デッサンの意味とは?目的やメリットをわかりやすく解説
記事更新日:2024年10月29日絵を描くのが好きな方や美術を学びたい方にとって、「デッサン」という言葉は避けて通れません。しかし、デッサンの本当の意味や目的がわからず、なぜそれほど重要視されるのか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
「デッサン」については、どのようなイメージがあるでしょうか。デッサンといわれても、具体的なイメージをしっかりと持てている人はそう多くはないかもしれません。デッサンを始めるつもりなら、まずはデッサンの意味についてしっかりと理解しておいたほうがいいでしょう。
今回は、デッサンの意味について詳しく説明します。これからデッサンを始めたいと思っている人は、ぜひきちんとデッサンの意味について確認してみてください。
目次
デッサンとは何か?その定義と起源
デッサンという言葉を聞いて、どのようなイメージを持つでしょうか。多くの人は、鉛筆で静物や人物を精密に描いた絵を思い浮かべるかもしれません。しかし、デッサンの本来の意味はもっと広い概念を含んでいます。
デッサンの語源と定義
デッサン(dessin)はフランス語で「素描」や「下絵」「輪郭」を意味します。日本語では「素描(そびょう)」と訳されることもあります。一般的には、鉛筆や木炭などを使って、対象の形や明暗をモノトーンで表現する絵画技法を指します。 しかし、より広義には「絵を描く行為」全般を指す言葉でもあります。つまり、デッサンは単なる技法だけでなく、対象を観察し、理解し、表現するプロセス全体を包含する概念なのです。
デッサンの歴史と発展
デッサンの歴史は古く、人類が絵を描き始めた時代にまでさかのぼります。しかし、現代的な意味でのデッサンが重要視されるようになったのは、ルネサンス期のイタリアからです。 レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロなどの巨匠たちは、デッサンを通じて自然や人体の観察を深め、その知見を絵画や彫刻に活かしました。彼らにとってデッサンは、単なる下絵ではなく、世界を理解し表現するための重要な手段だったのです。 この考え方は後世に受け継がれ、19世紀にはフランスの美術アカデミーでデッサンが体系的に教えられるようになりました。日本でも明治時代以降、西洋美術の影響を受けてデッサン教育が導入されました。
デッサンを学ぶメリット
デッサンを学ぶことで、様々なメリットを得ることができます。ここでは、主なメリットについて詳しく見ていきましょう。
観察力の向上
デッサンの最も重要なメリットの一つは、観察力の向上です。デッサンを描く際、私たちは対象をじっくりと観察し、その形や陰影、質感を細かく分析します。これを繰り返すことで、日常生活でも物事をより詳細に、正確に捉える力が養われます。 例えば、街を歩いているときに建物の構造や木々の枝ぶりに注目したり、人々の表情や動きの細かな変化に気づいたりするようになります。この鋭い観察眼は、絵画制作だけでなく、デザインや写真、映像制作など、様々なクリエイティブな分野で役立ちます。
描写力の向上
デッサンを重ねることで、思い通りに線を引いたり、陰影を表現したりする技術が向上します。これは、ただ手先の器用さが増すということではありません。頭の中でイメージしたものを、的確に紙の上に再現する力が養われるのです。 この描写力は、絵画やイラストレーションだけでなく、建築やプロダクトデザインなど、アイデアを視覚化する必要がある様々な分野で重要になります。また、日常生活でも、何かを説明する際に簡単なスケッチを添えるなど、コミュニケーションツールとしても活用できます。
空間把握力の向上
デッサンでは、三次元の対象を二次元の紙の上に表現します。この過程で、空間を正確に把握し、それを平面上に再構築する能力が鍛えられます。 この空間把握力は、建築やインテリアデザイン、舞台美術など、空間を扱う仕事において特に重要です。また、日常生活でも、家具の配置を考えたり、旅行の荷物をスーツケースに効率よく詰めたりするなど、様々な場面で活かすことができます。
集中力と忍耐力の向上
良質なデッサンを描くためには、長時間にわたって対象を観察し、細部まで丁寧に描き込む必要があります。言わずもがな集中力と忍耐力を必要とする作業です。デッサンを続けることで、これらの能力が自然と鍛えられていきます。 集中力と忍耐力は、芸術活動だけでなく、学業や仕事など、あらゆる場面で役立ちます。困難な課題に粘り強く取り組む力や、長時間の作業を集中して行う能力は、現代社会で非常に重要なスキルです。
創造力の向上
一見すると、現実の対象をそのまま描写するデッサンは、創造力とは無関係に思えるかもしれません。しかし、実際はその逆です。デッサンを通じて培った観察力や描写力は、新しいものを生み出す際の重要な基礎となります。 例えば、ファンタジーの世界を描く際も、現実世界の観察に基づいた説得力のある表現ができるようになります。また、抽象的な概念を視覚化する際にも、デッサンで培った表現力が活きてきます。
デッサンを学ぶ目的とは?
では、なぜ私たちはデッサンを学ぶのでしょうか。その目的は人それぞれですが、主に以下のような理由が挙げられます。
美術系の学校への進学
多くの美術系の大学や専門学校では、入学試験でデッサンの課題が出題されます。これは、受験生の観察力や表現力を測るためです。デッサンは、対象を正確に捉え、紙の上に再現する能力を養うのに適しているからです。
デザイン・クリエイティブ系の仕事のため
グラフィックデザイナーやイラストレーター、アニメーターなど、視覚的な表現を扱う職業では、デッサン力が重要視されます。デッサンを通じて培った観察力や表現力は、様々なクリエイティブワークの基礎となります。
趣味としての絵画制作
趣味で絵を描く方においても、デッサンは重要な練習方法です。デッサンを通じて、物の形や陰影、質感を表現する技術を磨くことで、より豊かな表現が可能になります。また、デッサンの練習は、日常生活の中で美しさや面白さを発見する目を養うことにもつながります。さらに、デッサンを重ねることで、自分独自の表現スタイルを見つけ出すきっかけにもなるでしょう。趣味の領域を超えて、個展の開催や作品の販売など、新たな挑戦の可能性も広がります。
デッサンの基本的な描き方
デッサンの重要性や魅力がわかったところで、実際のデッサンの描き方について見ていきましょう。ここでは、基本的なプロセスを紹介します。
構図を決める
まず、紙のどこに対象を配置するかを決めます。これを構図と呼びます。構図は絵の印象を大きく左右する重要な要素です。対象の大きさや向き、周囲の余白などを考慮して、バランスの良い配置を考えましょう。
形の把握
次に、対象の全体的な形を大まかに捉えます。この段階では細部にこだわらず、大きな塊や主要な線を軽く描きます。この作業を通じて、対象の基本的な構造や比率を理解します。
明暗の設定
対象に当たる光の方向を決め、明るい部分と影の部分を区別します。この明暗の配置が、立体感を生み出す重要な要素となります。まずは大まかな明暗の分布を捉え、徐々に細かい変化を表現していきます。
細部の描写
基本的な形と明暗が決まったら、細部の描写に入ります。対象の質感や微妙な凹凸、陰影の変化などを丁寧に観察し、表現します。ただし、細部にこだわりすぎて全体のバランスを崩さないよう注意が必要です。
全体の調整
最後に、全体を見渡して調整します。明暗のコントラストや線の強弱、細部の描写の密度などを整え、統一感のある作品に仕上げます。
デッサンに必要な道具
デッサンを始めるにあたり、いくつかの基本的な道具が必要です。ここでは、主な道具とその選び方について説明します。
鉛筆
デッサンの基本的な道具です。硬さの異なる鉛筆を複数用意しましょう。一般的には、HB、2B、4B、6Bなどがよく使われます。硬い鉛筆(H系)は細い線や薄い陰影に、軟らかい鉛筆(B系)は濃い陰影や太い線に適しています。
消しゴム
消しゴムは単に間違いを消すだけでなく、ハイライトを表現するなど、表現の道具としても使います。普通の消しゴムの他に、練り消しゴムも用意すると便利です。
紙
デッサン用の専用紙を使うのが理想的ですが、初心者の練習なら普通のスケッチブックでも構いません。紙の種類によって鉛筆の描き味が変わるので、いくつか試してみるのもよいでしょう。
その他の道具
カッターナイフ(鉛筆を削るため)、パステル(柔らかい陰影を表現するため)、固定液(完成した作品を保護するため)なども、あると便利です。
デッサンの上達のコツ
デッサンは、技術を習得するだけでなく、自分なりの表現を見つけていく過程でもあります。ここでは、デッサンの上達に役立つコツをいくつか紹介します。
毎日描く習慣をつける
上達の近道は、とにかく描き続けることです。毎日少しずつでも描く習慣をつけましょう。身の回りの物を描いたり、スケッチブックを持ち歩いて外出先で描いたりするのもよいでしょう。
様々な対象を描く
同じ対象ばかり描いていては、偏った技術しか身につきません。静物、風景、人物など、様々な対象にチャレンジしましょう。それぞれの対象が持つ固有の特徴や難しさを経験することで、総合的な描写力が身につきます。
他の人の作品を参考にする
美術館や画集で、巨匠たちのデッサンを鑑賞しましょう。芸術家たちがどのように対象を捉え、表現しているかを観察し、自分の作品に活かします。また、同じ趣味を持つ仲間と作品を見せ合い、意見交換をするのも効果的です。
基礎理論を学ぶ
遠近法や明暗法、解剖学など、デッサンに関連する基礎理論を学びましょう。理論的な裏付けがあることで、より説得力のある表現ができるようになります。
自分の作品を客観的に見る
定期的に自分の過去の作品を見返し、上達の度合いを確認しましょう。また、作品を少し離れた場所から見たり、鏡に映して見たりすることで、新たな気づきが得られることがあります。
デッサンの応用と発展
デッサンの基本を習得したら、次はその技術をより発展させ、様々な分野に応用していく段階です。ここでは、デッサンの応用と発展について探っていきましょう。
イラストレーションへの応用
デッサンで培った観察力と描写力は、イラストレーションの制作に大いに役立ちます。現実の対象を正確に描く力は、想像上の世界や人物を描く際にも重要です。例えば、ファンタジーキャラクターを描く場合でも、人体の構造や動きの理解が基礎となります。 また、デッサンで学んだ光と影の表現は、イラストに立体感や奥行きを与える上で欠かせません。さらに、デッサンを通じて培った構図力は、魅力的なイラストレーションを生み出す上で重要な要素となります。
デジタルアートへの展開
近年、デジタルツールを使った作品制作が主流になっていますが、デッサン力の重要性は変わりません。むしろ、デジタルツールの特性を活かすためにも、基礎的なデッサン力が必要です。 例えば、デジタル彫刻ソフトを使って3Dモデルを作成する際も、対象の立体構造を理解する力が求められます。また、デジタルペイントの際も、アナログで培った色彩感覚や筆致の表現力が作品の質を大きく左右します。
建築・プロダクトデザインへの活用
デッサンの技術は、建築やプロダクトデザインの分野でも重要です。アイデアをすばやくスケッチとして表現する力は、デザインプロセスを円滑に進める上で欠かせません。また、デッサンで培った空間把握力は、立体物のデザインにおいて大きな強みとなります。 例えば、建築デザインでは、平面図や立面図だけでなく、パースペクティブ(遠近法を用いた図)を描くことがあります。これは、デッサンで学んだ遠近法や空間表現の技術が直接活かされる例です。
アニメーション制作への貢献
アニメーション制作においても、デッサン力は重要な役割を果たします。キャラクターデザインや背景美術はもちろん、動きのある絵を連続して描く際にも、デッサンで培った観察力と描写力が基礎となります。 特に、キーフレームアニメーションでは、キャラクターの動きの要となるポーズを的確に描く必要があります。これには、人体の構造や動きの理解、瞬間的な姿勢を捉える力が求められ、デッサンの練習で培った技術が大いに役立ちます。
独学でもデッサンは学べる?
デッサンを学びたいと思っても、時間や金銭的な制約から美術教室に通うことが難しい方もいるでしょう。しかし、心配する必要はありません。デッサンは独学でも十分に学ぶことができます。ここでは、独学でデッサンを学ぶ方法とそのメリット、注意点について詳しく見ていきましょう。
独学で学ぶメリット
独学でデッサンを学ぶ最大の利点は、自分のペースで学習を進められることです。仕事や学業の合間を縫って、自分の都合の良い時間に練習できます。また、経済的な負担も少なくて済むため、気軽に始められるのも魅力的です。 さらに、独学では自分の興味や目標に合わせて学習内容をカスタマイズできます。例えば、人物画に興味がある人は人体デッサンに重点を置いたり、風景画を描きたい人は遠近法の学習に力を入れたりできます。
独学の進め方
独学でデッサンを学ぶ際は、まず基本的な道具を揃えることから始めましょう。鉛筆、消しゴム、スケッチブックなど、最小限の道具で十分です。次に、デッサンの基礎を学ぶための参考書や動画教材を活用します。インターネット上には無料の学習リソースも豊富にあるので、それらを活用するのも良いでしょう。 実際の練習では、身の回りにあるものをモチーフにしてデッサンを始めます。果物や日用品など、簡単なものから徐々に複雑なものへと挑戦していきます。毎日少しずつでも描く習慣をつけることが、上達の鍵となります。
意見をもらう重要性
独学の最大の課題は、自分の作品に対する客観的な評価を得にくいことです。この問題を解決するために、オンラインのアートコミュニティに参加するのも一つの方法です。自分の作品を投稿し、他の人からのフィードバックを得ることで、自分では気づかなかった改善点を見つけることができます。 また、美術館や画集で優れた作品を鑑賞することも重要です。巨匠たちの作品を観察し、自分の作品と比較することで、新たな気づきが得られるでしょう。
独学の限界と対処法
独学には限界もあります。例えば、高度な技術や専門的な知識を習得するのは、独学だけでは難しい場合があります。このような場合は、オンラインレッスンや短期のワークショップに参加するなど、適宜プロの指導を受けることも検討しましょう。 また、モチベーションの維持も独学の課題の一つです。これに対しては、明確な目標を設定し、定期的に自分の進歩を振り返ることが効果的です。さらに、同じ興味を持つ仲間とオンラインで交流することで、互いに刺激し合いながら学習を続けることができます。 独学でデッサンを学ぶことは確かに挑戦的ですが、自己規律と創意工夫があれば、十分に成果を上げることができます。自分のペースで、楽しみながら学べるのが独学の最大の魅力です。独学を選択した場合も、常に新しい情報や技術に触れる機会を持ち、自身の成長を楽しむ姿勢を大切にしてください。
デッサンを深く学びたい方は資格取得もおすすめ
デッサンの技術を磨き、より理解を深めたいと考えている方には、資格取得も選択肢の1つです。資格を取得することで、自身のスキルを客観的に評価し、証明できるだけでなく、新たな可能性も広がります。 特におすすめなのが、日本デザインプランナー協会(JDP)が認定する鉛筆デッサンマスター®資格認定試験です。この認定試験は、デッサンの理論と技術を総合的に理解し、様々な対象を描く技法をマスターした人に与えられる認定です。試験内容は、デッサンの基本要素や用具・材料に関する知識から、実践的な描画技術まで幅広く網羅しています。 資格取得のプロセスそのものが、デッサンスキルの向上につながります。試験に向けて学習することで、これまで気づかなかった視点や技術に出会うことができるでしょう。また、試験という明確な目標があることで、学習のモチベーションを高く保つことができます。 さらに、この資格を取得することで、デッサンスキルを活かす新たな可能性が広がります。例えば、自宅やカルチャースクールなどでデッサン講師として活動することができるようになります。自身の経験と知識を他の人に伝え、デッサンの魅力を広めていく喜びを味わうことができるでしょう。 また、資格取得は自信にもつながります。客観的な基準で自身のスキルが認められることで、作品制作や就職活動などにおいても、より自信を持って取り組むことができるようになるでしょう。
「デッサン」とは?
そもそもデッサンとは、どのようなことを意味しているのでしょうか。なんとなく美術や絵画に関係するものというイメージがあるかもしれません。しかしながら、詳しくその意味について説明できる人は多くはいないはずです。ここでは、「デッサン」の意味について、まずは概要や一般的なイメージについて確認をおこないます。デッサンについて詳しいことが分からないという人は、まずはここでデッサンについての基本を確認しておきましょう。
概要
「デッサン」とはフランス語であり、「素描」や「下絵」「輪郭」といった意味をもつ言葉です。デッサンはその意味をもとにして、物体の形を表したり、明暗などを表現したりすることを表しています。デッサンは、主にペンや鉛筆などで描かれます。場合によっては、コンテで描かれることも一般的によくあります。デッサンは絵の基本となる重要なものとして捉えられています。
日本における「デッサン」のイメージ
日本において、デッサンとはどのようなイメージがあるでしょうか。日本ではデッサンは白黒で描かれた写実的な絵としてイメージされることが多いです。見たものをそのまま表現するのがデッサンだと考えている人が多いでしょう。また、デッサンは絵を描くための訓練として実施することが多いとイメージされていることも多くあります。実際、デッサンは絵を描くために重要なものであるため、美術を学ぶ人はデッサンを何度も練習しているのです。
デッサンをする意味
では、デッサンをおこなうことにはどのような意味があるのでしょうか。デッサンを始めるのであれば、その意味についても理解しておきたいところです。デッサンをおこなう意味としてはさまざまなことがあげられます。ここではデッサンをする意味について説明するので、デッサンを始める前にしっかりと意味を理解しておくようにしましょう。
対象物を正確に描写する
デッサンをおこなう意味としては、まず対象物を正確に描写するということがあげられます。デッサンでものを描くことにより、その対象物の構造やバランスをしっかりと捉えることができます。なぜなら、物体についてさまざまな角度から観察したり分析したりすることにより、その物体の成り立ちについて深く理解できるようになるからです。
本質を捉える
デッサンをおこなうということは、その物体の本質を捉えるということでもあります。デッサンを行なう場合、その物体だけを見て描けばいいわけではありません。具体的には、その物体が抱える背景までをしっかりイメージすることが必要になるのです。そのようにしてその物体の背景をしっかりと捉えるためには、想像力も重要なものとなります。頭の中でその物体についてしっかりイメージしながらデッサンすることにより、その人独自の作品として仕上げることが可能になるのです。
デッサンを学ぶ目的
デッサンを学ぶ目的としてはどのようなことがあげられるでしょうか。デッサンを学ぶ目的は、人によってそれぞれ異なります。とはいえ、デッサンを学ぶ目的を意識するのはとても重要なことです。デッサンを何のために学ぶのか自分なりに意識しておかなければ、デッサンにしっかりと向き合うのが難しくなるでしょう。ここでは、デッサンを学ぶ目的としてよく意識されることについて説明します。これからデッサンを学ぼうとしている人は、ぜひ参考にしてみてください。
デッサンを学ぶ動機とは?
すでに触れたとおりデッサンを学ぶ動機は、人によってさまざまです。デッサンを学ぶ動機について、一般的によくあるものについてそれぞれ説明します。
進学のため
デッサンは、美術大学や芸術大学への進学を見越して始める人も多いです。美術や芸術に興味があり、専門的に勉強したいと思っている人は進学を機にデッサンの基礎を学び始めます。もちろん、進学を意識する前からデッサンの勉強をしている人もいるでしょう。デッサンは美術の基礎となるものなので、進学する際だけでなく、進学後も時間をかけてデッサンについて学んでいくことになります。そういった意味では、美術の勉強を始めるために、デッサンはとても重要なものといえるでしょう。
仕事のため
デッサンは、仕事のために始める人もいます。 絵に関わる仕事と一口に言ってもさまざまな種類があり、専門的な学校でデッサンを学んだことがない人もいます。その場合、仕事に就くときになって始めてデッサンについて意識するケースも珍しくはありません。たとえば、デザイン、イラスト、漫画、アニメーション制作といった仕事に就く場合、仕事のためにデッサンを始める人も多くいます。
趣味のため
デッサンは趣味のために始めるという人も少なからずいます。まったく美術に関する勉強をしてこなかった人でも、ある日なんとなく絵画に興味を持ち始めるケースはよくあります。その場合、絵画を描き始める際の最初の段階としてデッサンを始めるケースがあるのです。趣味の絵画に生かしたいというだけでなく、自分自身の知識を深めたいという欲求のためにデッサンに取り組み始める人も珍しくないでしょう。
美術教育で重視される理由
デッサンは美術の教育において重視されることが多いです。それはなぜなのでしょうか。その理由は指導者によって異なることもあります。ただし、基本的には、デッサンは汎用性があり、教育として有用であると考えられている場合が多いです。どのような場合でも、美術や絵画について学び始めたいと思うなら、まずはデッサンから取り組み始めるとスムーズに勉強を進められる可能性が高いといえるでしょう。
デッサンを学ぶ意味や目的について理解しておこう
デッサンは美術や絵画の基本として重要な要素が詰まっています。そのため、新しく美術や絵画について学び始めるのであれば、まずはデッサンをしっかりとおこなうことをおすすめします。デッサンをしっかりと学ぶことができれば、その後の美術や絵画に対する取り組み方にもよりよい影響を及ぼすことができる可能性があるでしょう。せっかく美術や絵画について学び始めるのであれば、しっかりと正しく勉強していきたいですよね。そのためには、デッサンの基礎をしっかりと理解することが必要不可欠です。デッサンというと専門的で難しく思えるかもしれません。しかしながら、ひとつひとつ丁寧に学んでいけば、それほど難しいことではないといえるでしょう。何事も最初が難しいのは当然のことです。明まずに少しずつ学んでいくことで、大きな知識や理解へとつながっています。デッサンは美術や絵画の基礎なので、美術や絵画に興味があるなら、まずはデッサンについてしっかりと学ぶことをおすすめします。着実に勉強を重ねて、美術や絵画に対する知識やスキルを向上させましょう。
「鉛筆デッサン」とは?
そもそも「鉛筆デッサン」とはどのようなものなのでしょうか。鉛筆デッサンとは、文字通り鉛筆を使っておこなうデッサンのことです。鉛筆デッサンはデッサンの中で見ても最も始めやすいといえるでしょう。というのも、比較的シンプルな道具だけで始められるからです。具体的には、鉛筆と消しゴムとともに紙を用意します。基本的には、このように本当に一般的なものだけでデッサンを始められます。ただし、デッサンのために必要な特有なものとして、モチーフを置くための白い布と鉛筆を削るカッターナイフも用意しておいたほうがいいでしょう。デッサンのために特別に用意するものといっても、すぐに簡単に手に入るものなので、鉛筆デッサンを始めたいと思ったらすぐに始めることが可能です。
鉛筆デッサンに必要な知識
鉛筆デッサンを始めるためには、どのような知識が必要かについても気になりますよね。鉛筆デッサンを始める場合、基本的に必要なのは用具についての知識と技術的な基礎知識です。それぞれはどのような知識のことなのでしょうか。ここでは、鉛筆デッサンに必要な知識についての概要を紹介します。
用具についての知識
鉛筆デッサンをする場合、それぞれの用具の使い方についてひととおり理解しておく必要があります。たとえば、鉛筆の使い方は、普段字を書くときとは当然に異なるでしょう。さらに、用紙についても、選び方や扱い方を理解しておく必要があります。用具の扱い方をしっかりと理解していないと、スムーズにデッサンをおこなえない可能性があるので注意が必要です。まずは、用具をしっかりとそろえたうえで、それぞれの使い方について把握しておきましょう。
技術的な基礎知識
鉛筆デッサンは、デッサンの中でも始めやすいです。ただし、技術的な知識についてもある程度は持ち合わせておいたほうがいいでしょう。たとえば、鉛筆デッサンをする場合、描く人の姿勢も重要です。さらに、構図や調子の描き方もコツをつかむ必要があります。さらに、デッサンにおいては立体感の出し方も意識する必要があります。基礎知識をもっておけば、実際に鉛筆デッサンに取り組むなかで技術を身につけていきやすくなるでしょう。
鉛筆デッサンは独学で学べるか?
鉛筆デッサンは独学でも学ぶことができるのでしょうか。結論から言うと、鉛筆デッサンは独学でも学べないことはありません。ここでは、鉛筆デッサンの独学の基本的な部分について紹介します。メリットについても触れるので、詳しく確認しておきましょう。
鉛筆デッサンの独学とは?
鉛筆デッサンの独学とは、そもそもどのようなことを表しているのでしょうか。独学というのは、スクールや教室で学ばず、自分の力だけで学ぶことを表しています。つまり、独学というのは、指導してもらう相手がいないということです。どうやって独学で知識やスキルを身につけるかというと、本やインターネット上の情報などを自分で調べながら学んでいくのです。鉛筆デッサンの場合、必要な情報をしっかりと入手できれば、独学で学んで知識やスキルを身につけることは十分に可能です。
メリット
鉛筆デッサンを独学した場合、最低限の費用で学だけで学ぶことが可能です。具体的には、鉛筆デッサンに必要な道具を用意し、参考にする本を購入するための費用しかかからないでしょう。インターネット上には無料の情報も多く掲載されています。また、独学で勉強すれば、自分のペースで学び続けることが可能です。スクールや教室で学ぶ場合、他の受講者もいると、自分だけの都合で指導のスピードを調整してもらうことはできません。また、スクールや教室では、スケジュールがあらかじめ決まっていることも多いです。そうなると、仕事が忙しいとなかなか講義に参加できない可能性もあるでしょう。
独学で鉛筆デッサンを学ぶデメリット・リスク
独学で鉛筆デッサンを学ぶことには、メリットも多くあります。ただし、デメリットやリスクがまったくないというわけではありません。独学で鉛筆デッサンを学ぶつもりなら、そのデメリットやリスクについても理解しておいたほうがいいでしょう。ここでは、独学で鉛筆デッサンを学ぶデメリットやリスクについて紹介するので、ひととおり理解しておくようにしてください。
デメリット
鉛筆デッサンを独学で学ぶ場合、さまざまな人が発信する膨大な情報から適切な情報を見つけ出す作業が必要です。しかしながら、始めて鉛筆デッサンに取り組むとなると、そもそも勝手がわからない部分も多いでしょう。そのなかで必要な情報を的確に選び抜くのはなかなか大変です。さらに、独学で情報を断片的に入手する場合、情報を体系的に扱うことができず、効率的な学習が難しくなります。加えて、自分の作品に対して客観的な意見をもらう機会ももつことができません。美術に対する考え方は人によっても大きく異なります。また、素人と熟練者の立場からの意見もそれぞれ違うでしょう。そのため、自己満足の鉛筆デッサンになってしまう恐れもあります。ちなみに、独学で鉛筆デッサンを学ぶとなると、他人のデッサンを見て比べてみるチャンスも極端に少なくなってしまいます。
リスク
鉛筆デッサンを独学で始めると、勉強のために活用する資料の誤りや考え方の偏りを発見することができない可能性があります。そうなると、勉強内容に偏りが生じたり、時間がかかったりする恐れがあります。さらに、自分の作品の違和感や問題点にも気づくことができず、思い込みのまま続けてしまうリスクもあるでしょう。美術では自分の感性を活かして取り組むことが重要です。とはいえ、他人の作品から影響を受け、自分の作品をよりよいものにしていくケースも多くあります。そのため、美術のための他者との交流は重要なものだといえるでしょう。また、独学ではある程度の知識は得られますが、想像したほど上達できない可能性もあります。鉛筆デッサンを独学で始めるなら、そのデメリットとリスクをしっかりと理解しておく必要があります。
鉛筆デッサンを独学するならデメリットやリスクを理解しておこう
鉛筆デッサンは独学で学ぶことも十分可能です。ただし、鉛筆デッサンを独学するのであれば、そのデメリットやリスクについてもしっかりと把握しておかなければなりません。鉛筆デッサンにはメリットもありますが、それだけではない点に注意が必要です。しっかりとデメリットやリスクについても把握しておけば、鉛筆デッサンを実際に始めるとしてもスムーズに取り組むことができるでしょう。また、鉛筆デッサンの独学の特徴を最初に知っていれば、自分に合うかどうかも判断しやすくなります。自分に合う方法で鉛筆デッサンの勉強をおこないましょう。
鉛筆デッサンに必要な準備
鉛筆デッサンに必要な準備としては、さまざまなことがあげられます。まず、鉛筆デッサンを始めるためには、必要な道具の準備が必要です。加えて、描くためのモチーフも用意しなければなりません。自分が練習したいことや、表現したいと思っていることに適したモチーフを選ぶ必要があるでしょう。さらに、デッサンをするためには、それをおこなう場所が必要です。デッサンに適した環境を整える必要があります。
鉛筆デッサンの環境
鉛筆デッサンをする場合の環境とは、どのようなものでしょうか。鉛筆デッサンをするなら、その環境はとても重要です。ここでは、鉛筆デッサンの環境について詳しく紐解いて説明します。鉛筆デッサンにおいて環境を整えるための参考としてください。
場所
鉛筆デッサンをする場所を考えるときは、まず光源の位置を把握することから始める必要があります。光源の位置によって、そのモチーフの見え方は大きく変化します。 実際にモチーフを置いてみて、実際にきれいに見える場所を選ぶといいでしょう。モチーフを置く場所に気を付けると、それだけでデッサンの印象も大きく変化する可能性があります。
姿勢
鉛筆デッサンに置いては、デッサンするときの姿勢も重要です。基本的に、一定の姿勢を保つことを心がけ、視線を固定するようにしましょう。万が一、姿勢が前かがみになってしまうと、視野が狭くなります。モチーフと空間の関係性をうまく確認しにくくなるので要注意です。慣れないうちは姿勢をこまめにチェックし、前かがみになってしまっていたらその都度直すようにしましょう。
鉛筆デッサンの制作手順
鉛筆デッサンを制作する場合、一定の手順を踏むのが基本です。まずは、構図を決めるところから始めましょう。先程説明したとおり、光源の位置もしっかり確認します。構図が決まったら、実際に輪郭をとって全体のおおまかな形を描いていきます。さらに明暗や陰影をつけ、立体感を足していきます。さらに、細かい質感について表現を加えていき、デッサンの完成度を高めていきます。最初はうまく描くのが難しいかもしれません。しかし、少しずつ練習を積んでいくと、鉛筆デッサンは着実に上達していくはずです。
鉛筆デッサンの構図
鉛筆デッサンの構図はどのように決めたらいいのでしょうか。基本的には、モチーフがより美しく見える角度を探すことが大切です。できれば、書き始める前にいろいろな角度からクロッキーで描いてみるといいです。手間がかかるように思えるかもしれませんが、素敵な作品に仕上げるためには必要なことです。しっかりと作品に向き合い、その時の自分にとってベストな表現ができるように試行錯誤しましょう。
鉛筆デッサンのモチーフについて重要なこと
鉛筆デザインのモチーフを決める場合、理解しておきたい重要なことがあります。ここでは、鉛筆デッサンのモチーフについて重要なことについて説明するので、しっかりと把握しておくようにしましょう。
モチーフを理解する
鉛筆デッサンのモチーフを理解するには、そのモチーフを構成している要素や置かれている状況をよく理解することが大切です。モチーフを描くというとその物体だけに目を向けがちですが、実際は光源による陰影・明暗、反射光などさまざまな要素によって成立しています。単にその物体を描くだけでない点が、鉛筆デッサンにおける難しいポイントです。そういった意味から言うと、鉛筆デッサンは想像以上に難しいと感じられるかもしれません。モチーフそのものはもちろん、モチーフを取り巻く環境や状況にもしっかりと目を向けましょう。
モチーフ選び
鉛筆デッサンでは、モチーフ選びも重要です。まずは、まずは球体や円柱から始め、その後、少しずつ立方体や角錐などでレベルアップしていってみてください。初心者であれば、まずは、マグカップ、紙コップ、野菜、果物などから始めてみるといいでしょう。また、布類、トイレットペーパー、手などもモチーフとしてよく描かれています。さらに、少しデッサンが上達してきたら、ガラス、木、金属などを用意し、リアルな質感を描く練習をしてみるといいでしょう。
鉛筆デッサンの線と調子
鉛筆デッサンで表現する場合、線や調子についても理解しておくことが大切です。ここでは、鉛筆デッサンの線と調子について押さえておきたい基本を紹介します。
線描と稜線について把握する
鉛筆デッサンをする場合、まずは輪郭などを線で描きます。また、ほかにも稜線(りょうせん)といって、モチーフの形が大きく変わる箇所に薄く描くものもあります。稜線を描くことにより、モチーフ全体の立体感をアップさせることができます。
調子の違いを理解する
鉛筆デッサンでは、調子の違いも理解しなければなりません。どういうことかというと、調子とは光と影によってできる明暗の変化のことです。たとえば、グレーの濃淡、明暗などを鉛筆で表現します。鉛筆でつけられる調子としては、明度と彩度があります。彩度が高いという場合、柔らかい鉛筆で描き、画用紙の目が潰れていません。反対に、彩度が低いという場合は、硬い鉛筆で描いたり擦ったりすることにより、画用紙の目が潰れています。 また、鉛筆によって表現する調子は光や立体感なども含まれます。加えて、空間表現もあります。調子によって奥行きや遠近感を出すことも可能です。さらには、背景や床など周囲の状況についても表現することがあります。
鉛筆の使い分けや表情の付け方を研究する
鉛筆デッサンによる表現では、さまざまな表現方法があります。たとえば、濃い鉛筆と薄い鉛筆を重ねると、深みのある表現ができるでしょう。さらに、あえて鉛筆の線を擦ったり、練りゴムでこすったりすると、変化をつけられます。自分なりの表現方法を研究すると、より鉛筆デッサンのスキルも上達させることができるでしょう。
鉛筆デッサンの基本的な技法について把握しておこう
鉛筆デッサンを始めるなら、まずは基本的な知識やスキルを把握しておきましょう。鉛筆デッサンはイメージ以上に奥が深いため、上達させるためにはさまざまなコツを知る必要があります。もちろん、実際には知識やスキルを頭に入れるだけでなく、それぞれを実際に試してみて身につける必要があるでしょう。とはいえ、細かい基本的な知識やスキルを最初に知っておけば、その分、鉛筆デッサンが上達するスピードも早くなります。鉛筆デッサンを本気で学びたいと思うなら、基本的なスキルや知識について理解しておくことは必要不可欠なことです。基本については本などでもすぐに学べるので、まずはそういったところから知識やスキルの習得を目指すことをおすすめします。そのようにして少しずつ練習を重ねていけば、鉛筆デッサンでの表現力を高められるでしょう。
まとめ
デッサンは、絵を描く技術を磨くだけでなく、世界の見方を変え、創造性を育む素晴らしい活動です。それは、芸術家だけでなく、デザイナー、建築家、科学者、そして日常生活を豊かにしたいすべての人々にとって価値ある経験となるでしょう。 デッサンを学ぶことで、観察力は鋭くなり、表現力は豊かになり、創造性は刺激されます。そして、これらの能力は、芸術活動だけでなく、仕事や日常生活のあらゆる場面で役立つことでしょう。 もし、これまでデッサンに興味はあったけれど踏み出せなかったという方がいれば、この記事を読んだことをきっかけに、ぜひ一歩を踏み出してみてください。また、すでにデッサンを学んでいる方も、ここで紹介した新しい視点や方法を取り入れることで、さらなる上達につながるかもしれません。
- 通信講座のSARAスクール編集部
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