石鹸の種類とは?原料や製法や成分、洗剤との違い!
記事更新日:2024年9月24日石鹸は、日常生活に欠かせない洗浄剤の一つですが、その種類や製法は多岐にわたります。
一般的な石鹸は、植物油や動物脂肪を主成分とし、アルカリと反応させることで作られます。
これに対し、洗剤は合成化学物質を使用し、より強力な洗浄力を持つことが多いです。
石鹸は肌に優しい成分が多く、敏感肌の方にも適していますが、洗剤は強い汚れを落とすのに適しています。
石鹸にはさまざまな種類があります。たくさんの種類があるのは、石鹸の原料や製法にさまざまな種類があるためです。石鹸の種類によっては、性質は大きく異なることがあります。石鹸をより深く理解するためには、石鹸の原料や製法の違いについてしっかり理解しておいたほうがよいでしょう。
今回は石鹸の種類について、原料や製法の違いを説明しながら紹介します。それぞれの石鹸の詳しい違いを押さえて、石鹸の種類や性質の特徴をきちんと理解できるようにしましょう。
目次
石鹸の種類とは?
石鹸の種類とは?以下の通りです。 ・石鹸とせっけんの違い ・天然石鹸と合成石鹸の違い ・固形石鹸、液体石鹸の違い こちらを順にご紹介します。
石鹸とせっけんの違い
石鹸の種類には、主に「固形石鹸」と「液体石鹸」があります。 固形石鹸は、主に植物油や動物脂肪を原料にし、アルカリと反応させて作られます。 液体石鹸は、同様の原料を使用しますが、製法が異なり、より滑らかなテクスチャーが特徴です。 「石鹸」と「せっけん」の違いは、主に表記の違いにあります。 「石鹸」は一般的に漢字で表記されることが多く、特に化粧品や高級品に使われることが多いです。 一方、「せっけん」はひらがなで書かれ、親しみやすさを強調する際に用いられます。 どちらも同じものを指しますが、書き方によってイメージが異なることがあるでしょう。 石鹸は、肌に優しい成分が含まれており、敏感肌の方にも適していますが、洗剤とは異なり、天然成分を使用しているため、環境への配慮もされています。 選び方によって、使用感や効果が変わるため、用途に応じた選択が重要です。
天然石鹸と合成石鹸の違い
石鹸の種類には「天然石鹸」と「合成石鹸」があります。 天然石鹸は、植物油や動物脂肪を原料にし、アルカリと反応させて作られ、これにより自然由来の成分が豊富で、肌に優しい特性を持っています。 一般的には、敏感肌やアトピー肌の方にも適しており、保湿効果が高いものが多いです。 一方、合成石鹸は、合成洗剤を使用して作られ、強力な洗浄力を持っています。 原料は化学的に合成された成分が多く、泡立ちが良く、手軽に汚れを落とすことができますが、肌に刺激を与えることもあるでしょう。 このように、天然石鹸と合成石鹸は成分や製法に大きな違いがあります。 肌への優しさや環境への配慮を重視するなら天然石鹸、強力な洗浄力を求めるなら合成石鹸を選ぶと良いでしょう。 それぞれの特性を理解し、用途に応じた選択が重要です。
固形石鹸、液体石鹸の違い
石鹸の種類には「固形石鹸」と「液体石鹸」がありますが、両者にはいくつかの違いがあります。 固形石鹸は、主に植物油や動物脂肪を原料とし、アルカリと反応させて作られます。 通常は、手で使う際に泡立てやすく、長持ちするのが特徴です。 固形のため、持ち運びや保存が簡単で、環境にも優しい点が魅力です。 液体石鹸は、同様の原料を基にしているものの、水分を多く含み、クリーミーなテクスチャーを持っています。 また、使う量を調整しやすく、衛生的に使用できるメリットがあります。 それぞれの特性を理解し、用途や好みに応じて選ぶことで、より快適な洗浄体験を得ることができるでしょう。 固形石鹸は持ち運びやすく、液体石鹸は使い勝手が良いといった違いがあります。
石鹸の原料について
石鹸の原料については以下の通りです。 ・主な油脂の種類と特徴 ・界面活性剤の役割 ・添加物とその影響 こちらを順にご紹介します。
主な油脂の種類と特徴
石鹸の原料となる油脂には、主に以下の種類があります。 それぞれの特徴を理解することで、石鹸選びに役立ちます。 ・オリーブオイル 肌に優しく、保湿効果が高い。抗酸化作用もあり、敏感肌の方におすすめです。 ・ココナッツオイル 泡立ちが良く、洗浄力が強いのが特徴。 さっぱりとした使い心地で、脂性肌に適していますが、乾燥しやすいので注意が必要です。 ・パームオイル コクのある泡立ちとクリーミーなテクスチャーが特徴。 持続性があり、硬さも増すため、固形石鹸によく使用されます。 ・ひまわり油 ビタミンEが豊富で、保湿効果がある。 軽い質感で、敏感肌にも適しています。 ・アーモンドオイル 保湿力が高く、肌に栄養を与える。 乾燥肌や敏感肌の方に特におすすめです。 これらの油脂は、石鹸の特性や使用感に大きな影響を与えます。 自分の肌質や好みに合わせて選ぶことが重要です。
界面活性剤の役割
石鹸の原料である界面活性剤は、洗浄力を高める重要な成分です。 界面活性剤は、油と水の間に働きかけることで、汚れや油分を効果的に除去します。 具体的には、界面活性剤は分子の一端が水に親和性を持ち、もう一端が油に親和性を持っています。 この特性により、油分や汚れを包み込み、水と一緒に洗い流すことが可能になり、その結果、肌や衣類の汚れがスムーズに落ちるのです。 石鹸に含まれる界面活性剤は、天然の脂肪酸とアルカリ反応によって生成されるため、比較的肌に優しい特性を持っています。 合成石鹸の場合は、合成界面活性剤が使用されることがありますが、これらは強力な洗浄力を発揮する反面、肌に刺激を与えることもあります。 このため、石鹸選びでは、含まれる界面活性剤の種類やその効果を理解し、自分の肌質に合った製品を選ぶことが大切です。
添加物とその影響
石鹸には、品質や使用感を向上させるためにいくつかの添加物が使用されることがあります。 これらの添加物は、石鹸の特性を変えたり、使用時の快適さを向上させたりする役割を果たします。 ・香料 石鹸に香りを与えるために使用されます。 リラックス効果や清潔感を感じさせるため、人気がありますが、敏感肌の方には刺激を与えることがあるため注意が必要です。 ・着色料 見た目を美しくするために添加されることがあります。 天然由来のものもありますが、合成着色料は肌に刺激を与える可能性があるため、選ぶ際には成分表示を確認することが重要です。 ・保湿成分 グリセリンやヒアルロン酸など、保湿効果を高める成分が添加されることがあります。 これにより、洗浄後の肌の乾燥を防ぎ、しっとりとした感触を保つことができます。 ・防腐剤 石鹸の保存性を向上させるために使用されますが、合成の防腐剤は敏感肌に刺激を与えることがあるため、注意が必要です。 これらの添加物が石鹸に与える影響を理解し、自分の肌に合った製品を選ぶことが大切です。
石鹸の製法
石鹸の製法は以下の通りです。 ・冷製法と温製法の違い ・手作り石鹸の製造過程 ・工業的な石鹸製造の方法 こちらを順にご紹介します。
冷製法と温製法の違い
石鹸の製法には「冷製法」と「温製法」の2つがありますが、これらは製造過程や特性において異なります。 ・冷製法 冷製法では、主に室温で進行する化学反応を利用します。 植物油や動物脂肪と水酸化ナトリウムを混ぜ、攪拌しながら反応させます。 反応温度が低いため、熱による成分の変質が少なく、自然な香りや色を保つことができるでしょう。 最終的に、石鹸が硬化するまで数週間かかります。 この方法は、しっとりとした使用感の石鹸が得られ、保湿成分が豊富です。 ・温製法 一方、温製法では、反応を促進するために高温で処理します。 原料を加熱しながら化学反応を進めるため、製造過程が短縮され、早く石鹸を完成させることができます。 この方法では、強力な洗浄力を持つ石鹸が得られることが多いですが、熱によって成分が変質する可能性があるでしょう。 このように、冷製法は品質を重視し、温製法は効率を重視する製法です。 選ぶ際は、目的や肌質に応じて適切な製法を考慮することが重要です。
手作り石鹸の製造過程
手作り石鹸の製造過程は、主に以下のステップで進められます。 ・材料の準備 まず、必要な材料を揃えます。 主な原料は植物油や動物脂肪、水酸化ナトリウム、水、そして香料や色素、保湿成分などの添加物です。 ・苛性ソーダの溶解 水に苛性ソーダを慎重に加え、完全に溶解させます。 この際、発熱するため、十分な換気と注意が必要です。 ・油脂の加熱 別の容器で植物油や動物脂肪を加熱し、適切な温度にします。 一般的には、油脂と苛性ソーダの温度を同じくらいにすることが重要です。 ・混合 油脂が適温になったら、苛性ソーダの溶液を少しずつ加え、泡立て器やハンドブレンダーで混ぜます。 この過程で、乳化が始まり、トレースと呼ばれる状態になります。 ・型入れと冷却 混合物がトレース状態になったら、型に流し込み、冷却させます。 通常、24時間程度で固まります。 ・熟成 型から外した後、石鹸を数週間熟成させ、水分を飛ばし、pHを安定させます。 この工程を経て、使用可能な手作り石鹸が完成します。 これらのステップを通じて、オリジナルの石鹸を楽しむことができます。
工業的な石鹸製造の方法
工業的な石鹸製造は、主に「鹸化反応」を利用して行われます。 まず、植物油や動物脂肪を加熱し、ナトリウム水酸化物を加え、この反応により脂肪酸とグリセリンが生成され石鹸が形成されるでしょう。 反応後、生成物を冷却し、石鹸とグリセリンを分離します。 次に、石鹸を型に流し込み、冷やして固めます。その後、固まった石鹸を切断し、成形します。 最後に、香料や着色料を追加し、包装して販売し、この方法により大量の石鹸を効率的に生産でき、品質も安定するでしょう。 工業的な製造プロセスは、家庭用の手作り石鹸とは異なり、機械化された工程が特徴です。
石鹸の成分とその効果
石鹸の成分とその効果は以下の通りです。 ・脂肪酸の役割と性質 ・アミンとグリセリンの効果 ・無添加石鹸のメリット こちらを順にご紹介します。
脂肪酸の役割と性質
石鹸の主成分である脂肪酸は、石鹸の洗浄効果に重要な役割を果たします。 脂肪酸は、長い炭素鎖を持つ有機化合物で、親水性と疎水性を兼ね備えています。 この特性により、油脂や汚れを水で洗い流すことができるでしょう。 石鹸が水中に入ると、脂肪酸は水分子と結びつき、疎水性の部分が汚れや油に引き寄せられます。 この結果、汚れが包み込まれ、洗い流されやすくなるでしょう。 さらに、脂肪酸には抗菌効果があり、皮膚の表面に存在する有害なバイ菌を減少させる役割もあります。 また、脂肪酸の種類によって石鹸の特性が変わります。 例えば、オリーブオイル由来のオレイン酸は保湿効果が高く、ココナッツオイル由来のラウリン酸は泡立ちが良いです。 このように、脂肪酸の性質は石鹸の効果に大きく影響します。
アミンとグリセリンの効果
石鹸の成分には、アミンとグリセリンも含まれています。 それぞれに特有の効果があるでしょう。 アミンは、主に石鹸の泡立ちや洗浄力を向上させる役割を担います。 アミンの親水性と疎水性の性質により、水と油を結びつけ、汚れを効果的に除去します。 また、アミンは抗菌作用を持つものもあり、皮膚の健康を保つ助けになるでしょう。 グリセリンは、石鹸製造中に生成される副産物で、非常に重要な保湿成分です。 グリセリンは水分を吸収し、皮膚に潤いを与えるため、乾燥を防ぎます。 この保湿効果により、石鹸を使用した後も肌がしっとりと保たれ、敏感肌の人にも優しい特性があるでしょう。 これらの成分が組み合わさることで、石鹸は洗浄だけでなく、肌を守り、潤す効果も発揮します。 アミンとグリセリンが協力することで、より高品質な石鹸が実現します。
無添加石鹸のメリット
無添加石鹸は、化学合成物質や添加物を一切使用せず、自然由来の成分だけで作られています。これにはいくつかのメリットがあります。 まず、肌に優しいことが挙げられます。 合成保存料や香料、着色料が含まれていないため、敏感肌やアレルギー体質の人でも安心して使用できるでしょう。 また、無添加石鹸は自然な成分が主成分なので、皮膚のバリア機能を損なうことなく、潤いを保つ効果があります。 次に、環境への配慮も大きな魅力です。 無添加石鹸は生分解性が高く、環境に優しい成分から作られているため、使用後の影響を最小限に抑えられます。 さらに、無添加石鹸は香りや色がナチュラルで、自然な風合いが楽しめます。 これにより、製品を使う際の満足感が高まるでしょう。 これらの理由から、無添加石鹸は健康志向の人々に特に人気があります。
洗剤との違い
洗剤との違いは以下の通りです。 ・合成洗剤の成分と特性 ・石鹸と洗剤の洗浄能力の比較 ・環境への影響の違い こちらを順にご紹介します。
合成洗剤の成分と特性
洗剤と石鹸には明確な違いがあります。 特に、合成洗剤は工業的に製造され、主に石油由来の化学成分を使用しています。 合成洗剤の主な成分には、界面活性剤、酵素、漂白剤、香料などがあるでしょう。 界面活性剤は、油脂や汚れを水に溶けやすくする役割を果たし、これにより強力な洗浄力を発揮し、頑固な汚れも簡単に落とせます。 また、合成洗剤は泡立ちが良く、少量で効果を発揮するため、経済的です。 一方で、合成洗剤は環境への影響が懸念されることがあります。 合成成分が水質汚染を引き起こす可能性があり、特に自然環境に優しい選択を求める人々からは批判されることがあるでしょう。 さらに、合成洗剤は香料や着色料を含むことが多く、これが肌に刺激を与えることもあります。 一方、石鹸は自然由来の成分から作られ、肌に優しい特性があります。 このように、洗剤と石鹸は成分や特性が大きく異なるでしょう。
石鹸と洗剤の洗浄能力の比較
石鹸と洗剤は、どちらも洗浄に使われますが、その洗浄能力には違いがあるでしょう。 石鹸は、自然由来の脂肪酸から作られ、主に油脂や汚れを水と結びつけて洗い流す役割を果たします。 石鹸は、比較的優しい洗浄力を持ち、肌への刺激が少ないため、敏感肌の人に適しています。 しかし、軟水では効果的ですが、硬水中では石鹸がミネラルと反応し、効果が低下することがあるでしょう。 一方、合成洗剤は、界面活性剤を主成分とし、より強力な洗浄力を発揮します。 合成洗剤は、頑固な油脂や汚れを効果的に落とすことができ、泡立ちも良いため、短時間で洗浄できます。 また、硬水でも効果的に働くため、幅広い環境で使用できる点が強みです。 ただし、合成洗剤は化学成分を含むため、肌に刺激を与えることがあるため、使用時には注意が必要です。 このように、石鹸と洗剤は洗浄能力や使用感において異なる特性を持っています。
環境への影響の違い
石鹸と洗剤は、環境への影響においても大きな違いがあります。 石鹸は自然由来の成分から作られており、生分解性が高いため、環境に優しいとされています。 使用後に水に流されても、微生物によって分解されやすく、土壌や水質への負荷が少ないです。 また、石鹸は化学薬品を含まないため、自然環境に対する悪影響が少なく、持続可能な選択肢とされています。 一方、合成洗剤は石油由来の化学成分を多く含み、分解に時間がかかることがあり、これにより水質汚染の原因となる可能性があり、特に河川や海洋生態系に悪影響を与えることが懸念されています。 また、一部の成分は毒性があり、水生生物に対して有害である場合もあるでしょう。 このように、石鹸は環境に優しい特性を持つ一方で、合成洗剤はその成分によって環境負荷が高くなる可能性があるため、使用時には注意が必要です。 選択によって、環境への影響を大きく変えることができます。
石鹸の種類
石鹸にはそもそもどのような種類があるのでしょうか。石鹸と一口にいっても、実はさまざまな種類があります。種類は分け方によってもいろいろあるので、ここでは用途別と形状別に分けて石鹸の種類について説明します。
用途別
石鹸は用途に合わせて作られているものも多いです。用途に合わせて石鹸を選ぶことにより、それに適した使い心地を得られます。まずは用途別に石鹸の種類についてみてみましょう。
化粧石鹸
化粧石鹸とは、体を洗うための石鹸のことです。顔を洗う石鹸は、体を洗うための石鹸とは分けられていることもあります。メーカーによってもさまざまなバリエーションが用意されており、好みに合わせて選ぶことができる石鹸です。
薬用石鹸
薬用石鹸とは殺菌や消毒のために使う石鹸です。食器や布巾などを殺菌または消毒するために使うことを想定したものです。菌に強い成分が配合されています。ただし、薬用石鹸は基本的に医薬部外品として扱われています。なお、薬用石鹸の中には体に使うことを想定して作られているものもあります。
洗濯用石鹸
洗濯用石鹸は、水質汚染や衣服の褐色などを避けつつものを洗えるように工夫されている石鹸です。水温によって洗浄力が変化し、水温が上がるほどに洗浄力は高くなります。
形状別
石鹸は形状にもいろいろな種類があります。普段何気なく使用している石鹸も、実はそれぞれ種類が異なるものです。形状によって、石鹸の性質や特徴にもちょっとした違いがあります。ここでは、形状別に石鹸の種類を見てみましょう。
固形石鹸
固形石鹸は、手の平に収まる程度のサイズに成形された石鹸です。ただし、用途によっては大きいサイズの固形石鹸も作られています。乾燥すると割れやすいという特徴があります。
紙石鹸
紙石鹸とは、固形石鹸を薄く削いだ石鹸のことです。手洗いの際に1回使用することを想定して作られており、携帯用として使われます。特に小さい女の子向けに作られたもので、昔は駄菓子屋などで売られていました。
液体石鹸
液体石鹸は常温でも柔らかくなる石鹸に水を加えたものです。手洗い用やボディソープなどさまざまなタイプがあります。洗浄効果が高いため、体を清潔に保つことができます。固形石鹸に比べると割高です。
原料の違いによる種類
石鹸は原料にも種類があり、それぞれ違った特徴を備えています。石鹸の性質は原料によっても大きく異なるので、ぞれぞれの特徴をしっかり押さえておくとよいでしょう。ここでは、石鹸の原料による違いについて説明します。
油脂の違い
石鹸を作るときに使われる油脂には、たくさんの種類があります。動物性のものもあれば、植物性のものもあります。ここでは、石鹸に使用される代表的な油脂についていくつか紹介します。
牛脂
まず、石鹸に使用される動物性の油脂としては、牛脂があげられます。牛脂はきめ細やかな泡が立つのが大きな特徴です。動物性だけあって人間の皮脂にも馴染みやすく、洗い上がりもよいです。その分、刺激も少ないので、肌が弱い人でも安心して使用できます。
ヤシ油
さらに、石鹸に使われる油脂としては、ヤシ油があります。ヤシ油は泡立ちがよいことと、洗浄力が高いことを大きな特徴としてあげられます。石鹸としての高い効果をもっています。ただし、乾燥しやすかったり、刺激が強かったりといった弱点もあります。
オリーブ油
オリーブ油は肌に優しく、うるおいを与える成分も多く含まれています。その反面、しっかりとした洗浄力を期待できるのがポイントです。ただし、泡立ちはそれほどないため、物足りなさを感じる人もいるかもしれません。とはいえ、比較的手に入れやすい植物油でもあるので、石鹸作りに取り入れやすいといえるでしょう。
脂肪酸の違い
石鹸を作るときは、脂肪酸を直接反応させる中和法を用いることもあります。その場合、脂肪酸の種類によってでき亜がある石鹸にも性質に大きな違いが出ます。ここでは、代表的な脂肪酸についてもいくつか押さえておきましょう。
ミリスチン酸
ミリスチン酸は冷たい水にも溶ける性質をもっています。ヤシやパーム核などが原料となっており、泡はやや粗くて大きいのが特徴的です。
パルミチン酸
パルミチン酸は水に溶けにくい性質をもった脂肪酸です。原料はパームや牛脂で泡もやや大きめで、泡は長く持続しやすいです。
石鹸の製法
石鹸は製法にもさまざまな種類があります。製法によっても石鹸の性質は異なるので、製法の違いもしっかり押さえておいたほうがよいでしょう。製法によっては、石鹸を自宅で手作りすることも可能です。石鹸の製法としてはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、石鹸の製法の違について説明するので、ひととおり確認しておきましょう。
機械練り石鹸
機械練り石鹸とは、中和法によって作られた石鹸のことを表しています。分解した油脂を使い、脂肪酸のみをアルカリと反応させて石鹸を作ります。油脂ではなく脂肪酸を原料とするため、工程の手間を省くことができます。ただし、中和法で作られた石鹸は環境による変質が起きることもあります。
枠練り石鹸
枠練り石鹸の製法としては、大きく分けて鹸化法と冷製法の2種類があります。鹸化法はさらに鹸化塩析法や焚き込み法などがあります。鹸化塩析法はより純度の高い石鹸を作ることができる製法です。焚き込み法は比較的製法が簡単なため、家庭でも作ることができます。また、冷製法はコールドプロセスともよばれます。油脂に苛性ソーダを加えて、加熱せずに石鹸を仕上げる方法です。冷製法も家庭でおこなえますが、適度の油脂が残る場合があります。
石鹸にはたくさんの種類がある
石鹸とひとくくりにして呼ばれることが多いですが、実は石鹸にはたくさんの種類があります。原料や製法はそれぞれ異なるので、石鹸そのものの効果もまったく違う場合があります。そのため、石鹸を使用するときはその石鹸の特徴をよく理解しておくことが大切だといえるでしょう。石鹸の種類によっては、使用目的に合わない可能性もあるので注意が必要です。石鹸の違いをきちんと把握したうえで、用途に合った石鹸を使い分ける必要があります。
石鹸は原料や製法によっては自宅で手作りすることも可能です。自分で石鹸を作れば、原料や製法もよく理解できるので、実際に石鹸を使用するときも安心して使用できます。石鹸の中には刺激の強いものもあるので、肌に合わないものを使用すると荒れてしまう場合もあります。手作り石鹸であれば、自分との相性を考えながら作ることができるので、好みや用途に合わせた石鹸を自由に作ることが可能です。自分自身の体や用途に合わせて石鹸を選ぶようにし、石鹸による洗浄効果をきちんと発揮できるようにしましょう。
石鹸の原料
石鹸の原料としては、どのようなものが使われているのでしょうか。石鹸は手作りできることからも分かるように、石鹸の原料はかなりシンプルです。ここでは石鹸の原料について説明するので、ひととおりしっかり確認してみましょう。
天然油脂
石鹸は天然油脂を原料として作られています。もしくは脂肪酸とよばれる原料が使用されることもありますが、脂肪酸は天然油脂から作られているため、結局天然油脂が元の原料となっている点は同様です。天然油脂としてはさまざまな種類がありますが、そのなかでも石鹸作りに適している油脂は、牛脂、パーム、ココヤシなどです。これらの油脂を使用すれば、水にもある程度溶けやすく洗浄力が高いバランスのとれた石鹸を作ることができます。それに対して、仮に石鹸作りに適さない油脂を使ってしまうと、水になかなか溶けにくかったり、洗浄力があまりなかったりする石鹸になる恐れがあります。機能性の高い石鹸を作るためには、石鹸の材料の選び方がとても重要だといえるのです。
苛性ソーダや苛性カリ
石鹸作りでは、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)や苛性カリ(水酸化カリウム)とよばれる材料も必要です。これらを天然油脂と混ぜることにより、石鹸の泡立ちや洗浄力などを調整することができます。調合の仕方によって石鹸の使用感も大きく変わる可能性があるため、石鹸作りに適した苛性ソーダや苛性カリを選ぶようにしましょう。
合成洗剤の原料
石鹸は、天然油脂と苛性ソーダまたは苛性カリという2種類の材料を使って作ることが分かりました。では、石鹸と対極の存在ともいえる合成洗剤はどのようにして作られているのでしょうか。合成洗剤を作る際にも天然油脂が使用されることもあります。ただし、合成洗剤の原料としては、石油が使用される場合も少なくありません。原料となる油を使い、複雑な化学合成をおこなうことにより合成界面活性剤を作り出します。そのため、合成洗剤は家庭で簡単に手作りできるものではありません。複雑な化学合成がおこなわれるため、専門的な知識がなければ合成洗剤を作るのは難しいでしょう。合成洗剤はさまざまな用途に合わせて汚れを落としやすくすることを念頭に置き、さまざまな企業の専門的な設備によって作られています。
石鹸の成分
主に2種類の材料を使って作る石鹸には、どのような成分が含まれているのでしょうか。石鹸は材料を混ぜて作るシンプルなものであるため、成分も分かりやすくシンプルなものとなっています。そのため、石鹸の成分については、誰でもきちんと理解することが可能です。ここでは、石鹸の成分について基本的なところを説明します。
主成分
石鹸は、天然油脂の脂肪酸と、アルカリである苛性ソーダや苛性カリによってできてきます。これらは、石鹸素地ともよばれ、石鹸の基礎となっています。これだけでも石鹸として使用することができますが、石鹸素地以外にも成分が加えられることもあります。
添加物
実際に使用する石鹸では、石鹸素地に添加物を加えることが多いです。添加物と聞くと体に悪い成分にも思えますが、添加物といっても体にとってもよい効果をもたらす場合もあります。もちろん、完全無添加とよばれる石鹸であれば、ほとんど石鹸素地のみで構成されています。しかし、それ以外でも化学成分無添加であれば、自然由来の添加物を使用することで体に優しい洗い上がりを実現できるのです。化学成分が含まれていない石鹸であれば、添加物が含まれていても大きな問題はないでしょう。 石鹸の添加物としては、保湿成分が使われることが多くあります。たとえば、グリセリンや蜂蜜、植物性オイルなどが含まれることが多いです。また、薬用石鹸の場合は、殺菌成分や肌荒れ防止成分を配合することもあります。石鹸は種類によってさまざまな添加物が含まれており、選び方を工夫すれば肌によい成分をもつ石鹸を使用できます。
石鹸や他の洗剤の成分表示
では、石鹸や他の成分表示はどのような点が違うのでしょうか。石鹸と合成洗剤は原材料に大きな違いがあるとおり、成分にも大きな違いが見られます。また、石鹸といっても、成分をよく見てみると純石鹸以外であることも多いです。純石鹸であっても、石鹸には必ず界面活性剤が含まれています。何となく悪い印象をもつ方もいるかもしれませんが、どのような石鹸であっても界面活性剤は必ず入っています。界面活性剤は水と油の関係を作りだすものであり、石鹸で汚れを落とすには必要不可欠な成分です。ここではそのことを考慮したうえで、石鹸や他の洗剤の成分表示についてチェックしてみましょう。
石鹸
一般的には、単純に純石鹸だけで作られているものを石鹸とよびます。私たちが日常的に使用している石鹸は、場合によっては単純に石鹸とよべないものである可能性もあります。具体的には、純石鹸分以外の界面活性剤の含有割合が30%未満のものを複合石鹸といいます。
合成洗剤
純石けん分以外の界面活性剤の含有割合が30%以上になると、合成洗剤とよばれます。ただし、台所用の洗剤については、純石けん分以外の界面活性剤の含有割合が40%以上になる場合に、合成洗剤と呼ばれることになっています。
石鹸にはたくさんの成分が含まれている
石鹸の原料はとてもシンプルであり、成分も把握しやすくなっています。ただし、石鹸にはさまざまな添加物が使用されることもあり、石鹸の種類によっては異なる成分が含まれることもあります。添加物と聞くと危険なもののようにも思えますが、実際は体にとってプラスの作用をもつ場合も少なくありません。添加物だからといってすべてを悪く考えるのではなく、それぞれの成分がどのようなものなのかしっかり把握することが大切です。特に化学成分無添加の石鹸を選ぶようにすれば、添加物と聞いて不安になるような影響が及ぶことはほとんどないといえるでしょう。
石鹸は基本的に天然油脂と苛性ソーダまたは苛性カリがあれば、作ることができます。天然油脂は自分の好みや作りたい石鹸のタイプに合わせて選ぶことが可能です。もちろん、天然油脂の中には石鹸作りに向かないものもあるので、その点を考慮して石鹸作りに合うものを選ぶことも忘れない用意しましょう。手作り石鹸でもある程度の汚れはきちんと落とすことができます。そのため、自分で石鹸を手作りすれば、日常のさまざまなところで手作りの石鹸を活用することが可能です。石鹸は誰でも使うものなので、たくさん作って周囲の人にプレゼントするのも素敵でしょう。石鹸を手作りするなら他に蜂蜜や植物オイルをプラスするなどすると、よりオリジナルティのある石鹸になります。必要な材料を用意して、自分だけの石鹸作りを楽しんでみてはいかがでしょうか。
まとめ
石鹸には主に「固形石鹸」と「液体石鹸」があり、それぞれ植物油や動物脂肪を原料としています。 製法には「コールドプロセス」と「ホットプロセス」があり、冷却と加熱による違いがあるでしょう。 成分には、主成分の脂肪酸とアルカリに加え、香料や保湿成分が含まれます。 洗剤との違いは、石鹸が天然成分を使用し、肌に優しいのに対し、洗剤は合成化学物質を多く含み、強力な洗浄力を持つ点です。 また、石鹸は水に溶けやすく、生分解性が高いのも特徴です。 これらの違いを理解することで、目的に応じた選択が可能になります。
- 通信講座のSARAスクール編集部
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心理カウンセラー資格やリンパケアセラピスト等の体系資格、食育資格などを扱うSARAスクール編集部が運営するコラムです。主に女性向けのキャリアアップやスキル習得を目的とした講座が多く、家事や育児と両立しながら学べる環境が整っています。資格取得を目的とした講座も充実しており、仕事や日常生活に活かすことが可能です。