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小学校で行われている「食育」とは?効果的な食育活動とは?

食育は、小学校の段階で適切に行われることで、子どもたちの健康的な成長と生活習慣の確立に大きく寄与します。
特に、実践的な取り組みを通じて、食に対する理解と関心を深めることが重要です。
当記事では、東京都葛飾区の細田小学校と兵庫県内の小学校での具体的な食育事例を取り上げ、それぞれの取り組みの詳細と子どもたちへの影響について詳しく解説していきます。
子どもの成長にとって食育は、とても重要な役割を果たしています。とくに小学生になると、普段の食事は大人とほとんど変わらないものになるため、その意義はより大きくなります。そのため、それぞれの小学校ではさまざまな工夫を取り入れた個性豊かな食育が展開されています。
今回は、小学校で一般的に行われている食育についてまとめるとともに、いくつか具体的な例をあげて小学校で実際に行われている食育について見ていきます。

小学校で行われている「食育」とは?

小学校での食育活動の全体像

小学校での食育活動は、子どもたちの健やかな成長と健康的な生活習慣の確立を目指して、多岐にわたる取り組みが行われています。
食育は、単に栄養知識を教えるだけでなく、子どもたちが食と向き合い、実際に体験を通じて学ぶことで、より深い理解を促すことを目的としています。

ここでは、小学校での食育活動の重要性と実践、そして多様な取り組みについて詳しく解説します。

食育の重要性と小学校での実践

食育は、子どもたちの健康な成長と発達に欠かせない要素です。
特に、小学校の段階で適切な食育を行うことで、子どもたちは生涯にわたって健康的な食生活を維持する基盤を築けます。

栄養知識の習得

子どもたちが成長期に必要な栄養を正しく理解し、バランスの取れた食事を摂ることは非常に重要です。
小学校では、栄養素の種類やその役割、適切な摂取量について教える授業が行われています。

これにより、子どもたちは食事の選び方や食べ方に対する意識を高められます。

食生活の習慣化

食育を通じて、子どもたちは規則正しい食生活の重要性を学びます。
例えば、朝食を欠かさず摂ることや、間食の取り方について指導することで、健康的な食習慣を身につけられます。

また、給食を通じて実際にバランスの取れた食事を体験することも、食生活の習慣化に役立ちます。

マナーと文化の理解

食育は、栄養や食生活だけでなく、食事のマナーや食文化についても教える重要な機会です。
食事のマナーを学ぶことで、子どもたちは他者とのコミュニケーションを円滑にするスキルを身につけます。

また、異なる食文化に触れることで、他国の文化や歴史に対する理解を深められます。

多様な取り組みの概要

小学校での食育活動は、多様なアプローチで行われています。
具体的な取り組みを通じて、子どもたちは食に対する興味や関心を高め、実際に体験することで理解を深めます。

給食を活用した取り組み

給食は、食育の実践において非常に重要な役割を果たしています。
給食を教材として活用することで、子どもたちは日常的にバランスの取れた食事を体験しながら学べます。

栄養士や調理師が考案したメニューを通じて、栄養の重要性や食材の多様性について理解を深めます。

栽培活動と収穫体験

小学校では、校庭や近隣の農地を利用して作物の栽培活動を行うことがあります。
子どもたちは、自分たちで野菜や果物を育てることで、食材がどのように育つかを学びます。

また、収穫した作物を実際に調理して食べる体験を通じて、食材に対する感謝の気持ちや食べ物の大切さを実感します。

給食材料の下処理の手伝い

給食の準備に関わる活動も、食育の一環として行われています。
子どもたちは、給食材料の下処理を手伝うことで、食材の取り扱いや調理の基本を学びます。

これにより、自主性や責任感が育まれるとともに、食に対する関心が高まります。

食育の授業

食育の授業では、栄養に関する知識の提供だけでなく、食文化や食事のマナーについても教えます。
例えば、日本の伝統的な食文化や、世界各国の食文化について学ぶことで、子どもたちの視野を広げられます。

また、食事のマナーを実際に体験しながら学ぶことで、実践的なスキルを身につけることが可能です。

小学校での食育活動は、子どもたちの健やかな成長と健康的な生活習慣の確立に大きく貢献しています。
栄養知識の習得、食生活の習慣化、マナーや文化の理解など、多岐にわたる取り組みを通じて、子どもたちは食に対する興味や関心を高め、実際に体験することで理解を深めます。

家庭や地域社会との連携を図りながら、継続的な食育の推進が求められます。

給食を活用した食育の実践

小学校での食育は、子どもたちの健やかな成長と健康的な生活習慣の確立に不可欠な要素です。
特に、給食を教材として活用することで、日常的な食事の中で栄養知識や食習慣を学ぶ機会を提供できます。

ここでは、給食を活用した食育の実践について、具体的な取り組みと栄養バランスの重要性について詳しく解説します。

給食を教材として活用する取り組み

給食は、子どもたちが毎日食べる食事であり、食育の場として非常に効果的です。
給食を教材として活用する取り組みは、実際の食事体験を通じて、子どもたちに食の大切さや楽しさを教えることが目的です。

給食のメニュー構成と教育的意図

給食のメニューは、栄養士や調理師が栄養バランスを考慮して作成しています。
このメニュー構成には、食育の観点が取り入れられており、子どもたちが様々な食材や料理を体験できるよう工夫されています。

例えば、季節の野菜や地元の食材を取り入れることで、食材の旬や地産地消の考え方を学べます。

食材の紹介と食育指導

給食の時間には、食材の紹介や栄養素に関する説明が行われることがあります。
これにより、子どもたちは自分が食べているものがどのような栄養素を含んでいるかを理解し、健康的な食生活の重要性を学びます。

例えば、「今日はカロテンが豊富な人参が入っています。人参は目の健康に良いんですよ」といった説明を通じて、食材の栄養価とその役割を知ることができます。

給食日記と振り返り

給食日記は、子どもたちが毎日の給食メニューを記録し、食べたものについて振り返る活動です。
この取り組みは、自分の食生活を見直す良い機会となり、食べ物に対する感謝の気持ちや食事の楽しさを再確認する助けとなります。

例えば、「今日は初めて食べた野菜が美味しかった」といった感想を書き留めることで、新しい食材への興味を引き出せます。

栄養バランスと給食の役割

給食は、子どもたちがバランスの取れた食事を摂るための重要な役割を果たしています。
栄養バランスを考慮した給食は、成長期の子どもたちにとって必要な栄養素を効率よく摂取する手段となります。

バランスの取れた食事の重要性

栄養バランスの取れた食事は、子どもたちの健康な成長と発達に不可欠です。
例えば、カルシウムは骨の成長を促進し、タンパク質は筋肉や組織の発達に寄与します。

ビタミンやミネラルも、免疫力を高め、病気の予防に役立ちます。
給食では、これらの栄養素をバランスよく摂取できるよう、主菜、副菜、デザートが組み合わされています。

給食と食事の習慣化

給食は、規則正しい食生活の習慣を身につけるための重要な機会です。
毎日決まった時間に給食を摂ることで、子どもたちは自然と食事のリズムを覚え、食事の重要性を理解します。

また、給食を通じて、正しい食事の取り方や適切な食事量を学べます。
例えば、「ご飯はエネルギー源になるので、しっかり食べましょう」といった指導を通じて、食事の役割とそのバランスを学ぶことが可能です。

給食を通じた社会性の育成

給食の時間は、単に食事をするだけでなく、子どもたちがコミュニケーションを取る場でもあります。
クラスメートと一緒に食事をすることで、協力や礼儀、感謝の気持ちを育めます。

例えば、配膳や片付けをみんなで協力して行うことで、チームワークや他者への配慮を学びます。
また、「いただきます」や「ごちそうさま」といった言葉を通じて、食事に対する感謝の気持ちを育てることも可能です。

給食の継続的な改善と評価

給食の提供は一過性のものではなく、継続的な改善と評価が行われています。
子どもたちの栄養状態や食習慣の変化を把握し、必要に応じてメニューの見直しや改善が行われます。

例えば、食物アレルギーを持つ子どもへの配慮や、子どもたちの嗜好に合わせたメニューの開発などが行われています。

給食を活用した食育は、子どもたちの健康な成長と発達を支える重要な取り組みです。
栄養バランスの取れた食事を提供し、食材や栄養素について学ぶ機会を提供することで、子どもたちは健康的な食生活の基盤を築けます。

また、給食を通じたコミュニケーションや協力の経験は、社会性の育成にも寄与します。
家庭や学校、地域社会が一体となって、継続的な食育の推進を図ることが求められます。

学校での栽培活動

学校での栽培活動は、子どもたちに自然のサイクルや食物の大切さを理解させるための重要な教育手段です。
種を植え、育て、収穫し、調理して食べるという一連の過程を通じて、子どもたちは食に対する理解と感謝の気持ちを深めます。

以下では、栽培から収穫までのプロセスと、収穫した作物を活用した食育について詳しく解説していきます。

作物の栽培から収穫まで

栽培活動は、食育の重要な一環として、多くの学校で取り入れられています。
子どもたちは、実際に土に触れ、作物を育てることで、食物がどのようにして育つのかを体験的に学べます。

種まきと発芽

栽培活動の最初のステップは、種まきです。
種を土にまき、水を与え、発芽する様子を観察します。

子どもたちは、この段階で植物の成長過程に興味を持ち、毎日の変化を楽しみにするようになります。
種まきの際には、適切な深さや間隔、土の状態についても学びます。

育苗と移植

発芽した苗は、一定の大きさになるまで育てられます。
この期間中、子どもたちは水やりや雑草取りなどの作業を通じて、植物の世話をする重要性を学びます。

育苗が進むと、より広い場所に移植します。
この移植作業は、根の扱い方や植物の成長環境について理解を深める良い機会です。

成長管理と病害虫対策

作物が成長する過程では、適切な管理が必要です。
子どもたちは、水やりや肥料の与え方、病害虫の予防と対策について学びます。

例えば、自然な方法で害虫を防ぐために、コンパニオンプランツを使う方法なども紹介されます。
これにより、環境に優しい農業の基本的な考え方も学びます。

収穫と喜び

収穫の時期が近づくと、子どもたちは作物の成熟具合を確認し、収穫の準備をします。
収穫は、栽培活動の中でも特に感動的な瞬間であり、自分たちの手で育てた作物を収穫する喜びを味わいます。

この経験を通じて、努力の成果を実感し、食物に対する感謝の気持ちを育てます。

収穫した作物の調理と食育

収穫した作物を実際に調理して食べることは、栽培活動の締めくくりであり、非常に重要な食育の一環です。
自分たちで育てた作物を使った料理を楽しむことで、食物への理解と愛着が一層深まります。

調理の準備と計画

収穫した作物を使った料理の計画を立てることは、子どもたちにとって興味深い活動です。
どのような料理を作るかを考え、必要な材料や道具を揃える過程で、計画力やチームワークの重要性を学びます。

また、食材の選び方や栄養バランスについても自然と理解が深まります。

簡単な料理から始める

料理の実践では、子どもたちが安全に参加できるように、簡単な作業から始めます。
例えば、野菜を洗ったり、皮をむいたり、簡単な切り方を学ぶことからスタートします。

この過程で、包丁の使い方や安全な調理方法についても指導します。
初めての料理でも成功体験を味わえるような簡単なレシピを選ぶことで、自信を持たせることが可能です。

調理と試食

実際の調理は、子どもたちにとって非常に楽しみな時間です。
自分たちで収穫した新鮮な作物を使って、シンプルながら美味しい料理を作ります。

例えば、収穫した野菜を使ったサラダやスープ、焼き野菜などが考えられます。
調理後には、みんなで試食をし、感想を共有します。

この体験を通じて、食べ物の大切さや仲間と一緒に食べる楽しさを実感することが可能です。

食物の歴史と文化の学び

収穫した作物を使った料理を楽しむだけでなく、その食材の歴史や文化についても学べます。
例えば、トマトやジャガイモがどのようにして世界中に広まったか、日本の伝統的な料理に使われる食材についてなど、食物にまつわる興味深い話を紹介することで、子どもたちの知識と興味を広げます。

食事のマナーと感謝の心

料理を通じて食事のマナーを学ぶことも重要です。
食事の際には、正しい箸の使い方や食事中の姿勢、感謝の気持ちを表現する方法を教えます。

例えば、「いただきます」や「ごちそうさま」という言葉の意味と、その大切さについて話し合います。
これにより、子どもたちは食事に対する感謝の気持ちと、他者への思いやりを育めます。

栄養素と健康の関連性

収穫した作物を使った料理を通じて、栄養素と健康の関連性についても学びます。
例えば、ビタミンやミネラルがどのように体に役立つか、バランスの取れた食事がなぜ重要なのかを具体的に説明します。

これにより、子どもたちは自分の健康を考える力を養い、将来的に健康的な食生活を送るための基礎を築きます。

栽培活動と食育の相乗効果

学校での栽培活動と食育は、相乗効果を発揮します。
子どもたちは、作物を育てる過程を通じて、自然の営みや食物の大切さを学び、収穫した作物を調理して食べることで、食物への理解と愛着を深めます。

この一連の活動を通じて、子どもたちは食物に対する感謝の気持ちや健康への関心を育めます。

継続的な取り組みとその効果

栽培活動と食育は、一度きりの取り組みではなく、継続的に行うことが重要です。
年間を通じて季節ごとに異なる作物を育てることで、子どもたちは四季の移り変わりとそれに伴う農作業の変化を実感できます。

また、継続的な取り組みにより、子どもたちは食物に対する理解を深め、自分たちの食生活にも積極的に関与するようになります。

地域社会との連携

栽培活動や食育は、地域社会との連携を通じてさらに豊かなものになります。
地元の農家や食品業者との協力により、子どもたちは地域の食材や食文化について学べます。

例えば、地元の農家を訪れて収穫体験を行ったり、地域の食材を使った料理教室に参加したりすることで、地域とのつながりを感じられます。

子どもたちの成長と未来

栽培活動と食育を通じて得られる経験は、子どもたちの成長に大きな影響を与えます。
食物に対する理解と感謝の気持ちを持つことで、健康的な食生活を送る習慣が身につきます。

また、自然と触れ合い、協力して作業を行う経験を通じて、社会性や責任感も育まれます。
これらの経験は、子どもたちが将来どのような道に進むにしても、重要な基盤となるでしょう。

学校での栽培活動と食育は、子どもたちに食物の大切さや自然とのつながりを学ぶ貴重な機会を提供します。
種まきから収穫、調理までの一連の過程を通じて、子どもたちは食物に対する理解と感謝の気持ちを深め、健康的な食生活の基盤を築くことが可能です。

また、継続的な取り組みと地域社会との連携により、さらに豊かな学びの機会が広がります。
これからも、学校での栽培活動と食育の推進が、子どもたちの健やかな成長を支える重要な役割を果たすことが期待されています。

具体的な事例紹介

食育は全国の小学校で様々な形で実践されています。
ここでは、東京都葛飾区の細田小学校と兵庫県内の小学校での具体的な事例を紹介します。

これらの事例を通じて、食育がどのように効果的に行われているかを理解しましょう。

東京都葛飾区・細田小学校の「マナー給食」と「デザートバイキング給食」

細田小学校では、食育の一環として「マナー給食」と「デザートバイキング給食」というユニークな取り組みが行われています。
これらの活動を通じて、子どもたちは食事のマナーやバランスの取れた食事の重要性を学びます。

マナー給食の概要

「マナー給食」は、食事中の正しいマナーを身につけることを目的としています。
子どもたちは、給食の時間を利用して、箸の持ち方や正しい食べ方、食器の扱い方など、基本的な食事のマナーを学びます。

実施方法
給食時間に特別な指導を行い、教師や栄養士が子どもたちに直接マナーを教えます。
また、定期的にマナー講座を開き、専門家を招いて講義を行うこともあります。

効果
子どもたちは日常生活の中で自然と正しいマナーを実践するようになり、食事の楽しさを再認識します。
また、他者とのコミュニケーションが円滑になり、社会性も育まれます。

デザートバイキング給食の概要

「デザートバイキング給食」は、食事の楽しさを強調しつつ、バランスの取れた食事の重要性を教える取り組みです。
この活動では、さまざまなデザートを用意し、子どもたちが自由に選んで楽しめます。

実施方法
定期的にデザートバイキングの日を設け、給食の一部としてデザートのコーナーを設置します。
子どもたちは、好きなデザートを選び、自分の食べる量を調整する体験を通じて、適量の摂取を学びます。

効果
子どもたちは、甘いものを楽しみながらも、栄養バランスを考える習慣を身につけます。
自分で選ぶ楽しさと責任を学ぶことで、自己管理能力も養われます。

兵庫県内小学校での実践的な食育活動

兵庫県内の小学校では、実践的な食育活動が積極的に行われています。
ここでは、特に注目される取り組みを紹介します。

食と向き合い実践しながら考える学習

兵庫県のある小学校では、「食と向き合い実践しながら考える学習」をテーマにした食育プログラムが実施されています。
このプログラムでは、子どもたちが食材の選定から調理、食事のマナーまでを総合的に学びます。

実施方法
プログラムは学期ごとにテーマを設定し、各学年で異なる食育活動を行います。
例えば、低学年では野菜の栽培と収穫を体験し、高学年では実際に料理を作る活動が含まれます。

効果
子どもたちは、食材がどのように育ち、どのように調理されるかを実際に体験することで、食物に対する理解が深まります。
また、チームでの作業を通じて協力の大切さを学びます。

地元食材を使った料理体験

兵庫県内の別の小学校では、地元の食材を使った料理体験が行われています。
この取り組みは、地域の農産物に親しみを持たせるとともに、地産地消の大切さを教えることを目的としています。

実施方法
地元の農家と連携し、季節の野菜や果物を提供してもらいます。
子どもたちはこれらの食材を使って簡単な料理を作り、その場で試食します。

また、農家の方から直接話を聞くことで、食材への理解を深めます。

効果
子どもたちは、地元の食材に親しみを持ち、地域の農業に関心を持つようになります。
また、旬の食材を使った料理を通じて、栄養バランスの取れた食事の大切さを学びます。

東京都葛飾区の細田小学校や兵庫県内の小学校で行われている具体的な食育の事例を通じて、食育が子どもたちの成長に与える影響の大きさを理解することが可能です。
これらの取り組みは、子どもたちに食に対する興味と理解を深めさせ、健康的な食習慣を身につけるための貴重な機会を提供しています。

今後も、さまざまな形での食育活動が全国の小学校で広がり、子どもたちの健全な成長を支えることが期待されています。

小学校における食育の取り組み

小学校で行われている「食育」とは?

食育は、小学校でも子どもの成長に役立つものとして取り入れられています。まずは、多くの小学校でよく取り入れられている一般的な取り組みについて紹介します。

給食を教材とした取り組み

給食が出る学校では、そのメニューにも食育の考え方を取り入れています。給食は、1ヶ月分の献立が給食表というかたちで提示されることが多いです。給食表のなかには毎日の給食の献立が細かく記載されており、それぞれの栄養素についても詳しく紹介されています。小学校の給食は、ただ食事をするためだけのものではなく、子どもたちに自然と栄養について目を向けさせる機会にもなっています。 また、学校のなかには「3群点数法」という栄養バランスの考え方を取り入れているところもあります。「3群点数法」とは、食品の栄養をその役割別に3つのグループに分け、赤・緑・黄の3色で表したものです。赤は「体の中で血や肉になる食べ物」を示しており、たとえば肉や魚、大豆、乳製品がこれにあたります。緑は「体の調子を整える食べ物」を示しており、たとえば、野菜や果物、海藻のことです。黄は「力や体温になる食べ物」を示しており、たとえば、穀類、油、砂糖などが当てはまります。このうち1度の食事で必ずとりたいものが、赤と緑です。食品の栄養素は細かく分かれているため、とくに低学年の子どもにはわかりにくいですが、こういった大まかな色分けをすることで、簡単に食べ物の働きについて理解することができるようになっています。

栽培活動

小学校では、子どもたちが自分たちの手で野菜を育てる活動も行っています。これは生活科や理科といった授業の一環として行われることが多いですが、食育的な意味合いも持ち合わせている活動です。ミニトマトやナス、ピーマンのほか、地域の特産品を栽培している学校もあります。実際に自分で食べ物を育てることは、食べ物に関する感謝の気持ちを育てることにも大いに役立ちます。

収穫した作物を調理

子どもたちが育てた作物は、収穫したあと調理して食べることもあります。自分で作った食べ物を調理して食べるという経験は食べ物に対する親近感を強くしますし、学校の仲間とともに調理を行うことはコミュニケーションを学ぶ機会にもなります。

給食材料の下処理の手伝い

実際に給食の材料となる食材の下処理を体験させる学校もあります。調理をする前の生の食材に触ったことがない子どもは意外と多いため、このような取り組みは子どもにとっても非常に貴重な体験となります。調理される前の肉や魚、野菜を実際に触りながら調理の工程を知ることは、子どもたちの食に対する関心も高める効果が期待できるでしょう。

食育の授業

小学校では「食育」をテーマにした授業も取り入れられています。たとえば、自分の朝ごはんに何を食べているかを発表したり、おやつを毎日どれくらい食べているか話し合ったりしています。そのほかにも栄養について学んだり、乱れた食生活が続くとどのような事態になるのか自分たちで調べることもあります。

小学校における食育の事例紹介

小学校における食育の取り組み
ここからは、実際の小学校を例にあげ、具体的な食育の取り組み内容について紹介します。

「マナー給食」「デザートバイキング給食」(東京都葛飾区・細田小学校)*1

東京都葛飾区の細田小学校では、「マナー給食」や「バイキング給食」といった特色ある給食が取り入れられています。

*マナー給食

  マナー給食は、5年生と6年生でそれぞれ実施します。5年生では和食、6年生では洋食のマナーにつて学びます。

・和食のマナー給食

  5年生では、和食のマナーについて学びます。子どもたちは実際に食事をとる前に、箸や茶碗の持ち方、和食器の並べ方、骨のある魚の食べ方などについて講義を受けます。一見、普段の食事で身に付いていそうな内容ばかりですが、実際に確認していくと自分の間違いに気付く子どもも少なくないそうです。 和食のマナー給食では、「ご飯、みそ汁、魚料理、煮物、おひたし、デザート、お茶」が家庭科の教員や栄養士によって用意されます。それぞれの食材には地元の名物や特産品が多く使用されています。

・洋食のマナー給食

  6年生では、洋食のマナーについて学びます。和食のマナー給食同様、食べる前に子どもたちは食事のマナーについて学びます。食器の並べ方や、ナイフやフォーク、ナプキンの使い方について説明を受けます。 本格的なコース料理に見立てたメニューが用意され、それを体験することでテーブルマナーを実践的に学びます。洋食のマナー給食では、「サラダ、スープ、メインディッシュ、パン、デザート、アイスティー」が用意されます。料理はすべて子どもたちの目の前で盛りつけられ、子どもたちの席へ順に運ばれます。また、会場となる教室にはクラシック音楽が流され、本格的な雰囲気のなかで洋食を味わいます。

・マナー給食の効果

  マナー給食の実践によって、子どもたちの食に対する関心は目に見えてわかるほどに高まります。以前は魚の頭や皮を残していた子どもが残さずそれら食べられるようになったり、いつも1品ずつ食べていた子どもがおかずを順番に食べる「三角食べ」ができるようになったりしたそうです。

*デザートバイキング給食

  デザートバイキング給食は、各学期に1回ずつそれぞれの学年で実施されています。通常の給食のあとに、デザートがたくさん乗ったワゴンが教室に運ばれます。デザートの内容は、季節のフルーツやケーキなどです。子どもたちはきちんと列を作り、順番を守って目当てのデザートを皿に取っていきます。デザートバイキング給食の際は栄養指導が合わせて行われており、子どもたちはこれを通して食に対する知識をしっかり身に付けています。

食と向き合い実践しながら考える学習(兵庫県内小学校)*2

兵庫県の小学校では、食に関するさまざまな学習が取り入れられています。ここでは、3年生と5年生で行われた学習内容について紹介します。

*「昔の道具と人々のくらし」に関する学習

小学校3年生の授業では、七輪を実際に使用することで、昔の人々の暮らしについて考える授業が行われました。七輪を使う前に自分たちにどの程度の知識があるか発表し合ったり、昔の人の苦労を想像したりすることで、食に関する関心を多角的に深めることに繋がっています。

*「国産と外国産の豆腐」に関する学習

小学校年5年生の授業では、日本の食料自給率について考えるための授業が行われました。具体的には、子どもたちにとって身近な食材である「豆腐」について、国産と外国産のものが販売されていることを取り上げ、考察する授業です。この授業では、実際に自分が買い物に行った場合にどちらの豆腐を買うか話し合ったり、国産の食品を広めるためにはどうしたらいいか考えたりします。また、問題に詳しいゲストティーチャーの話を実際に聞くことで、国産の食品を購入すべき理由を深く理解します。このような活動を行うことで、日本全体の食に関する問題を自分たちの身近な問題としてとらえ、考える力を磨きます。

小学校ではより実践的な食育が行われている

小学校ではより実践的な食育が行われている

小学校では、多種多様な食育に関する取り組みが行われています。実際に手を動かして食品の扱い方やマナーを身に付けたり、自分の頭で食に関する問題を考えたりすることは、食に関する知識や関心を深めるためにとても役立ちます。子どもたちは、小学校での活動をとおして大人になるための準備をしていきます。

まとめ

小学校での食育活動は、子どもたちの健康な成長と食生活の改善に不可欠な要素です。
東京都葛飾区の細田小学校の「マナー給食」や「デザートバイキング給食」、兵庫県内の小学校の実践的な食育活動は、具体的な例としてその効果を示しています。

これらの取り組みは、栄養知識の習得、食生活の習慣化、マナーと文化の理解を促し、子どもたちに食の重要性を深く理解させる機会を提供しています。
食育活動は、家庭や地域社会との連携を通じて継続的に推進されることで、子どもたちの未来を支える基盤となります。

通信講座のSARAスクール編集部
心理カウンセラー資格やリンパケアセラピスト等の体系資格、食育資格などを扱うSARAスクール編集部が運営するコラムです。主に女性向けのキャリアアップやスキル習得を目的とした講座が多く、家事や育児と両立しながら学べる環境が整っています。資格取得を目的とした講座も充実しており、仕事や日常生活に活かすことが可能です。
通信講座のSARAスクール編集部