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味覚が決まるのは3歳?幼児期から食育をすべき理由

幼児期の味覚教育は、子どもたちの将来的な健康と食生活に深く影響します。
幼い頃に形成された食習慣や嗜好は、生涯にわたって続くため、この時期にどのような食経験を提供するかが重要です。
特に、食べ物の好き嫌いは遺伝だけでなく学習によっても大きく変わることが知られています。
当記事では、幼児期における食育の意義と、どのようにして子どもたちの食べ物に対する嗜好が形成されるのかについて詳しく解説していきます。
親や保護者ができる具体的な方法も解説していきますので、ぜひ最後までお付き合いください。
幼いうちから子どもに対して食育を行うことは、子どもの味覚を育てるためにとても重要です。もしかすると、子どもが小さいうちはまだ味覚が発達しておらず、味をうまく判別できないと思っている人もいるかもしれません。しかし、実際はその逆で小さな子どもほど味覚は敏感で、少しの味の違いにも大人以上に強い反応を示します。
今回は、幼児期から食育を取り入れるべきである理由について、子どもの味覚の形成時期やその仕組みを交えて紹介します。

味覚が決まるのは3歳?幼児期から食育をすべき理由

幼児期からの食育の重要性

幼児期は成長と発達の重要な時期であり、この期間に培った食習慣や味覚は、生涯にわたって健康や生活の質に大きな影響を与えます。
ここでは、幼児期における食育の意義と、その長期的な影響について詳しく解説していきます。

幼児期に食育を始める意義

幼児期に食育を始めることは、子どもたちが健康的な食生活を身につけるための基盤を築く上で非常に重要です。
この時期に形成された食習慣や食の嗜好は、成長と共に強固なものとなり、将来的な健康に直結します。

基礎的な食習慣の確立

幼児期は、基本的な食習慣を確立するための最適な時期です。
食育を通じて、子どもたちは規則正しい食事の時間、バランスの取れた食事の重要性を学びます。

例えば、毎日同じ時間に朝食を摂る習慣を身につけることで、体内時計が整い、消化器官の機能が正常に働くようになります。

多様な味覚の経験

幼児期に多様な味覚を経験することで、子どもたちの味覚の幅を広げられます。
さまざまな食材や料理に触れることで、食への興味が湧き、将来的に偏食や栄養不足を防げます。

特に、苦味や酸味など、子どもが苦手とする味を繰り返し経験させることで、嗜好が発達しやすくなります。

幼少期の食育が与える長期的影響

幼少期に始めた食育は、長期的に見ても子どもたちの健康と生活に大きな影響を与えます。
この時期に培われた食習慣は、成人期においても継続され、生活習慣病の予防や健康維持に寄与します。

健康な体と心の形成

幼児期に適切な栄養を摂ることで、子どもたちの身体的な成長だけでなく、精神的な発達にも良い影響を与えます。
例えば、バランスの取れた食事は、脳の発達に必要な栄養素を提供し、学習能力や集中力を高めます。

また、食事を通じた家族や友人とのコミュニケーションは、社会性や感情の発達を促進します。

生涯にわたる健康維持

幼少期に確立された健康的な食習慣は、成人期以降も持続されやすく、生活習慣病の予防に効果的です。
例えば、野菜や果物を多く摂る習慣は、肥満や糖尿病、心臓病などのリスクを減少させることが証明されています。

幼児期にこれらの習慣を身につけることで、将来的な健康維持に大きく貢献します。

家族の食生活への影響

幼児期の食育は、子どもだけでなく、家族全体の食生活にも良い影響を与えます。
子どもと一緒に食育活動を行うことで、家族全員が健康的な食生活を意識するようになり、家庭内での食事の質が向上します。

例えば、子どもと一緒に料理をすることで、親子のコミュニケーションが深まり、食に対する理解が深まります。

味覚の基礎知識

味覚は、私たちが食事を楽しむ上で欠かせない感覚です。
食材の味を感じることで、食欲を増進させ、栄養摂取を促進します。

ここでは、味覚の仕組みと基本的な種類について詳しく解説します。

味覚の仕組みとは?

味覚は、主に舌に存在する味蕾と呼ばれる感覚器官を通じて感じ取られます。
味蕾は、食べ物が口に入ると化学的な信号を受け取り、これを脳に伝達することで味を感じる仕組みです。

味蕾の構造

味蕾は、舌の表面や口腔内の特定の部位に集中して存在する小さな球状の構造物です。
1つの味蕾には数十から数百の味細胞が含まれており、これらの細胞が味覚受容体として機能します。

食べ物の化学成分が味蕾に触れると、味細胞がこれを検知し、神経信号を脳に送ります。

味覚の伝達経路

味蕾で感知された味覚情報は、脳の特定の領域に送られ、そこで認識されます。
まず、味細胞から発せられた信号は、顔面神経や舌咽神経を通じて脳幹に到達し、その後、視床を経由して大脳皮質の味覚野に送られます。

これにより、私たちは甘い、酸っぱい、苦い、塩辛い、旨味といった具体的な味を感じられます。

味覚の基本的な種類

味覚には主に5つの基本的な種類があります。
それぞれの味覚は異なる化学成分によって引き起こされ、異なる感覚をもたらします。

甘味

甘味は、主に糖類によって引き起こされる味です。
エネルギー源として重要な糖分を認識するために、甘味を感じる能力は進化的に有利であると考えられています。

酸味

酸味は、主に酸性化合物によって引き起こされます。
酸味は食品の鮮度や腐敗を感知するための重要な役割を果たします。

例えば、腐った食べ物は酸味が強くなり、これを避けることで食中毒のリスクを減らせます。

塩味

塩味は、主に塩化ナトリウムによって引き起こされます。
塩分は体内の電解質バランスを保つために必要であり、塩味を感じることは適切なナトリウム摂取に寄与します。

苦味

苦味は、一般的に有害な化合物によって引き起こされます。
そのため、苦味を感知する能力は、毒物を避けるための防御機能として重要です。

旨味

旨味は、アミノ酸の一種であるグルタミン酸などによって引き起こされる味です。
旨味は、特にタンパク質が豊富な食品に多く含まれており、栄養価の高い食品を認識する手助けをします。

味蕾の役割と発達

味覚は私たちの生活において非常に重要な役割を果たします。
その中心には、味蕾(みらい)と呼ばれる感覚器官があります。

ここでは、味蕾の機能と幼児期における味蕾の発達過程について詳しく解説します。

味蕾の機能

味蕾は、舌の表面や口腔内に存在し、私たちが食べ物の味を感じるために欠かせない器官です。
その機能を理解することで、味覚のメカニズムについてより深く知れます。

味蕾の構造と分布

味蕾は、舌の乳頭と呼ばれる小さな突起に多く存在し、舌以外にも口蓋や喉の奥にも分布しています。
1つの味蕾には数十から数百の味細胞が含まれており、これらの味細胞が化学物質を感知して信号を脳に送ります。

味覚受容体の働き

味蕾内の味細胞には、特定の化学物質に反応する受容体があります。
例えば、甘味受容体は糖分に反応し、苦味受容体は苦味成分に反応します。

これにより、異なる味を識別することが可能です。
味細胞が化学物質を感知すると、その情報は神経信号として脳に伝達され、私たちは味を感じます。

味覚情報の伝達経路

味蕾で感知された味覚情報は、神経信号として脳に伝えられます。
まず、顔面神経、舌咽神経、迷走神経を通じて脳幹に到達し、その後、視床を経由して大脳皮質の味覚野に送られます。

この過程で、私たちは甘い、酸っぱい、苦い、塩辛い、旨味といった具体的な味を認識できます。

味蕾の適応と変化

味蕾は、環境や食習慣に応じて適応し、変化する能力を持っています。
例えば、長期間にわたって特定の味を経験し続けると、その味に対する感度が変わることがあります。

これは味蕾の受容体の感度が調整されるためであり、新しい味覚経験を受け入れる準備が整います。

幼児期における味蕾の発達過程

味蕾の発達は胎児期から始まり、幼児期に急速に進行します。
この時期における味覚の発達は、将来的な食習慣や健康に大きな影響を与えるため、非常に重要です。

胎児期からの味覚発達

味蕾の発達は胎児期から始まります。
妊娠中の母親が摂取する食事の味が羊水を通じて胎児に伝わり、これが初期の味覚経験となります。

この時期に多様な味を経験することで、生後の味覚受容に影響を与えることが知られています。

生後の味覚の発達

生後、乳児は母乳や乳児用ミルクを通じてさらに多様な味を経験します。
母乳には母親の食事の影響を受けたさまざまな味が含まれており、これが乳児の味覚発達を促進します。

また、離乳食の導入により、固形食品のさまざまな味を経験でき、味覚の幅が広がります。

幼児期の味覚の敏感さ

幼児期は味覚が非常に敏感な時期であり、新しい味を受け入れる能力が高いです。
この時期に多様な味を経験させることで、将来的な偏食を防ぎ、バランスの取れた食習慣を確立できます。

例えば、苦味や酸味など、子どもが苦手とする味を繰り返し経験させることで、慣れ親しむことが可能です。

多様な食材の提供

幼児期には、多様な食材を提供することが重要です。
例えば、野菜、果物、肉、魚、穀物など、さまざまな種類の食品をバランスよく取り入れることで、子どもたちの味覚の幅を広げられます。

また、新しい食材に挑戦する機会を増やすことで、食への興味を引き出し、食べ物に対するポジティブな印象を与えられます。

繰り返しの経験の重要性

幼児期は新しい味に対する適応力が高い時期です。
同じ食材や料理を繰り返し提供することで、味覚の受容性が高まり、嗜好が定着しやすくなります。

特に、最初は苦手だった味でも、何度も経験することで受け入れられるようになることが多いです。

食事環境の整備

食事を楽しめる環境を整えることも重要です。
例えば、家族や友人と一緒に食事をすることで、楽しい食事体験を提供します。

また、食事中にリラックスできる雰囲気を作ることで、子どもたちは食事を楽しむことができ、味覚の発達にも良い影響を与えます。

幼児の味覚を広げるための工夫

幼児期は味覚が急速に発達する時期であり、この時期にさまざまな味を経験させることは、将来の食生活に大きな影響を与えます。
ここでは、幼児の味覚を広げるための具体的な方法について解説します。

幼児に多様な味を体験させる方法

幼児期に多様な味を経験させることで、味覚の幅を広げられます。
新しい味や食材に挑戦することは、幼児にとって楽しい学びの機会でもあります。

多様な食材を提供する

さまざまな食材をバランスよく提供することが重要です。
例えば、野菜、果物、肉、魚、穀物、乳製品など、幅広い種類の食品を取り入れることで、幼児は多様な味を経験できます。

また、季節ごとの旬の食材を使うことで、自然の味を楽しめます。

調理方法を工夫する

同じ食材でも、調理方法を変えることで異なる味を楽しめます。
例えば、野菜を生で食べるだけでなく、蒸す、焼く、煮るなどの調理方法を試すことで、食材の持つ多様な味を引き出せます。

また、スパイスやハーブを使うことで、料理の風味を豊かにすることも効果的です。

親子で料理を楽しむ

親子で一緒に料理をすることで、食材に触れる機会を増やし、食への興味を引き出せます。
簡単な料理から始め、子どもが自分で作った料理を楽しむことで、新しい味に挑戦する意欲が高まります。

親子で料理を楽しむ時間は、家族の絆を深める機会にもなります。

繰り返し食べることの重要性

幼児は新しい味に対して敏感で、初めて食べる食材に抵抗を示すことがあります。
しかし、繰り返し食べることで、その食材に慣れ、受け入れるようになります。

同じ食材を繰り返し提供する

幼児が苦手な食材でも、繰り返し提供することで徐々に慣れていきます。
初めは少量から始め、少しずつ量を増やしていくことで、無理なく食材に慣れることができます。

例えば、初めは嫌がっていた野菜も、何度も提供することで食べられるようになることが多いです。

食事のリズムを作る

規則正しい食事のリズムを作ることで、食事に対する興味や食欲が増します。
朝食、昼食、夕食の他に、適度なおやつの時間を設けることで、食事のリズムが整い、食べ物に対するポジティブな印象を持つようになります。

成功体験を重ねる

新しい食材を食べられたときには、大いに褒めてあげることが大切です。
成功体験を重ねることで、幼児は自信を持ち、さらに新しい味に挑戦しようとする意欲が高まります。

また、食事を通じてポジティブな経験を積むことで、食への興味や楽しさが増していきます。

食事を楽しむための環境作り

幼児が食事を楽しむためには、リラックスした環境を整えることが重要です。
食事の時間が楽しいものであると感じることで、新しい味に対する抵抗も減ります。

家族で食事を楽しむ

家族全員で食事を楽しむことで、食事の時間が楽しいひとときとなります。
家族が一緒に食卓を囲み、楽しく会話をすることで、幼児は食事に対してポジティブな印象を持つようになります。

また、家族が楽しそうに食べる姿を見ることで、幼児も自然と食事を楽しむようになります。

食事の雰囲気を整える

食事の雰囲気を整えることで、食事の時間が楽しいものとなります。
例えば、テーブルをきれいに整えたり、明るい照明を使ったりすることで、食事の時間をより楽しめます。

また、幼児が自分で食べやすいように、小さなサイズの食器やカトラリーを用意することも効果的です。

ストレスを感じさせない工夫

幼児が食事の時間にストレスを感じないようにすることも重要です。
無理に食べさせようとせず、幼児のペースに合わせて食事を進めることが大切です。

また、食事中にテレビやスマホを見せるのではなく、食事に集中できる環境を作ることも効果的です。

楽しい食事体験の提供

楽しい食事体験を提供することで、幼児は食事を楽しむことができ、味覚の発達にも良い影響を与えます。

食材に触れる機会を増やす

幼児が実際に食材に触れる機会を増やすことで、食への興味を引き出せます。
例えば、野菜や果物を一緒に洗ったり、切ったりすることで、食材の香りや質感を楽しめます。

また、家庭菜園やベランダでのプランター栽培など、食材がどのように育つかを学ぶ経験も効果的です。

食事の時間を楽しいものにする

食事の時間を楽しいものにするために、工夫を凝らすことが大切です。
例えば、食卓をカラフルに飾ったり、食材を使ったクイズを出したりすることで、食事の時間をより楽しいものにできます。

また、特別な日の食事やテーマを決めた食事など、イベント感を演出することも効果的です。

食べ物の好き嫌いと学習

食べ物の好き嫌いは、多くの保護者が直面する課題です。
しかし、この好き嫌いの多くは学習によって形成されることが多いです。

ここでは、食べ物の好き嫌いがどのように学習されるのか、食の安全、嫌悪感の回避、食嗜好の形成プロセス、連想による学習などの観点から詳しく解説します。

好き嫌いは学習の結果

幼児が特定の食べ物を好むか嫌うかは、さまざまな経験と学習の結果です。
食べ物に対する反応は、遺伝的な要因だけでなく、環境や経験によって大きく影響されます。

体験と繰り返し

幼児は新しい食べ物に対して初めは警戒心を抱くことが多いですが、繰り返し食べることで徐々に慣れていきます。
この過程は「味覚の習慣化」と呼ばれ、新しい食べ物を受け入れるためには平均して10回から15回の繰り返しが必要とされています。

ポジティブな経験

食べ物に対するポジティブな経験も好き嫌いの形成に重要です。
例えば、楽しい食事の時間や家族と一緒に食べる経験は、食べ物に対する好意的な感情を育むのに役立ちます。

食の安全に関する学習

幼児は食べ物が安全かどうかを学習する過程で、好き嫌いを形成します。
これには、親や周囲の大人の影響が大きく関与します。

モデルの役割

子どもは大人の行動を観察して学ぶため、親が食べ物を楽しんでいる姿を見せることが重要です。
親が特定の食べ物を避けると、子どももそれを真似して避ける可能性があります。

安全と安心感

幼児は新しい食べ物を食べる際に安全であると感じることが必要です。
食べ物が清潔であること、見た目や匂いが良いこと、そして大人がそれを楽しんで食べていることが、幼児に安心感を与えます。

嫌悪感を避けるための学習

幼児が特定の食べ物を嫌う理由には、過去の嫌な経験が関係しています。
これを理解することで、食べ物に対する嫌悪感を減らす方法を見つけられます。

嫌悪学習

嫌悪学習とは、食べ物と嫌な経験が結びつくことで、その食べ物を避けるようになることです。
例えば、特定の食べ物を食べて体調を崩した経験があると、その食べ物に対して嫌悪感を抱くようになります。

嫌悪感の克服

嫌悪感を克服するためには、ポジティブな食事体験を積むことが重要です。
小さな一口から始めて、少しずつ量を増やすことで、徐々に嫌悪感を減らせます。

食嗜好の形成プロセス

食嗜好は一朝一夕に形成されるものではなく、時間をかけて徐々に形成されていきます。
このプロセスを理解することで、より効果的な食育が可能になります。

幼児期の影響

幼児期は食嗜好の形成において非常に重要な時期です。
この時期にさまざまな味を経験することで、将来的な食の多様性を広げられます。

家庭環境の影響

家庭環境も食嗜好の形成に大きな影響を与えます。
家庭で提供される食事の種類や質、食事の時間の過ごし方が、幼児の食嗜好を形作ります。

連想による学習とその影響

連想学習とは、特定の食べ物と他の経験や感情が結びつくことで、その食べ物に対する感情が形成されることです。
このプロセスも食嗜好に大きな影響を与えます。

ポジティブな連想

ポジティブな連想を作ることで、特定の食べ物に対する好意的な感情を育めます。
例えば、お祝いの場で提供される特定の料理は、楽しい記憶と結びつき、その料理に対する好意を育てます。

ネガティブな連想

逆に、ネガティブな連想はその食べ物に対する嫌悪感を強めることがあります。
例えば、ストレスの多い食事の時間や、不快な出来事と結びついた食べ物は、その食べ物に対する嫌悪感を強める可能性があります。

食べ物の好き嫌いは、幼児期に形成されることが多く、その多くは学習の結果です。
好き嫌いを克服するためには、多様な食材を提供し、繰り返し食べる機会を設け、ポジティブな食事体験を積むことが重要です。

親や周囲の大人の行動が幼児の食嗜好に大きな影響を与えるため、家庭での食事環境を整え、楽しい食事の時間を提供することが求められます。
こうした取り組みを通じて、幼児は多様な味覚を経験し、健康的な食生活を送る基礎を築くことができるのです。

幼児期から食育を行うべき理由

味覚が決まるのは3歳?幼児期から食育をすべき理由

人間の味覚は3歳までの食事の経験に大きく左右されます。それは、子どもの味覚はとても敏感で、大人になるにつれて鈍化していくからです。味覚がより敏感なうちにさまざまな味について学ぶことは、好き嫌いをせずに食べる習慣を身につけるために必要不可欠なことです。 家族や仲間との食事の場は、子どもの心を豊かにしたり、基本的なマナーを身に付けたりするための貴重な機会にもなります。食育には幅広い意味があり、子どもの健やかな成長を後押しする重要な役割を担っています。

味覚の仕組み

味覚の仕組み

人間は味覚でさまざまな味を感じ、それをもとにいろいろな判断を下しています。まずは、人間の味覚の仕組みについて理解しましょう。

味覚の種類

味には、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の5つがあると言われています。これらの味は、舌の「味覚」によって感知され、身体はそれによって食べ物の種類を判断しています。甘味はエネルギー源となる糖分、塩味は体内のバランスを整えるミネラル、酸味は食べ物が腐敗している可能性、苦味は毒、うま味は身体を作るために必要なタンパク質の存在を示す信号です。味覚はこのように、口に入った食べ物の性質を瞬時に識別することができるため、生きていくために必要なもの選ぶ重要な能力であるとも言えます。

「味蕾」の役割と発達

人間の舌の表面はブツブツしていますが、その1つ1つが味覚を感じ取るための器官です。これは、「味蕾(みらい)」と呼ばれています。すべての味蕾は、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味のすべてを感じ取ることができます。脳が味を認識できるのは、味蕾が味を感知すると神経が刺激されて脳に信号が送られるからです。 生まれたばかりの子どもの舌には味蕾が1万個あり、生後3ヶ月頃まで増え続けます。このときが人生のなかでもっとも味覚が敏感な時期です。そして、生後5ヶ月には味覚の鈍化がはじまります。とはいえ、大人に比べれば、味覚はまだまだ敏感な状態です。味蕾は刺激物を食べたり、喫煙をしたりすると摩耗しやすくなります。成人男性になると味蕾は7000個、高齢男性では3000個になります。

幼児の味覚の幅を広げるポイント

味覚がより優れている小さいうちに、味に関するさまざまな経験をさせてあげましょう。そうすることで、子どもの味覚の幅が広がります。

さまざまな素材の味を経験させる

さまざまな食材を使い、いろいろな食べ物の味を経験させましょう。調味料で味を変えることよりも、素材そのものの味を感じられる食事を用意してください。味付けは基本的に和風で、だしの風味を生かした調理がおすすめです。ただし、煮込みうどんや寄せ鍋のように、いろいろな食材が混ざっている料理は、それぞれの素材の味がわかりにくくなるため、毎食続けて食べさせることは避けましょう。 とくに、ケチャップやソース、マヨネーズなどは使わないようにしてください。これらの調味料は味が濃いため、素材本来の味を隠してしまいます。味覚が敏感なうちから味が濃い食べ物に慣れてしまうと、大人になるにつれて、より味の濃い食べ物を好むようになってしまう可能性があります。

繰り返し食べて嗜好を定着させる

砂糖や油は病みつきになりやすい味だと言われています。そのため、大人のなかにもそれらを過剰に摂取する人も多いのが現状です。子どもが砂糖や油を必要以上に摂取しないようにするためには、砂糖や油が「病みつき」の状態になる前に、和風のだしのうま味を覚えさせることが重要です。実は、砂糖や油と同様、このうま味も繰り返し摂取することで人間の舌にとって「病みつき」になる作用があります。現代では、かつおだしなど和風のだしのおいしさに触れる機会が少なくなっていますが、天然の素材からとっただしを利用した料理を食べるのは、とくに子どもにとっては大きな価値があることです。

食事を楽しめる環境をつくる

子どもに、身体にいい食習慣を身に付けさせるためには、「食事は楽しい」という気持ちを強くもたせることに重きを置きましょう。家族で食卓を囲み、親や兄弟と食べ物のおいしさについて共感し合いながら食事をすることは、子どもの食に対する興味を育てます。また、子どもは3歳までに食べ物に対する基本的な考え方や味の好みが決まると言われていますから、この時期に家族でしっかり子どもと食べ物の関係を見守り、好き嫌いをせずに食事をすることの大切さを教えることが大切です。 さらに、それぞれの食べ物に関しても、子どもが感じる食べにくさを取り除き、口に運びやすくなる工夫をすることも重要です。たとえば、固い素材は火を通して柔らかくしたり、繊維の多い野菜はそれを取り除いたりするなど、子どもが違和感なく食材を食べられるようにしてあげましょう。子ども口の大きさに合わせて小さくカットしたり、とろみをつけたりするのもおすすめです。

食べ物の好き嫌いを決めるのは「学習」

子どもの食べ物の好き嫌いは、味の「学習」によって決まります。たとえば、大人の場合も、初めて食べた食べ物を最初のうちは「嫌いだ」と感じていても、まわりの人がおいしそうに食べている姿を見たり、何度か食べたりしているうちに、「おいしい」と感じるようになることがありますよね。味の「学習」とはこのことを言います。 つまり、子どもの「好き嫌い」も状況によって変化する可能性があるということです。子どもが嫌いな食べ物が多い場合は、食べ物の食べ方を工夫することで、徐々に好きになる可能性もあります。味の「学習」には、次の種類があります。

安全学習

「安全学習」とは、自分にとってはじめての食材を食べて「おいしい」と感じることです。食べたことがないものを食べる際は不安や恐怖が伴います。しかし、少しずつ試しながら食べることで、いろいろな食べ物のおい しさを知ることができ、味覚を広げることが可能になります。

嫌悪学習

「嫌悪学習」とは、ある食べ物を食べた直後に身体の調子が悪くなった場合などに、その食べ物の味を不快な味として記憶することです。たとえば、それまで好きだった食べ物でも、食あたりや食中毒によって嫌悪学習することで、その食べ物が嫌いになってしまうこともあります。

嗜好学習

「嗜好学習」とは、「嫌悪学習」の逆で、ある食べ物を食べたあとに身体の調子がよくなった場合、その食べ物をおいしいものとして記憶することです。たとえば、風邪や体調不良で寝込んでいるときに何か食べ物を食べ、そのあと急激に体調がよくなるという経験をすると、嗜好学習によりその食べ物に好感をもちやすくなります。

連想学習

「連想学習」とは、自分自身の記憶と結びつくことによって、ある食べ物を好きまたは嫌いだと感じるようになることです。たとえば、家族で楽しいひとときを過ごしながら食べた物をとても好きだと感じたり、反対に、親に強く怒られて落ち込んだ気持ちで食べたものが嫌いになったりすることです。

幼児期からの食育で子どもの味覚の幅を広げよう

幼児期からの食育で子どもの味覚の幅を広げよう

味覚は、食べ物を食べはじめるころから形成されます。ほとんど大人と同じメニューを食べられるようになる3歳頃には、その子どもの味覚はほとんど出来上がってしまいます。そのため、小さいうちから子どもの味覚には気を使い、食材や味つけにはこだわりをもつことが重要です。
子どもが食べ物を好きになるかどうかのポイントは、味が好きか、おいしいかということだけではありません。家族や仲間と楽しく食事をする経験をたくさん積むことも、子どもの味覚を発達させるための大きなカギとなります。

まとめ

幼児期の食育は、子どもたちの将来的な健康と生活の質を向上させるために不可欠です。
この時期に規則正しい食習慣と多様な味覚経験を提供することで、子どもたちは食への興味を深め、偏食や栄養不足を防げます。

また、親子で料理を楽しんだり、楽しい食事環境を整えたりすることで、ポジティブな食事体験を重ねることが重要です。
幼児期の味覚教育を通じて、子どもたちは健康で豊かな食生活を送り、将来的な生活習慣病の予防にも繋がります。

通信講座のSARAスクール編集部
心理カウンセラー資格やリンパケアセラピスト等の体系資格、食育資格などを扱うSARAスクール編集部が運営するコラムです。主に女性向けのキャリアアップやスキル習得を目的とした講座が多く、家事や育児と両立しながら学べる環境が整っています。資格取得を目的とした講座も充実しており、仕事や日常生活に活かすことが可能です。
通信講座のSARAスクール編集部