「形態調整食」とも呼ばれ、「噛みにくい」「飲み込みにくい」などの不具合に対応するため、通常よりも調理に手を加えて食べやすくしたものです。
介護食の4原則として求められる条件は以下の通りです。
2. 簡単である
3. 美味しい
4. 適切な栄養補給ができる
介護食は毎日食べるものなので、「簡単である」ことも重要な要素になります。
おすすめ介護食資格5選

介護食士
資格の概要
段階 | 3〜1級 |
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受験資格 |
● 3級:誰でも可能 ● 2級:3級保持者 ● 1級:2級取得後実務経験2年以上 |
取得期間 | 4〜6か月程度 |
費用 | 約70,000〜90,000円 |
合格基準 |
● 講義出席率80%以上 ● 学科および実技試験60点以上 |
難易度 | 高い |
特徴 | 内閣総理大臣認定資格。実技試験あり。 |
介護食士は、公益社団法人全国調理職業訓練協会が認定する唯一の内閣総理大臣認定資格で、専門性の高い介護食資格として知られています。介護に携わる方たちの調理技術を向上させる目的で設けられており、介護資格の中で最も認知度の高い資格ですが、国家資格ではありません。
資格のポイント
介護食士は、専門学校などで学科と実技の講義を受ける必要があります。各級のカリキュラムはそれぞれ72時間で、専門的な内容を深く学ぶことができます。介護職に就いていない一般の方でも受験できる3級を例にあげると、学科が25時間・実習が47時間の割り振りのため、実習を中心的に学ぶことができる実践的な資格であることが分かります。3級を取得していないとそれ以上の級を受験することはできないので注意しましょう。
介護食アドバイザー
資格の概要
段階 | なし |
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受験資格 | 誰でも可能 |
取得期間 | 3か月程度 |
費用 | 30,000〜90,000円 ※サポート・キャンペーンにより変動 |
難易度 | 低い |
特徴 | 通信講座で取得可能。700日間の学習サポート付き。 |
介護食アドバイザーは、一般財団法人日本能力開発推進協会(JADP)が認定する資格です。通信講座で取得可能で、実践的なレシピ学習を通した総合的な学習内容になっています。働きながらでも目指すことができるため、人気が高まっています。
資格のポイント
介護食アドバイザーは平均700日間(約2年間)の学習サポートが付くなど、バックアップ体制が充実しています。資格取得の合格基準は得点率70%以上ですが、在宅受験でテキストを見ながら受けることができる比較的易しいものになっています。
介護食コーディネーター
資格の概要
段階 | なし |
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受験資格 | 誰でも可能 |
取得期間 | 3か月程度 |
費用 | 34,000円 ※サポート・キャンペーンにより変動 |
難易度 | 低い |
特徴 | ユーキャンの通信講座。介護食作り以外にも及ぶ幅広い学習範囲。 |
介護食コーディネーターは、一般社団法人日本味育協会が認定する介護食資格です。介護食について基礎から学べる実用的な資格です。介護食アドバイザーと似た資格ですが、介護施設と医療機関との連携や、スタッフへの指導、家族への助言、食事に関する様々な課題解決のためのコーディネート業務などのより広範な業務が担当できるでしょう。
資格のポイント
介護食コーディネーターは、ユーキャンの通信講座で取得可能な資格です。働きながらでも最短3ヶ月で取得できるカリキュラムが整っており、人気の資格となっています。受講期間中であれば何度でも受験でき、2冊のテキストに内容がまとまってる点で初心者にもやさしい資格となっています。
カリキュラムにソフト食や嚥下食の学習は含まれていないので注意が必要です。
介護食マイスター
資格の概要
段階 | なし |
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受験資格 | 誰でも可能 |
取得期間 | 3か月程度 |
費用 | 10,000円 |
難易度 | 低い |
特徴 | 現場ですぐに生かせる実践スキルを重視 |
介護食マイスターは日本安全食料料理協会(JSFCA)が認定する、実践スキル重視の資格です。現場ですぐに生かせる内容を学び、高齢者や介護を要する方のための食事に関する専門的な知識と技術を身につけることができます。
資格のポイント
介護食マイスターも同じく、通信で取得が可能です。受験費用は受験料のみで、指定の講座学習が必須ではないため費用を安く抑えられる点がおすすめです。
最短3か月で資格取得が目指せるカリキュラムが組まれており、働きながらでも挑戦できる資格となっています。合格基準は正答率70%以上で、難易度は低めです。
参考:介護食マイスター資格認定試験|日本安全食料料理協会(JSFCA)
介護食作りインストラクター
資格の概要
段階 | なし |
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受験資格 | 誰でも可能 |
取得期間 | 2か月程度 |
費用 | 10,000円 |
難易度 | 低い |
特徴 | 講師としての活動を目指せる |
介護食作りインストラクターは、日本インストラクター技術協会(JIA)が認定する資格です。介護食に関する基本的な知識と技能を身につけ、介護食の作り方から高齢者の食事における注意点まで網羅的に理解することができます。
資格のポイント
資格取得後は、介護食作りインストラクターとして、自宅やカルチャースクールで講師として活動することができ、専門的な栄養指導を提供することが可能となります。講師として教える立場を見据えた学習ができる点がポイントです。
介護食作りインストラクターは、通信講座で最短2ヶ月で取得を目指すことが可能です。スキマ時間を見つけて学習することができる人気の資格となっています。
参考:介護食作りインストラクター資格|日本インストラクター技術協会(JIA)
介護食資格の比較

難易度・費用の比較
資格名 | 難易度 | 取得期間 | 総費用(目安) |
---|---|---|---|
介護食士 | ★★★★★ | 4〜6か月 | 7〜9万円 |
介護食アドバイザー | ★★★☆☆ | 3か月 | 3〜9万円 |
介護食コーディネーター | ★★☆☆☆ | 3か月 | 3.5万円 |
介護食マイスター | ★★☆☆☆ | 3か月 | 1万円 |
介護食作りインストラクター | ★★☆☆☆ | 2か月 | 1万円 |
介護食資格の中でも、特に難易度の高い資格は介護食士です。介護食に関する知識がない方でも受験が可能ですが、専門学校などの教育機関で指定された講習会を受講し試験に合格する必要があります。比較的時間をかけないと取得は難しいですが、介護業界の中でも最も認知度が高く権威性のある資格です。
介護食マイスターや介護食作りインストラクターは講座受講が必須ではないため、その分取得期間は短く、費用も抑えて取得を目指すことができます。
学習方法の特徴
● 通信教育:その他全ての資格
● 実技指導:介護食士は必須、他は任意
介護食士以外の介護食資格は、通信講座で取得可能です。それぞれの講座で、試験に合格するためのカリキュラムが整っているため、しっかりと学習を進めることができれば難易度はそれほど高くはありません。
自身のスキマ時間を使ってオンラインで講義視聴や教材での学習を通じて、基礎知識を習得することが可能です。
実践的な調理技術の習得が必要な介護食士資格の場合は、専門学校などに通い、スクーリングや実習が必要になります。
学習内容の比較
介護食資格は、それぞれの資格によって勉強内容が少し異なります。ご家庭で家族の介護に役立てるには、介護食マイスターや介護食コンサルタントなどの基本知識を簡単に身につけることができる資格がおすすめです。また、介護食のレパートリーを増やすために介護食コーディネーターの資格取得を目指すのも良いでしょう。
要介護者の咀嚼嚥下機能低下が感じられた場合は、介護食士や介護食アドバイザーの資格取得を目指し幅広い知識の習得を目指すことをおすすめします。ソフト食や嚥下食に関する学習を提供していない資格もあるので、自身が必要とする介護食に関する知識を見極めることも必要です。
介護食資格取得のメリットと活用法

介護食の資格を取得することのメリットと活用法は主に3つあります。
家族介護での活用
介護食の資格を取得すると、ご家族の介護において、単に食事を提供するだけでなく、より専門的な視点からサポートできるようになります。例えば、ご家族の体調や状態に合わせた適切な食事を栄養バランスを考えながら提供したり、誤嚥を防ぐための安全な調理法を学んだりすることが可能です。
また、介護食は、単に栄養を摂取するだけでなく、食事の楽しみを取り戻すための工夫が凝らされています。ご家族が安心して食事を楽しめるよう、食事の時間をサポートすることで、心身ともに健康な状態を維持することができます。
職場での活用
介護食の資格を取得することは、介護職におけるスキルアップに大きく貢献します。
介護の現場では、食事介助は日常的な業務の一つです。介護食の知識を深めることで、食事介助の質が向上し、利用者様へのよりきめ細やかな対応が可能になります。例えば、食事の形態や温度、味付けなど、利用者様一人ひとりの状態に合わせた食事を提供できることは、QOLの向上にも繋がります。
また介護食の知識は、病院での食事指導や給食施設での献立作成など、他の職場でも活かすことができます。
キャリア展開
介護食の資格を取得することで、介護の現場だけでなく、様々な場所で活躍できるスキルを身につけることができます。食品関連企業での商品開発や栄養指導、病院やクリニックでの食事療法のサポートなど、食に関する幅広い分野で活躍できる道が開かれるでしょう。また、高齢者向けのコミュニティ施設やスポーツクラブなどで、食に関する講座やイベントの企画・運営を行うことも可能です。専門知識を生かした介護食の専門家として、講師活動や介護関連事業におけるコンサルタントといったキャリア展開も可能です。
介護食資格の取り方
介護食資格は数多くあり、資格取得方法も資格によって異なります。学習形態を通学型か通信型かで比較し、独学する際のポイントを抑えておきましょう。
学習形態の比較
通学型のメリット
専門学校に通ったり講習会を受講するといった、通学型で取得できる代表的な介護食資格は「介護食士」です。講習会では、高齢者の栄養学や嚥下食の調理法など、専門知識を実践的に学ぶことができ、実際に介護食を作る技術の習得が可能です。直接指導が受けられる点や一緒に学ぶ仲間との交流が生まれる点は通学型のメリットです。
通学型は費用や時間がある程度取れる人がしっかりと学ぶための主な選択肢になります。
通信教育で知識を身につける
介護食資格を通信講座で取得することは、忙しい方や、自分のペースで学びたい方にとって非常に魅力的な選択肢です。自宅にいながら、専門的な知識や技術を習得できることが大きなメリットでしょう。仕事とも両立しやすく、費用はかなり抑えることができます。
しかしモチベーションを維持し、計画的に学習を進めるための自己管理が必要とされます。通信講座を選ぶ際は、カリキュラムの内容やサポート体制などを比較検討し、自分に合った講座を選ぶことが大切でしょう。
独学のポイント
介護食資格を独学で取得することは、費用を抑え、自分のペースで学習できるというメリットがあります。しかし、いくつかの課題も存在します。まずは体系的な知識の習得のための教材選びは一つの大きな課題です。実践機会を確保し、実技の練習を行うこともポイントの一つになります。
モチベーションの維持のためには、学習仲間を見つけるためにオンラインコミュニティの活用するなどの工夫が有効です。通信教育を部分的に活用することは、独学で大きく失敗することを防ぐ手助けにもなります。
介護食資格の将来性

最後に介護食資格の将来性と今後の展望について確認します。
介護食市場の予測
介護食市場は2024年現在、年間約1.2兆円規模まで成長し、今後も年率8%程度の成長が予測されています。2030年までに市場規模2兆円超の予測もされています。特に在宅介護向けの需要が増加傾向にあります。
また日本の高齢化が急速に進んでおり、65歳以上の人口比率が増加し続けています。これに伴い、介護施設や病院、在宅介護サービスにおいて、専門的な介護食の知識を持つ人材の需要が拡大しています。自宅に要介護者がいる家庭も増えており、家族の介護のために資格を取得する方も増加傾向です。
資格の新しい活用法と働き方
介護食に関する新しい動きとしては、オンラインやリモートでの仕事の範囲の拡充が挙げられます。在宅介護者に対しオンラインで指導をしたり、レシピ開発はリモートで行うことができるなど、介護の業界でも部分的に働き方は変化しています。
介護施設内からでも食品メーカーとの協働など、従来よりも自由な働き方ができるようになっています。栄養との関わりや健康意識の高まりと共に、介護食は今後ますます横断的な人材が活躍できるようになっていくことが予想されます。
介護食資格の取得は通信講座がおすすめ!さまざまな場面で生かそう
ご家族のためや、仕事に生かしたいなどの理由で介護食資格の取得を検討している社会人の方には通信講座がおすすめの選択肢です。まずは介護食マイスターや介護食作りインストラクターなど費用が安く、基本的な知識を得られる資格を取得するとさまざまな場面で生かすことができると感じられるでしょう。
さらに介護食のプロフェッショナルに挑戦したい方は、通学制でしっかりと学び、介護食士を取るという選択肢もあります。まずは基礎を学ぶ上でSARAスクールを確認してみてください。
まとめ
介護食の資格は、専門知識と技術を習得する有効な手段です。目的や状況に応じて最適な資格を選択し、実践的に活用することで、介護の質の向上に貢献できます。今後も需要の高まりが予想される分野であり、キャリア形成の観点からも注目に値します。
- 通信講座のSARAスクール編集部
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心理カウンセラー資格やリンパケアセラピスト等の体系資格、食育資格などを扱うSARAスクール編集部が運営するコラムです。主に女性向けのキャリアアップやスキル習得を目的とした講座が多く、家事や育児と両立しながら学べる環境が整っています。資格取得を目的とした講座も充実しており、仕事や日常生活に活かすことが可能です。